則岡麻里絵
(更新)
慣れない英語でのプレゼンテーションは、なかなかの大仕事です。
しかし、せっかく準備に時間をかけるなら、聞き手の眠気を誘うものではなく、伝えたいことが上手く伝わるものにしたいですよね。
いいプレゼンテーションをするには、一瞬で理解できるスライドと解説を用意することが不可欠です。その方法として数字や図表を上手く利用すると、英語でまわりくどい説明をする必要がなくなり、重要なポイントをしっかりと伝えることができるようになるでしょう。
この記事では、プレゼンテーションで数字や図表を効果的に使う10のポイントをご紹介します。英語でプレゼンテーションをする機会のある方は、ぜひご一読ください。
正式な文書では数字をスペルすることが求められることが多いですが、プレゼンテーションのスライドでは見やすさが求められるため、アラビア数字を使用することができます。
スペルした数字をアラビア数字に置き換えるだけなので、一瞬の作業ですね。
△:The website has over eight million page views.
◯:The website has over 8 million page views.
素晴らしいプレゼンテーションをすることで有名だったスティーブ・ジョブズは、製品の説明の中で「ギガバイト」という言葉を使わず、「〇〇〇曲がポケットに入ります」と伝えていたそうです。
「ギガバイト」が何か想像できる人は限られてしまうかもしれませんが、「曲の数」であればほとんどの人が簡単に想像できますよね。この例にならって、数字を使用する際は誰もが想像できる単位や物を使って伝えるとよいでしょう。
◯:The amount of calories from protein in this meal is about 90 kcal, which is equivalent to 1 egg.
「この食事のタンパク質によるカロリーは約90 kcalで、卵1つ分です」
「90 kcal」を「卵1つ分」と言い換えることで、聞き手は内容を想像しやすくなります。
また、パーセンテージで割合を表すことは一般的ですが、説明の仕方を少し変えると、よりわかりやすくなることもあります。
◯:3 out of 5 Japanese people would try a new brand for better service.
「日本人の5人に3人が、よりよいサービスのために新しいブランドを試します」
「59%」でも想像はできますが、「5人に3人」と説明すると、数字をより身近に思い描けるのではないでしょうか。
大きい数字や聞き手にとって馴染みのない数字には、比較対象を与えることも効果的です。例えば聞き手がアメリカ人であれば、以下のような表現ができるでしょう。
◯:Japan's territory is 377,923.1 km2. This is slightly smaller than California.
「日本の領土は377,923.1 km2で、これはカリフォルニア州より少し小さいです」
聞き手の中には、提示された数字を使用してその場で暗算をする人もいますので、細かい数が問題でない場合は、四捨五入した数字を示してあげるとよいでしょう。
◯:The population of A city is approximately 570,000.
「A市の人口は約57万人です」
スライドに文章を記載する際、同じ文章内に入れる数字は2つまでが理想です。3つ以上の数字が出てくる場合は、文章では理解が困難となってくるので、表やグラフを作成しましょう。
△:58% of female students said that they eat breakfast everyday, 26% of them said that they sometimes do, and 16% said that they never eat breakfast.
「女子生徒の58%が通常、26%が時々朝食をとると言っており、16%は朝食をとらないと言っていた」
上記を以下のような表に。表の中の数字は、昇順または降順で記載すると見やすくなります。
Female students said they eat breakfast(女子生徒が朝食を食べる頻度):
Everyday(毎日) | Sometimes(毎日) | Never(食べない) |
58% | 26% | 16% |
データの計算はプレゼンターの仕事で、聞き手の仕事ではありません。プレゼンターの役割は、結果がどのようなものかを提示し、聞き手に判断や考察をする機会を与えることです。
Company B made sales of $52,500 every week.
「B社の売り上げは1週間$52,500です」
Company C made sales of $320 every hour.
「C社の売り上げは毎時$320です」
極端な例ですが、上記の文章では単位が統一されていないので、どの会社の売り上げが多いのかすぐに比較できません。以下のように単位を揃えて表にするだけで、一瞬で比較が可能になります。
Sales per day(1日の売り上げ)
Company A(A社) | Company B(B社) | Company C(C社) |
$8,250 | $7,500 | $7,680 |
プレゼンテーションに慣れていない人の一般的な傾向として、1枚のスライドにできる限りの多くの情報を詰め込もうとしてしまうということが挙げられます。
これは大原則として避けたほうがよいでしょう。スライドに書いてあることを一字一句読むのは、書類を渡して音読してあげる作業と同じですので、わざわざプレゼンテーションをする意味がなくなってしまいます。
自分がぱっと見て理解できないスライドは、聞き手も理解できないと思って間違いないでしょう。
数字を使って具体的に内容を提示していても、ただごちゃごちゃと並べてしまうのは非常にもったいないことです。必要ない数字は削る、あるいは別のスライドで提示すべきかを検討しましょう。
当たり前のことに聞こえますが、プレゼンテーションをし慣れていないと意外と難しいのが図表の種類の選択です。
どのような図表を使用すべきかを考える際には、基本的な情報として以下を頭に入れておきましょう。
通常、集められた情報をシンプルに見せるのに使用される。それぞれの列や行に項目や値が入る。
データの分類や比較に適しており、データ同士の関係を示すものではない。
“Figures” には、さまざまなグラフ(円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフなど)、チャート(フローチャート、ガントチャートなど)、写真、絵などが含まれる。
データの間にどんな関係があるのかといったパターンを示すために使用することが適切。
図表には、それが何を表しているのかすぐにわかる見出しをつけましょう。
表(Table)のタイトルにはローマ数字を使用して、番号を振ることが一般的(例:Table I)。タイトルは表の上部に記載します。
図(Figures)のタイトルは、一般にアラビア数字で(例:Figure 1)下部に表記します。
同じ単位で構成されている図表は、一つにまとめることができるかもしれませんので見直しましょう。
一つの表にデータがまとめられていれば、聞き手はスライドを見比べることなくデータを比較することができます。
人の視線は「左から右」、「上から下」に流れる傾向があるのだそうです。
英語は縦書きにしないのであまり問題にならないことも多いですが、特に図表を使用する場合は、この流れを意識しておくとよいでしょう。
また使用する色は目に優しいものを選び、2色程度にすると見やすいスライドになります。目を凝らさなければ見えないサイズのフォントは避けましょう。フォントサイズの違いを利用して、重要な箇所を目立たせるのも効果的です。
英語でのプレゼンテーションとなると、内容を英語にすることに力を注いでしまうばかりに、その他の部分をつい疎かにしてしまいがちです。
しかし、数字や図表を効果的に使用することができれば、英語が流暢でないために伝わりにくい部分を補うことができるだけでなく、プレゼンター自身の混乱を防ぐことにもつながりますし、英語の強化に時間を割くことも可能になるでしょう。
少しの改善を加えるだけでプレゼンテーションの質を大きく上げることができるので、準備をしたら今回ご紹介したポイントをぜひ一度確認してみてください。