K. Inoue
(更新)
研究発表や企画説明などは、事前に綿密な準備をして臨むことができる一方、どんな質問が飛んで来るか分からない質疑応答は、プレゼンテーションにおいてある意味最もやっかいな部分かもしれません。
“英語で”なら尚更です。
「何を聞かれるだろう?」
「自分に答えられるだろうか?」
「きちんと聞き取れなかったらどうしよう?」
そんな不安な気持ちを抱いた経験がある方も多いのではないでしょうか。
確かに、質問者に発言権が与えられる質疑応答では、その人の発言内容自体をどうこうすることはできません。しかし、質疑応答の進め方や話の持って行き方、困ったときの返し方などは、一定のフレーズを駆使することである程度対処することができます。
そこで今回は、質疑応答で困らないための役立ち英語フレーズをご紹介します。ぜひ不安な気持ちを解消して、質疑応答に臨んでください。
まずは「これから質疑応答を始めます」と伝えるフレーズをご紹介します。
「質疑応答」は “the/a question and answer session” と言います。
「それでは質疑応答に移らせていただきます」
多少堅い響きがあるかもしれませんが、かしこまった場面などには相応しいでしょう。
プレゼンテーションを締めくくった後で、
「どのようなご質問でも喜んでお答えします」
「ご質問がございましたら、遠慮なくお尋ねください」
と言ったり、単に
「質問はございますか」
と尋ねるだけでも、質疑応答の時間に切り替わったことを伝えることができます。
また、次のようにプレゼンテーションの最初に言っておくことで、「質疑応答の時間は最後にある」ということを聴衆にあらかじめ伝えておくことができます。
「(プレゼンの)最後に質疑応答の時間を設けています」
「プレゼンテーション終了後に質疑応答の時間をお取りします」
「質問がございましたら、最後の質疑応答までとっておいてください」
最初にこれらのように言っておけば、聴いている人は途中で口を挟まないよう配慮したり、プレゼンを聴きながら質問をじっくり考える余裕を持ったりすることもできますね。
「どのようなご質問にも答えられるよう最善を尽くします」
こんな一言も加えておけば、質疑応答に臨む上で聴衆に好印象を与えられます。
なお、プレゼンテーションの途中でも質問を受け付ける場合は、
「質問がございましたら、途中でも遠慮なく質問してください」
と言っておくとよいでしょう。
質問をしてくれるということは、単に分からないことを知りたいとか、説明不足を解消してもらいたいといったことだけでなく、その人が自分のプレゼンテーション内容に興味を持ってくれたことの証でもあります。
そのことに対する敬意や感謝を示すことも、良質な質疑応答を進める上では重要なポイントになります。
「ご質問ありがとうございます」
「〇〇についてお尋ねいただきありがとうございます」
このように相手の質問内容に触れながら返答すると、質問を理解していることのアピールにもなります。
また、質問そのものを褒めたり自分の真摯な姿勢を見せたりすることで、相手への敬意を表すことも大切です。
「素晴らしい質問です。お尋ねいただきありがとうございます」
「それはとても良い点です」
「大変興味深いご質問ですね」
「その質問をいただけて良かったです」
「全力でお答えしたいと思います」
質問を聞き取ることができなかった場合や、聞き取れはしたけれど意味がよく分からなかった場合には、再度質問を繰り返してもらったり、難しい言葉をより簡単な言葉に言い換えてもらったりするなどして対処します。
「すみません、質問が聞き取れませんでした」
「後半のところがよく聞き取れませんでした」
「質問が理解できませんでした」
「すみませんが、ついていけていません(理解が追いついていません)」
「もう一度言っていただけますか」
「もう一度言っていただけますか、もう少しゆっくりとお願いします」
「ご質問をもう少し簡単に言い換えていただけますか」
「もう少し具体的にお願いできますか」
ある程度聞き取れているし、内容もおおよそ理解しているが定かではない、という場合には、次のように自分の理解が正しいかどうかを確認しましょう。
「我々がその問題に対してどのように対処していくか尋ねておられるということですか」
「我々のプロジェクトが何らかの点で環境を害することになるのではないかということでしょうか」
何度聞き返しても分からない場合には、進行を妨げないために後に回したり、終了後に個別に対応したりする必要が生じるケースもあるでしょう。
そんな場合には、次のようなフレーズを活用して対応してみてください。
「すみませんが、まだご質問が理解できません」
「後に回させていただいてもよろしいでしょうか」
「質疑応答終了後に直接お話しさせていただけますか」
「質疑応答終了後にお話しさせていただけますか」
聞き取りや理解に関する問題は、異なる言語を話す人同士のコミュニケーションでは当たり前に生じる問題ですから、決して恥ずかしがる必要はありません。
自分が聞き取れていないことや、理解できていないことをまずはしっかりと伝えましょう。
その上で、では相手にどのようにして欲しいかを尋ねたり、自分としてはどのように対応したいかを、丁寧に伝えたりすることでスムーズな進行につなげることができます。
質問を正確に聞き取り、内容もしっかりと理解することはできたが、その答えがすぐには分からない場合や、事情により回答することができない場合のフレーズをご紹介します。
「申し訳ございませんが、どうお答えしてよいか分かりません」
「申し訳ありませんが、今すぐにはそのご質問にお答えできません」
「今すぐにはどうお答えすべきか分かりませんが、後程お答えできるようにいたします」
「残念ですが、私はそれにお答えできる立場にございません」
「すぐには詳細が分かりかねます」
「これにつきましてはまだ十分に情報が得られておりません」
「ご質問にお答えする前に、少しだけ考えるお時間を頂戴できますでしょうか」
「申し訳ございません。後ほどお話させていただけますか」
「この件につきましては、個別にお話しさせていただければと存じます」
「お答えしたいのはやまやまですが、機密事項でございます。申し訳ありません」
質問に答えたら終わりではなく、ご自身の回答が質問者の疑問を解決するものであったかを確認することも大切です。
「ご質問の答えになりましたでしょうか」
「ご質問の答えになりましたでしょうか」
「求めておられた情報でしたでしょうか」
終わりに締めくくりの言葉を添えます。
「他にご質問はございますか」
「以上でお時間となります」
「ありがとうございました」
いかがだったでしょうか。
冒頭でも述べたように、質疑応答は事前に準備することができません。ある程度想定される質問については、あらかじめ回答を用意しておくことができますが、現実には思いもよらないことを訊かれることが少なくありません。
ですが、「思いもよらないことが起こり得るということ」を想定することはできます。だからこそ、今回ご紹介したようなフレーズを知っておくことが、想定外を解決するための事前準備として役立つカギになるわけです。
具体的にどんな質問をされるかまでは分からないにしても、事前に対処法を心得ておけば、心に余裕を持って質疑応答に臨めるはず。これがうまくいけば、ビジネスの現場では商談やプロジェクトの成功にもつながることでしょう。
質疑応答を乗り越えることが、次の展開へのステップになると信じて、ぜひ今回ご紹介したフレーズを生かしてみてください。今回の記事が少しでもプレゼン成功のお役に立てましたら幸いです。