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but だけじゃない!「しかし」「けれども」を表す英語の使い分け

but だけじゃない!「しかし」「けれども」を表す英語の使い分け

but、although、though、however、even thoughなど、「しかし」や「けれども」「~だが」といった逆接のニュアンスを表す英語表現は数多く存在します。
ですが、それらはそれぞれ文法的に異なる働きをします。

「~だが」と言いたいときにいつも “but” を使えるわけではありませんし、それでは英語のボキャブラリーは育ちません。今回はこのような逆接の言葉の使い分けについて紹介します。

使い分けのポイント

これらの言葉の違いを把握するためのポイントは…

例えば、“but” は文中で使われ、文と文とをつなぎます。

  • I was hungry, but I did not have lunch.
    「お腹が空いていたが、昼食を取らなかった」

一方、“in spite of” は文頭または文中で使われ、句と文をつなぎます。

  • In spite of his hard work, he is poor.
    He is poor in spite of his hard work.
    「彼はよく働くにもかかわらず貧乏だ」

この場合、「文」は「主語(S)+動詞(V)~」から成り立つもの、「句」はそうでないものを意味します。これらを意識した上で以下を読み進めてみてください。

but

「しかし」を表現するもっとも一般的な言葉です。これは、文と文とをつなぐ接続詞です。したがって、使われる位置は文中になります。よく見られますが、英文作成の際に “but” を文頭に持ってくるのは間違いです。

  • He is poor. But he is happy.
  • ◯ He is poor, but he is happy.「彼は貧しいが、幸せである」

会話では表面化しませんが、文章に書くと間違いということになるので注意してください。ただし、新聞記事(オンラインニュース)などでは、Butを文頭に持ってくることがあるため、現在ではそこまで厳密な間違いと認識されない場合もあります。ただ、公式文書などでは避けたほうが良さそうです。

although

こちらも “but” と同様に接続詞ですが、“but” が前後の文を接続するために文中で使用されるのに対し、“although” は文頭または文中で使用されます。これは “although” が後ろの文とのみ結びつくからです。「~という事実にもかかわらず」と、対立する状況をイメージすると使いやすくなります。

  • Although he was sick, he decided to go out.
  • He decided to go out, although he was sick「彼は体調が悪かったが出かけることにした」

though

“although” と同じように使われますが、いくつか違う点があります。
まずニュアンスですが、“though” は “although” よりも会話的で、よりカジュアルです。

使われる位置:文頭、文中、文末と自由!

  • Though the product was expensive, she bought it.
  • She bought the product, though it was expensive.
  • She bought the product. It was expensive, though.「その商品は高かったが、彼女は買った」

however

“however” は接続詞ではなく副詞です。文と文とをつなぐというニュアンスは強くなく、前の文の内容と反対のことを言いたいときに(前の文をピリオドで区切った上で)使われます。

使える位置:文頭、文中、文末と自由!

  • This village suffers from poverty problems. However, the villagers seem to be leading happy lives.
  • This village suffers from poverty problems. The villagers, however, seem to be leading happy lives.
  • This village suffers from poverty problems. The villagers seem to be leading happy lives, however.「この村は貧困問題が深刻です。しかし、村人は幸せそうに見えます」

注意点として、前後がコンマ「,」などで区切られていることが挙げられます。ニュアンスとしてはこのように堅い文章で使われ、日常生活ではあまり使用されません。
また、これは “although” のように“However this village suffers from poverty problems, the villagers seem to be leading happy lives.” といった使い方はできません。

even though

「~だけれども」という意味の接続詞です。文頭や文中に使用されます。“though” をより強調したニュアンスになります。

  • Even though she is not very tall, she is a good volleyball player.
  • She is a good volleyball player, even though she is not very tall.「彼女は身長はあまり高くないが、いいバレーボール選手だ」

※ちなみに “even although” という使い方はできません。

even if

“even though” とよく混同される表現ですが、意味は異なります。こちらは仮定の話で使われ、「たとえ~だとしても」という意味になります。そのため仮定法が用いられます。

使われる位置:“even though” と同様、文頭や文中

  • Even if I could find a way to cheat in an exam, I definitely wouldn’t do it.
  • I definitely wouldn’t cheat in an exam, even if I could find a way to do it.「試験でカンニングする方法を見つけたとしても、私はやらないだろう」

※“even though” の例文ではその後に「事実」がきますが、“even if” では「試験でカンニングする方法を見つけたとしても」という「仮定」が来ます。

nevertheless

「それにもかかわらず」と前文を否定する副詞です。文語的な表現であり会話で用いられることはあまりありません。副詞なので文頭、文中、文末に使用できます。"however"と入れ替えられる場合が多いです。

