Alliteration(頭韻)って何?英語でよく使われる理由を徹底解説
「頭韻」という言葉をご存じでしょうか。
似たような音の言葉を重ねることを「韻を踏む」と言いますが、なかでも、言葉の頭の部分で韻を踏むことを「頭韻」と言います。英語では alliteration です。
リズム感が出て耳に残りやすくなる効果があることから、詩や音楽の歌詞、広告のうたい文句、商品名などでもよく使われていますよ!
今回は英語で使われる頭韻/alliteration について見ていきましょう!
Alliteration って何?
上記で述べた通り、alliteration とは日本語にすると「頭韻」のこと。つまり、言葉の頭の部分に似たような音を持つものを繰り返すことで音を揃える表現テクニックです。
この技を使うと言葉にリズム感が生まれて印象に残りやすくなるほか、ユーモラスな雰囲気さえ漂わせることができます。
普段は特に意識することはないかもしれませんが、実は身の回りにもたくさんの例がありますよ。
例えば、日本語の「郷に入っては郷に従え」ということわざでは、語頭の「ゴ」の音が揃っています。「花のち晴れ」では「ハ」、「桜咲く」では「サ」の音が繰り返されて心地よいリズムが生まれていますね。
ちなみに、alliteration の形容詞 alliterative を使えば「頭韻を踏んでいる」という表現を作ることができます。
英語の中の alliteration
ここからは英語の alliteration の例を挙げていきますよ。
クリスマスになると聞こえてくる「赤鼻のトナカイ」の英語名 Rudolph the Red-nosed Reindeer で R が揃っているのは alliteration の一例です。
ビートルズの代表曲「Let It Be(レット・イット・ビー)」の歌詞の中にある Whisper words of wisdom, let it be の部分で W の音が重なっているのもそうですね。
また、ディズニーキャラクターの Mickey Mouse と Minnie Mouse それに Donald Duck の名前も alliteration になっていますね。リズム感が耳に馴染んで親しみやすさを感じさせます。
宿泊と朝食をセットにしたシンプルな宿泊形態 Bed and Breakfast も頭の B が韻を踏んでいますよ。一般的には B&B の呼び名で知られています。
さらに、ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)が、ゼラの戦いの勝利をローマに知らせた有名な言葉「来た、見た、勝った」は、もともとは Veni, Vidi, Vici というラテン語です。英語ではそのまま引用されるフレーズですが、これも頭の音が揃っていますね。
英語の早口言葉に alliteration の例がたくさん!
Alliteration によって生まれるリズム感とユーモラスな効果を生かして、早口言葉にもたくさん使われています。日本語でも「生」の音が連なる「生麦生米生卵」の例が浮かびませんか。
英語圏で育った人なら誰でも知っているような英語の早口言葉・tongue twister をいくつかご紹介しましょう。たくさんの頭韻がぎっしり詰めこまれています。
She sells sea-shells on the sea-shore.
「彼女は海岸で貝殻を売っている」
有名なワンフレーズですが、詩の形式になっていて続きもあります。
The shells she sells are sea-shells, I’m sure,
(彼女が売っている貝殻は海の貝に違いない)
For if she sells sea-shells on the sea-shore,
(彼女は海岸で貝殻を売っているのだから)
Then I’m sure she sells sea-shore shells.
(なので、彼女は海岸の貝殻を売っているのだ)
Library of Congress
下記にあるのも有名な早口言葉の一つです。
Peter Piper picked a peck of pickled peppers.
「ピーター・パイパーは唐辛子のピクルスを一つ摘まんだ」
こちらも長いバージョンは以下のように続きます。
A peck of pickled peppers Peter Piper picked.
(ピーター・パイパーが摘まんだ唐辛子のピクルス一つ)
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers,
(もし、ピーター・パイパーが唐辛子のピクルスを一つ摘まんだのなら)
Where’s the peck of pickled peppers Peter Piper picked?
(ピーター・パイパーが摘まんだ唐辛子のピクルスはどこに行ったの?)
Words for Life
似た音であればよいので、必ずしも同じアルファベットである必要はありません。
Six Sheep Sip Thick Shakes.
「6匹の羊が濃厚なシェイクをすすってる」
19世紀(1862年)に生まれたアメリカのミステリー作家・詩人のキャロライン・ウェルズ(Carolyn Wells)の作品と言われるこちらは、さらに長いですよ。ひたすら B の音が耳を刺激します。
Betty Botter bought a bit of butter;
(ベティー・ボターはバターを買ったが)
“But,” she said, “this butter’s bitter!
(でもこのバターは苦いと言う)
If I put it in my batter
(このバターを生地に入れたら)
It will make my batter bitter.
(生地が苦くなってしまう)
But a bit o’ better butter
(もう少し良いバターが少しだけあったら)
Will make my batter better.”
(生地も良くなる)
Then she bought a bit o’ butter
(そして彼女はバターを少し買った)
Better than the bitter butter,
(苦いバターよりもっと良い品を)
Made her bitter batter better.
(苦い生地をもっと良くした)
So ’twas better Betty Botter
(そしてベティー・ボターも良くなり)
Bought a bit o’ better butter.
(もう少し良いバターを買った)
All Nursery Rhymes
まとめ
今回は、英語で使われる alliteration(頭韻)についてご紹介しました。耳慣れない文法用語ですが、その内容はとても身近なものであることがわかったと思います。
韻を踏むことで文章にリズム感を与え、聞き手の心に残りやすくする効果があることも学びました。英語の世界でも頭韻は広く使われており、その魅力を感じ取っていただけたのではないでしょうか。
日常会話や文章作成の際にも、この技術を活用してみてはいかがでしょう。