新井 リオ
(更新)
Q&ABCは、『英語日記BOY』著者の新井リオが、「英語・海外生活」にまつわるみなさんからの質問に答えていく連載です。
(質問はこちらからできます。)
第23回のテーマは「コロナ禍の留学は、待つべきか、行くべきか?」についてです。
家計に余裕のあるほうではないので、留学を親に支援してもらえるのは1度だけです。
またコロナによって、奨学金も少なくなっています。
コロナ禍の留学というのは、制限がかかります。
そこで質問なのですが、新井先生は、コロナ禍でも留学をすべきだと思いますか? それとも何年か待って、いい環境で留学を行うべきでしょうか?
新井先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
迷いますよね。
でも、僕が今高校一年生だったら、今年行くかなあ。
めちゃくちゃ調べて、考えてから、きっと行くと思います。
たしかに今はまだ制限があります。
でも、その「制限」が、実際に、本当に、自分の何を制限しているのか? をもう一度考えてみますかね。
例えば、入国禁止やビザの制限。これはもう物理的に行けませんよね。日本でできる代替案を探します。(これについては、前回の記事で書きました。)
他には、外出制限や、留学先の学校の授業がすべてリモートワークという制限。
せっかく到着したのに、「家から出ては行けません」「実際は全日リモート授業でした」となったら、少しもったいないですよね。これなら、日本でもできたかもしれません。この場合は、状況が整うまでもう少し待ちます。
ただ、「現地に着いてから一定の隔離期間がある」「現地のお店が全体的に早く閉まってしまう」などといった制限ならば、(ワクチンや予防、保険の加入や対策を入念にした上で、)僕は行くと思います。
なぜなら、上記のような制限であれば、海外で本当に享受したい、
といった、(僕の考える)海外生活の醍醐味は、味わうことができると思うからです。
質問者のドイさんや、海外へ行きたくてとどまっている読者の方がいましたら、「現地でいま『制限』と言われているものは、自分のやりたいことを本当に『制限』しているのか」について、改めて考えてみてください。
もちろん人によりますが、入国制限で物理的に行けないといった厳しいルールを除けば、一般的に「制限」と言われているものが、意外ともうそこまで自分を縛りつけてないことに気付いたりします。
今の世界情勢を見るに、「はい、みなさん、今日から海外どこでも自由に行けますよー!」という日が突如訪れることは、もうない気がします。
「行っても大丈夫かどうか」は、グラデーション的に緩和されていく制限のなかで行う自分自身の決意のタイミングによるのかなと。
となると、これはもはや留学に限らず、「みんながこうしてるから、自分もそれにならった方がいいよね」という社会的な雰囲気を打破する勇気を持てるかどうかの話なのですかね。
海外に行っている人は、もう行き始めています。
まだまだ歓迎ムードではないかもしれませんが、2020年のコロナ初期と比べれば、個人が海外に住み始めることが不可能ではなくなってきました。
ドイさんが親御さんに留学を支援していただける一度のチャンスを、今使うか、数年待ってから使うべきかという点ですが、基本的には「今」でいいような気が、僕はします。
もちろん、どの国に行くかでも変わってきます。
先述したように、まだまだ制限が厳しくて行ったところでほとんど身動きが取れないという土地であれば、「数年後」の方がいいと思います。
このあたりの実情は、メディアを通して日本に入ってくる情報だけでは判断しきれない部分があるので、現地に実際住んでいる人に、直接聞くのが一番いいです。
こういうときこそ、DMM英会話の「多国籍な講師がいる」という特徴を使うのがいいんだと思います。今は120カ国の講師がいるらしいので(僕が始めた7年前と、比べ物にならないくらい増えました)、きっとみなさんが行きたい国の講師がいると思います。
で、その国の複数人の先生に「実際どうですか?」と聞いてみて、「これは意外と大丈夫だぞ」という確信を得ることができたら、僕は待たずに、「今年」行きますかね。