使われる位置:文頭、文中、文末どこでも自由

  • This village suffers from poverty problems. Nevertheless the villagers seem to be leading happy lives.
  • This village suffers from poverty problems. The villagers seem to be leading happy lives nevertheless.「この村は貧困問題が深刻です。それでも村人は幸せそうに見えます」

※“although” のように “Nevertheless this village suffers from poverty problems, the villagers seem to be leading happy lives.” といった使い方はできません。

in spite of

“in spite of~” で「~にもかかわらず」となり、~の部分には[S+V~]の文ではなく句(名詞や動名詞)が入ります。

  • In spite of the bad weather, we went out to play soccer.
  • ◯ We went out to play soccer in spite of the bad weather.
  • In spite of the weather is bad, we went out to play soccer.「悪天候にもかかわらず私達はサッカーをしに外へ出た」

despite

despite≒in spite of ですが、ニュアンスとしては “despite” のほうがフォーマルであり、日常会話ではあまり使用されません。

  • Despite the bad weather, we went out to play soccer.
  • We went out to play soccer despite the bad weather.「悪天候にもかかわらず私達はサッカーをしに外へ出た」

in spite of/despite において[S+V~]を後ろに入れたい場合は
in spite of the fact that[S+V~]/despite the fact that[S+V~]となります。

  • In spite of/Despite the fact that the weather is bad, we went out to play soccer.
    「天候が悪いのにもかかわらず私達はサッカーをしに外へ出た」

yet

過去完了においてよく「まだ~ない」という意味で使われる “yet” には逆接の意味もあります。この “yet” は “but” と同じ等位接続詞(2つの文を同じ重要度とする接続詞)です。前の文と比較して後の文に意外性が強い場合に用いられ、“but” に比べて非常にフォーマルなニユアンスで使用されます。

  • The new law was very strict, yet it gained strong public support.
    「新しい法律は非常に厳しかったが、国民の強い支持を得た」

このように “but” と同じく文中に使用されます。

still

「まだ~」「なおも~」という意味が一般的な “still” ですが、逆接の意味でも使用できます。

  • He failed the exam twice. Still, he didn’t give up.
    「彼は2回試験に失敗したが、それでもあきらめなかった」

on the contrary

「それに反して」と正反対の二つのものを比較するときに使われます。前の文をコンマで区切った上で、後の文の文頭、文中、文末で使用することができます。

  • He is a rich man. On the contrary, his brother is in debt.
  • He is a rich man. His brother, on the contrary, is in debt.
  • He is a rich man. His brother is in debt, on the contrary.「彼は金持だが、それに反して彼の兄/弟は借金がある」

クイズ!どの逆接語が入る?

以下の文章のカッコ内にふさわしい逆接語はどれでしょうか?日本語も参考にして解いてみましょう。

  • (1)(   )she was tired, she did her homework.
    「彼女は疲れていたが、宿題をした」
  • (2)(   )our efforts, the project ended in failure.
    「私達の努力にもかかわらず、プロジェクトは失敗に終わった」
  • (3)(   )you don’t want to do that, you have to do it.
    「たとえやりたくなくても君はそれをしなければならない」
  • (4)My sister likes wild and passionate men. (   ), I like quiet and mature men.
    「私の姉/妹はワイルドで情熱的な男性が好きだが、私は静かで成熟した男性が好きだ」
  • (5)She likes Japanese food. She,(   ), doesn’t like only natto.
    「彼女は日本食が好きだが、納豆だけは好きではない」

答え

  • (1)Although/Though
    「疲れていた」という後ろの文と結びつき、文頭にくるので “Although” または “Though” が入ります。
  • (2)In spite of/Despite
    後に文ではなく“our efforts” という句が入るので、“In spite of” または “Despite” が入ります。
  • (3)Even if
    “Even though” が入る可能性もありますが、日本語では「たとえ~でも」と仮定の話なので“Even if” が入ります。
  • (4)On the contrary
    カッコ前と後の文章で正反対の二つのものが比較されているので “On the contrary”が入ります。
  • (5)However
    “She,(   ), doesn’t like” と主語と述語の間に入るものは副詞になります。このように使用できるのは “however” だけです。

おわりに

さまざまな逆接の英語を紹介しました。何となく使っていた言葉も、ひとつひとつ見ていくと異なる意味や使い方があることがわかります。特に文章作成においては “but” 以外の逆接語を使ったほうがより洗練された文章になります。

英語では、気づかないうちにワンパターンな言葉選びをしてしまうことがよくあります。そうならないためにも、基本的な言葉を「他の言葉に言い換えることはできるか?」という視点を持つことが大切ですよ!
【日本語では同じ訳!でも、本当はさまざまなニュアンスがある英語表現】