ビジネス英語と日常英語の違いとは?
英語を勉強しようとするときによく使われる大きなくくりが「ビジネス英語」と「日常英語」です。
それぞれを簡潔に説明すると、ビジネス英語は仕事上使う英語、日常英語は文字通り日々の暮らしのなかで使われる英語のことです。
主な相違点としては、使われる単語や表現方法の違いが挙げられます。
「ビジネス英語」って言われると、何だか難しそうに聞こえますよね。でも学校で習った英語に近いのはビジネス英語です。つまり、これから英語を学んで行こうという人にはかえってハードルが低いと言えるでしょう。
当記事では、ビジネス英語と日常英語の特徴と違いについてお伝えしていきます!
ビジネス英語とは?
私たちが使う日本語も、ビジネスと日常では表現が違いますよね。
ビジネスでは少しかしこまった言葉遣いをします。例えば、「いかがでしょうか」や「ご確認ください」などと言った表現はビジネスの場では基本ですが、友達に対しては使いませんよね。
英語でもそのような表現の使い分けがあります。
ビジネス英語と日常英語の使い分けができていないと仕事相手には失礼になりますし、友達には「よそよそしい」と思われてしまいます!
ビジネス英語の特徴は次のような点です。
- 省略表現を使わない
- スラングは使わない
- 丁寧な表現を使う
- 硬めの単語や表現を使う
日常英語には崩れた表現が含まれますが、ビジネス英語は文法に沿った表現が使われます。学校で習った英語に近いのがビジネス英語です。
日常英語とは?
日常英語の特徴は、上記で挙げたビジネス英語の特徴の逆になります。つまり、
- 省略表現が出てくる
- スラングが出てくる
- 丁寧な表現とは限らない
- 硬めの単語や表現はあまり使わない
日常英語が使えると、こなれた印象になりますね。友達とのコミュニケーションでも距離を感じさせません。
ビジネス英語と日常英語の主な違い
ビジネス英語と日常英語の違いをさらに具体的に見てみましょう。
省略表現を使わない
日常英語では次のような省略表現は普通に使います。しかし、ビジネス文書では省略せずに書きます。
- I'll → I will
- we’ll → we will
- don’t → do not
- wanna → want to
- gonna → going to
- gotta → got to
- hafta → have to
スラングは使わない
ビジネス英語では、スラングは使わない方が良いです。例えば、「元気?」「調子はどう?」と聞きたいときは、How are you? と言うようにしましょう。
×What’s up? / How's it going?
○How are you?
また、「了解」を意味する Got it を使うよりも、「理解できました(承知しました)」を表す I understand を使った方が好ましいです。
×Got it.
○I understand.
丁寧な表現を使う
Can you〜などで始まる頼み事は、あまりビジネスの場では目撃しません。
×Can you send it to me again?
○Would it be possible for you to send it to me again?
Can you/could you ではなく Would it be possible〜や Would you be able〜を使うとより丁寧になります。
×That would be great.
○That would be much appreciated.
また、感謝を伝えるときに役立つ単語「appreciate」も覚えておくと良いでしょう。Thank you の代わりに I appreciate it と言うこともできますよ。
硬めの表現を使う
これらの表現は必ず使わなければならないというわけではありません。仲の良い上司や同僚とのチャットやメールでは、so や but を使っても問題ないです。
しかし、ビジネス文書や論文を書くのであれば、後者の表現を使った方がよりプロフェッショナルな印象を与えることができます。
- so(だから) → therefore(そのため)
- but(でも、だけど) → however(しかしながら)
- maybe(多分) → perhaps, possibly(恐らく)
他にも、以下のような単語を言い換えることもあります。
日常英語(インフォーマル) | ビジネス英語(フォーマル) | 意味 |
a lot of | numerous | 多数、数々 |
can | able to / capable of | できる |
come / go in | enter | 入る |
get | obtain | 入手する、得る |
house | residence | 家・住まい |
leave out | omit | 除外する |
look like | resemble | 似ている |
point out | indicate | 示す |
speak to | address | 話す |
これらの言葉は、ライティングでもスピーキングでも、フォーマルな場面では見聞きすることがあるでしょう。
同じ単語でも意味が異なることがある
仕事で使う言葉なので、それぞれの業界ならではの用語が出てきます。
- RCA(Root Cause Analysis/根本原因分析)
- ETA(Estimated Time of Arrival/到着予定日、完成予定日など)
物流業界などでは ETA は「到着予定日」になりますが、プロダクト業界では「完成予定日」の意味になるなど、業界によって変わりもします。
さらに、単語の意味も業界によっては、日常で使うときと異なることがあります。
【日常会話】 | 【ビジネス英語】 | |
mitigate | 痛みを緩和する、鎮める | リスクなどを軽減する、減らす |
quarter | 25セント(0.25ドル) | 3ヶ月(1年の4分の1) |
postmortem | 検死解剖 | 事後検証 |
conceive | 妊娠する | 考える、思いつく |
abstract | 抽象的 | 要旨 |
数字を文字表記にすることがある
数字を文字で書くということは日常英語では滅多にありませんよね。でも、ビジネス英語ではよくあることです。
一桁の数字なら1,2,3といったアラビア数字ではなく one, two, three のように書きます。正式な書類、契約書、小切手などの表記では桁がたくさんあっても数字は文字で書かなければなりません。
- 47,000,580 → forty seven million five hundred eighty
ビジネス英語と日常英語、どっちを先に勉強する?
ビジネス英語も日常英語も語順や基本文法は変わりません。
でももし、ビジネス英語と日常英語のどちらから始めようか迷っているなら、文法通りの表現が使えるビジネス英語から始める方が結局は近道になります。
慣れないうちは省略が多い表現は理解が難しいですし、スラング表現は辞書を調べても載っているとは限りません。
最初からくだけた表現で英語を身につけてしまうと丁寧な言葉遣いは改めて学び直さなければならなくなってしまいます。
ビジネス英語は使う環境が限られているため定型表現が多いのも特徴です。
一度覚えてしまえば使い回せる表現が多いという点も、日常会話よりビジネス英語の方から始めることをお勧めする理由です。
まとめ
英語をちゃんと学びたい人にとって、ビジネス英語と日常英語の違いを区別できることは重要です。
「日常英語の方が簡単、ビジネス英語は難しそう」とイメージする人は多いかもしれませんが、実はビジネス英語の方がハードルが低いということを知っておくと良いでしょう。
きちんとした言葉が使える人は、相手からもきちんとした対応をしてもらえます。
その点を考えても、学校で習った英語が基本となるビジネス英語から手を付けるのは合理的だと思いませんか?