一人で海外に行くって、本当に掛け替えのない、人生で起こり得る出来事のなかでも最上レベルの学びと成長がある経験なんです。
僕は、初めて行ったフランスで財布を盗まれたり、フィリピンで知らない人に騙されて怪しい店に連れて行かれそうになりましたが、どれも自分でどうにかするしかなくて、なんとか乗り越え、本当にタフになりました。
また、19歳で行ったアメリカ一人旅では、宿に帰れなくて野宿をしようとしていた自分を深夜に車で送ってくれた青年がいたり、1人で参加したバスツアーで困惑していた自分を、隣のシートに座っていた家族が「You are my son.」と言って迎えてくれたり。
現地の素晴らしい人たちに何度も助けられたことで、人が優しくしてくれるとはこんなにも素晴らしいことなのかと知り、自分もこんな人間になりたいと思うようになりました。
1人で海外に行くと、きっと何か予想もできなかったことが起こり、その度成長します。
そして、こうやって進化した自分の思考は、これらを体験する前よりも、もっと良いものになっているはずなんです。
だから、こんなに良い経験は早いうちにしておいて、将来のことは、もっと魅力的になった未来の自分に託す、くらいで良い気がします。
留学を親御さんに支援していただけるのは一回きりかもしれません。
でもこのチャンスを今年使ってしまっても、高校1年生でここに質問を投げかけてくれるほど行動力があってしっかりしているドイさんだったら、自分の力でこれから何度でも海外に行けるようになると思うんです。
だから今は、今を最大限豊かにすることに集中していいんじゃないかな。
僕、高校生のときに、10万円くらいするギターが欲しくて、マクドナルドでバイトをしていたんです。
やっとお金が貯まった時には高3になっていて、受験期でした。変わらずギターは欲しかったんですが、早朝にスターバックスコーヒーで数時間勉強してから学校に通うことにハマっていた僕は、結局、1年間のスタバ代でその10万円を使い切ってしまったんですね。
途中で、「この習慣をこのまま続けたらギターが買えなくなるぞ」と気付いたんですが、同時に、「今勉強して、頭が良くなって、良い大学に入った自分は、もっと良いギターが買えるようになっているんじゃないか」とよぎりました。
結局、そこから約9年経った去年、当時思い描いていたよりも少しだけ良いギターを買うことができました。かなり時間はかかっちゃいましたけど、昔の自分との約束を果たせたみたいで嬉しかったんです。
あのとき10万円を費やして得たスタバでの勉強経験が、9年越しに、もっと大きくなって戻ってきたんです。
短期・長期に関わらず「1人で海外に住む」ような大きな決断をするとき、きっと多くの方が、周りの人に相談すると思います。
そのとき、みんながみんな賛成してくれるわけではないかもしれません。
僕自身、大学を2年間休学してカナダに住むことを決める前に相談した先輩には、「卒業が遅れるとイメージが良くないし、とりあえずは就職をした方がいいよ」とアドバイスをもらいました。
夢を遮られた気持ちになり、悩みの種がもう一つ増えてしまったのですが、思えば、その先輩は休学をしたことも、海外に行ったことも無い方でした。先輩に悪気はなく、自らの経験値のなかから絞り出して、本気で相談に乗ってくれていたんです。
それに気付いてからは、なるべく自分の思い描く将来とリンクするような道を歩いている先人に、相談をするようにしました。
本当に、相談する人によって返ってくる答えが違うんです。
年齢が上でも、自分にとっては「うーん」と思ってしまう答えが返ってくることもあるし、逆に自分よりも年下の方に「ハッ」とさせられる機会もたくさんあります。
だからドイさんが質問文に先生と書いてくれていてちょっと照れてしまったといいますか、僕全然先生じゃなくて、ただ海外と英語が好きな人なんです。
僕はむしろ、こんなに若くしてここにたどり着いたドイさんを尊敬しますし、夏の留学や、これから始まるであろう数多くの輝かしい経験の一つ一つを応援しています。
質問も引き続きお待ちしています!
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