抽象名詞とは?使い方をわかりやすく解説
母国語を話しているときは、とりたてて品詞を意識することはありません。
しかし、外国語を学習するときは動詞、名詞、形容詞等の品詞について理解し、区別できるようになることが求められます。
動詞のように活用のない「名詞」はとっつきやすい品詞かもしれませんが、詳しく見ると、実はそこにもさまざまな分類があります。
今回は名詞のなかでも「抽象名詞」と呼ばれるものについて見ていきましょう!
そもそも抽象名詞とは?
まずは「抽象名詞とは何か?」を確認しておきましょう。辞書では次のように定義されています。
抽象的概念を表す名詞。「勇気」「平和」など。
Weblio辞書
つまり、抽象名詞とは「形のないもの」、つまり概念、考え、感情、感覚などを表す名詞のことを指すのだということがわかります。
代表的な英語の抽象名詞
それでは、抽象名詞の例を挙げてみましょう。概念、考え、感情、感覚などを表す言葉ですから、例えば:
creativity(創造性)freedom(自由)、education(教育)、culture(文化)、 impression(印象)、opinion(意見)、community(コミュニティー)、knowledge(知識)、 improvement(改善)、reason(理由)、strength(強さ)、respect(敬意)、love(愛情)、hope(希望)、anger(怒り)、surprise(驚き)、poverty(貧困)、energy(エネルギー)
こうしてたくさん並べてみると、抽象名詞がどういったものなのか何となくイメージが掴めてきたのではないでしょうか。
どれも「物質」として目で見ることができないものばかりですね。「五感で認識できないもの」が多く含まれていることもわかります。
英語の抽象名詞、見た目の特徴とは?
多くの抽象名詞に共通する「見た目による特徴」を挙げることもできますよ。
次のような接尾辞を持った名詞
- -tion(determination/決断、communication/コミュニケーション)
- -ness(kindness/親切さ、happiness/幸福)
- -ity(identity/アイデンティティー、opportunity/機会)
- -al(proposal/提案、betrayal/裏切り)
- -ment(disappointment/落胆、government/政府)
- -ship(friendship/友情、leadership/リーダーシップ)
- -hood(childhood/子供時代、neighborhood/近所)
- -ence(violence/暴力、dependence/依存性)
次のような接頭辞を持った名詞
- un-(unkindness/不親切、unhappiness/不幸)
- non-(nonviolence/非暴力、nonsense/ナンセンス)
- in-(independence/独立、infinity/無限性)
- im-(impartiality/公平性、imperfection/不完全さ)
英語の抽象名詞の使い方のポイント
a / an を使うことはなく、複数形にもならない
ご存じの通り英語では「数えられるか(可算名詞)、数えられないか(不可算名詞)」が重視されます。英語を使うときは単数形複数形の区別は常に意識しなければなりません。
しかし、抽象名詞は「形がないもの」なので数を数えることはできませんね。そのため抽象名詞は不可算名詞です。つまり、a / an を付けませんし、複数形にもなりません。
でも、その代わり some / any / much / a lot of / a piece of / a little / no などを使って量的なニュアンスを加えることができます。
場合によっては可算名詞になるものも
なかには同じ単語が文脈によって抽象名詞になったり、普通名詞になったりするものがあります。普通名詞として働く場合は「可算名詞」として扱われます。
例えば、ご存じの通り pain は「痛み」を意味する名詞です。五感で感じられる局所的な痛みは普通名詞の扱いになるため、次のような文章では a が付いています。
しかし、苦悩や心の痛みなどを表す場合は抽象名詞になります。心の痛みは五感で感じることはできないですからね。
同じような使い分けが起きる例をもう少し挙げてみましょう。
Question
疑問(抽象名詞)
質問(普通名詞)
Speech
言論(抽象名詞)
演説(普通名詞)
Surprise
感情としての驚き(抽象名詞)
サプライズ行為(普通名詞)
奥が深い抽象名詞を使いこなそう
以上、英語の「抽象名詞」について見てきました。
抽象名詞の定義がわかれば見分けるのは難しくはないのですが、実際に使うとなると同じ単語が文脈によっては「抽象名詞」にも「普通名詞」にもなるという難しさが出てきます。
しかし、普段私たちが日本語を話すとき単語の種類を突き詰めて考えることはありませんよね。
英語を使うときも、あまり分類に捉われずに「慣れ」や「感覚」で身につけていけるものかもしれませんね!