西東 たまき
(更新)
英語の資格試験といえば、よく知られたものがいくつかあります。
TOEIC、TOEFL、IELTSなどのほか、日本では中学生のころから身近なのが「英検」ではないでしょうか。
さまざまな英語資格試験があるなかで英検を受けるメリットとは何でしょうか?
今回は、その疑問にお答えします!
受験を悩んでいる方は、今回の記事を参考に判断してみてくださいね。
英語の資格試験として日本で最もメジャーといって過言ではない「英検」とは、公益財団法人日本英語検定協会が主催し、文部科学省が後援する「実用英語技能検定」の略称です。
英検の公式サイトには以下のように紹介されています。
「幅広い世代が受験する国内最大級の英語検定試験で、1級から5級まで、7つの級があります。試験内容は身の回りの日常会話から、教養を深める社会的な題材まで、実際に英語を使用する場面を想定し、出題しています」
英検について
英検の受験志願者数は2022年度で420万人を超えています。うち約74%は中高生、12〜13%は社会人が占めています。年を追うごとに志願者数が増えている点は、日本社会で英検が高く評価されている証と考えられるでしょう。
累計ではなんと1億三千万人(2022年度)にも迫る数となっており、国内における普及度の高さがうかがわれます。
中学初級レベルの5級から大学上級レベルの1級まで、準1・準2級を含む7つの級に分かれており、「読む・聞く・書く・話す」という英語の4つの技能を一次試験、二次試験の2日間(3級以上)に渡る試験で判定します。
日本の学校カリキュラムに沿って作られているため、日本で英語教育を受けた人にとっては馴染みのスタイルであることがメリットとして挙げられますね。
受験料が万単位となるIELTS、TOEFLに比べ(詳細は記事の後半に記載)、英検は1級を除き税込み1万円以内で収まる(2023年)のは助かります。
IELTSとTOEFLは試験結果を証明書として使える有効期限は2年です。一方、英検の合格証明書には有効期限がないため、生涯有効なのは大きなメリットです(ただし、海外留学時の英語力証明書として使う場合は合格から2年、国家公務員採用総合職試験で使う場合は5年程度などの条件あり)。
また、英検には「一次試験免除資格」というのがあり、1級~3級で一次試験に合格したが二次試験(面接試験)で不合格または欠席した場合、二次試験から再開できます。急な理由で二次試験を受けられない、あるいは不合格となってしまった場合の救済策があるのも助かります。
忙しい人には1日で試験を完了できる「英検S-CBT」があります。3級以上を対象に従来試験と同様に4技能を測れ、級も同様として扱われます。英検は年3回実施されますが、英検S-CBT は原則毎週土曜日実施です。思い立ったらすぐ受験できるのは嬉しいですね。
各級の目安は次の通りです。
5級、4級、3級→中学レベル
準2級、2級→高校レベル
準1級、1級→大学レベル
各級の目安
3級以上はリーディング・リスニング・ライティングを測る一次試験(筆記)に合格後、面接でスピーキングをチェックする二次試験に進みます(4級・5級では任意)。
家族や趣味などごく身の回りの話題が出題される5級から、級が上がるにつれ教育・科学・医療・テクノロジーの話題までカバーされていきます。英検という一つのスケールで自分の英語レベルを継続的・総合的に測れるため、成長の度合いが分かりやすい点もポイントです。
英検の合格証は入試で有利に考慮されたり、学校によっては優遇措置を受けられたりすることもあります。また、試験結果にはスコア、回答正否、学習アドバイスが細かく記載されているため今後の学習に活かすことができます。
高校卒業程度に相当する2級以上は履歴書に載せられるほか、海外留学時の英語力証明として使うこともできます。(※地域や学校による)
文部科学省後援の試験ということで信頼性が高い英検は、転職や評価において有利になります。また、上記で触れた「英検S-CBT」を利用すれば忙しいスケジュールに対応できます。
英語をやみくもに勉強するより、定期的に試験を受けて自らの現在地を知ることで効率よく力を伸ばせます。
準1級以上は国家公務員の総合職試験で加点の対象となるほか(前項のリンク参照)、国家試験である全国通訳案内士(通訳ガイド)試験を受ける場合は、1級合格者の英語試験が免除されるなどの特典があります。
国内では抜群の普及率と信頼度ですが、海外での認知度では劣ります。とはいえ、英検のスコアレポートを公式書類として使える大学・カレッジ等はアメリカ、オーストラリア、カナダに約400あるので、上手に利用するとよいでしょう。
また、TOEFLとTOEICの結果は点数で示されますが、英検は合否で判断されます。スコアは何点だろうが残るのに対し、合否で不合格の場合はそれまでとなってしまう点はデメリットになり得ます。
参考までに、英検の他によく知られている英語力判定試験も簡単に挙げてみましょう。
イギリスのブリティッシュ・カウンシル(British Coucil)が主催する、世界で最も信頼されていると言われる試験で毎年世界で300万人が受験志願している。英語圏での就職、留学・大学入試、移住資格審査で求められるのはIELTS。
アメリカの Educational Testing Service (ETS)が主催。英語力を測るため留学・大学入試で求められる試験。
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する英語試験。「日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する、世界共通のテスト」とされている。2021年度受験者数は230万人。
英語の試験は多々あれど、日本での信用度の高さ、試験会場の多さ、他に比べて安い受験料、そして幅広い分野において読む・書く・聞く・話すの4技能の英語力を測ることのできる英検受験は確実に検討に値します。
また、英検公式サイトには、実際の合格者がどんな分野でどの程度の自信を持てるようになったかが細かく書かれた「英検Can-doリスト一覧」が提供されています。
自分の向上の度合いを把握したり、今後に向けたロードマップを描くのに活用するとよいでしょう。
さまざまな試験がありますが、自分が必要としているニーズに合った試験を選んで受験することが大事です。
今回の記事が試験の選択に役立ちますように!