SHIORI
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英語学習者のみなさんは「better」という単語を見たり聞いたりしたことがあると思います。
この単語はよく使われるだけあって、知っているととても便利です。
難しいイメージのない単語ではありますが、意味は分かっていても実は正しい使い方ができていないケースが意外と多いのも事実です。
みなさんは意味を知った上で、正しい使い方ができているでしょうか?
今回は、「better」の意味と使い方を徹底解説していきたいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、better は形容詞 good と、形容詞・副詞 well の比較級と呼ばれるものになります。
比較級とは、モノの状態や程度を比べるときに使われる表現であり、一方を基準として別のものの大小、良し悪しなどを表します。
この表現を使うときの構文は、【比較級+than〜】になります。比較級にあたる単語(形容詞)には「-er」または「more」をつけるのが一般的です。
「私のりんごはあなたのよりも大きいです」
→「big」+「-er」=「bigger」で比較級を作っています。
「このりんごはもう一方のりんごよりも値段が高いです」
→「more」+「expensive」=「more expensive」で比較級を作っています。
しかし形容詞の中には、今回の better が good/well の比較級であるように、比較級を作る際に「-er」や「more」を加える以外の不規則な変化をするものがあります。
better に加え、下記のような英単語もこのパターンに当てはまります。
変化前 | 比較級 | 最上級 |
good | better | best |
well | better | best |
bad | worse | worst |
many | more | most |
much | more | most |
さて、better は good と well の比較級にあたりますが、この2つの意味の違いをみなさんは説明することができますか?
good と well は同じ意味だと認識している方も多いと思います。ですが、この2つの単語を使用する際は、何に対して「良い」と言っているのかを注意して使い分ける必要があります。
実際、well も good も「良い」という意味で使われますが、基本的に good(形容詞)は名詞の状態が「良い」という意味で使われ、well(副詞)は動詞の程度が「良い」という意味で使われます。
たとえば、「英語上手だね!」という文章を good と well を使って作る場合、次のようになります。
「あなたの英語は上手です」
「あなたは上手な英語を話します」
「あなたは英語を上手に話します」
→3つ目の例文に関して、実際は good を副詞として使って言う場合もありますが、well よりも砕けた言い方となります。
better「より良い」の反意語は、worse「より悪い・良くない」になります。
先程の不規則に変化する形容詞の表にもあったように、原形とは全く違った形になるので、注意が必要です。
使い方は better と同じで、もう一方と比べて、モノや程度が「より悪い・良くない」ときに比較級の構文を用いて使われます。
「今日の天気は昨日よりもひどいです」
「このゴミは腐った卵よりもひどい臭いがします」
ここでは better の使い方と、better を使用した英語フレーズを例文とともに紹介します。
→直訳をすると、「早ければ早いほどより良い」になり、急ぎの用事があるときや、急ぎの予定を立てるときなどに便利なフレーズです。
「いつまでにこの申請書を提出したら良いですか?」
「早いに越したことはないけど、月曜までには出すべきだよ」
→より良い結果のために変化することや好転することを意味します。逆に、より悪い方向に変化する・悪化する場合は、change for the worse を使うことができます。
「私は食生活を改善した」
「会社の文化が好転した」
→all を使うことによって、「より良い」に対して「さらに良い」という、強調のニュアンスを与えることができます。
「彼の批判的なところがますます好き」
→直訳すると「より良い」」状態を「得る」になり、「良くなる」と訳すことができます。熱を出している友達などに、「早く元気になってね」という意味で使われたり、物事が悪い状態から「良くなる」ときに使われるフレーズです。
「気分良くないって聞いたよ。早く良くなることを祈るよ」
「おー、料理上手くなってきてるじゃん!」
much、a lot、far、even、way などの単語をつけることで、better などの比較級をさらに強調して言うことができます。
なお、比較級の「more」と「-er」を両方使ってしまうのはよくある間違いなので注意しましょう。
「彼女は私よりもさらに英語が上手だ」
「彼女は私よりもずっと背が高い」
「彼は私よりも遥かに頭が良い」
最上級とは、3つ以上あるものの中で「1番○○」という状態を表します。good「良い」の最上級は best になり、「1番良い・もっとも良い」という意味になります。
普通、最上級を表すには、形容詞に「-est」をつけるのが一般的ですが、比較級の better を使って表すこともできます。
「この3人の中で彼女が1番料理上手です」
「彼女は他の2人よりも料理が上手です」
→「彼女を含んだ3人の中で1番料理が上手」
「サラは学校で1番歌が上手です」
「サラは学校の誰よりも歌が上手です」
→「サラは学校で1番歌が上手い」
「ピザは1番美味しい食べ物だ」
「ピザに勝るものはない」
→「食べ物の中でピザが1番」
最後に had better や better off など、better を含む頻出の英語イディオムを紹介します。
よく、had betterは「〜したほうが良い」という助言の意味を持つと説明されることが多いですが、実際、日本語の響きほど優しいものではありません。
どちらかというと、目上のものが目下のものに対して忠告や警告の意味で使う場合が多く、助言でありながら、「〜すべき/〜しなさい/〜しないとダメだ」というような強めのニュアンスを持ちます。
友達などにはカジュアルに使える言葉ですが、上司や先輩などに使うと失礼になるので気をつけましょう。
「急ぎなさい!(あなたは急ぐべきだ)」
「俺のカツラのこと誰にも言うなよ!」
また、自分自身を主語に置く場合、「〜しなきゃ」と訳すことができます。
「急がなきゃ」
「準備しに行かなきゃ」
be better off は相手にアドバイスや提案をするときに使われるフレーズで、「〜したほうが良い」と訳すことができます。
「いっそう暮らし向きが良い」や「〜の方がもっと良い状態になる」といったように、何かをすることでその物事が良い方向に向かっていくというニュアンスを持っています。
「彼女と別れたって聞いたよ。あなたはあの子がいない方がもっと暮し向きが良くなると思うよ。金目当てな女だったじゃん」
no better than で、「〜も同然」「〜に過ぎない」「〜とたいして変わらない」という意味になります。
「より良い」である better を、no を使って否定をしているため、「より良いわけではない」というようなニュアンスになり、比べている相手やものと同じような様を表現しています。
「この映画は前作同様、あまり面白くなかった」
「彼は盗人も同然だ。お金を借りておいてもうずっと返してくれてない」
no better than ととてもよく似た英語表現ですが、not any better になると、「せいぜいその程度だ」というように、物事がそれ以上良い状態にならないことや、能力や知識などが勝らないことを表現します。
「ずっとピアノを練習しているけど全然上手くならない」
「彼にプロジェクトに関するアドバイスを聞いてみたけど、彼もそんなに良いアイデアはなかったよ」
直訳すると、「良いかもしれないし、悪いかもしれない」となりますが、この短いフレーズで、「(結果が)良かろうが悪かろうがそれにもかかわらず…」や「将来どんな運命が待っていようとも」というような意味になります。
「何があっても物事を進める」のようなニュアンスを表すことができます。
「良かれ悪しかれ、最近仕事はより柔軟になってきている」
「もう終わったことだから何があろうと変更はできない」
「より良い」という意味以外でも、better は日常で意外と登場する場面が多いです。
better が含まれたイディオムもまだまだたくさんあるので、少しずつ覚えていって、細かい表現ができるようになるようになると会話の幅がさらに広がります。
better の使い方をマスターして、さらに英語の表現力を上げていきましょう!