Erik
(更新)
2021年、新型コロナウイルスパンデミックは2年目に突入し、ワクチン接種が進みました。
そして、前例のない形式で行われた東京オリンピック。何度も発令と解除が行われた厳しい制限措置。再び戻りつつあった「普通の生活」に暗雲をもたらす変異株。
引き続き先が見通せない状況の中で、世界はウィズコロナに移行し始めました。その傾向は流行語にも反映されています。
本記事では、今年も英語版流行語大賞とも言える Word of the Year に加え、2021年に流行った最新スラングや口語表現もご紹介していきます。
毎年、英語の新語・流行語を決める Word of the Year(今年の単語)。
辞書サイトなどの大手メディアによって、その年を象徴する言葉や流行った言葉、特に多く検索された英語表現などが選定されます。
昨年は pandemic「パンデミック」、lockdown「ロックダウン」、quarantine「隔離」などが選出され、未曾有の事態が私たちの生活にもたらした影響の大きさを物語っていました。
引き続き怒涛の1年となった2021年。そんな今年を表すのにふさわしいと選ばれた言葉たちを早速見ていきましょう。
英語辞典「メリアム=ウェブスター」は vaccine を今年の単語に選出。
多くの国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだ2021年。期待、不安、議論、分断、デモ……。さまざまな話題の中心に「ワクチン」がありました。
「メリアム=ウェブスター」によれば、vaccine という言葉の検索数はコロナ前の2019年に比べるとなんと1048%(!)も上昇しているそうです。
一方、「オックスフォード英語辞典」が選んだ言葉は vax。
日常会話や口語では vaccine を vax と略して言う人も多いです。vaccine「ワクチン」、vaccinate「ワクチンを打つ」のいずれの意味でも使うことができます。
「ワクチン接種済み」を vaxxed と言ったり、「ワクチン接種カード」を vax card と呼ぶなど、以前と比べ広く使われるようになりました。
デイリーニュース記事でも詳しく解説しています。
「ケンブリッジ英英辞典」は「忍耐、根気強さ」を意味する perseverance を選出。
2020年に引き続き、コロナ禍で多くの人が苦難を強いられた2021年。それでも人々は諦めず前に進み続ける。そのような意思を端的に表している言葉です。
2月、NASAが火星に探査車を送ったことが話題になりましたが、その探査車の名前がまさに「Perseverance(パーサビアランス)」であり、同時期に単語の検索数も大きく伸びたということです。
ちなみに、動詞形の persevere は「辛抱する、耐える、屈せずにやり通す」などの意味になります。
オンライン辞書サイト「ディクショナリードットコム」の Word of the Year は allyship。
一言で表すのは難しい単語ですが、「差別・疎外されてきた人々への支援、または支援している状態」を指します。
根強く残る人種差別や性差別、LGBTQ+に関する話題はもちろん、昨今はパンデミックによって影響を受けたさまざまなコミュニティに対しての使用も増えました。
たとえば、最前線で戦い続ける医療従事者、小売業者、学校の先生、ロックダウン中に仕事と子育てを両立する親などなど……。
今年の単語に話題のNFTを選んだのはイギリスの「コリンズ英語辞典」。
NFTは non-fungible token の略で「非代替性トークン」と訳すことができます。偽造不可な所有証明書付きのデータのことであり、デジタル世界において何かの所有権を示すものです。
たとえば、世界中でバズった画像がネットで拡散されても、そのオリジナルはたった1つです。それの所有権を証明し、デジタルデータに唯一無二の価値を与えるのがNFTというわけです。
NFTデジタルアートが約75億円で落札されたニュースなどが話題となり、デイリーニュース記事でも取り上げられました。
ここからは、2021年に流行した最新の英語スラングや口語表現をご紹介していきます。
スラングは国や地域によって異なり、また若い年代層が使うことが多いです。全ての人に通じる言葉ではないということをご了承ください。
直訳すると「以前の時代」となります。何か重大な出来事の前の時代を指す英語表現として使われています。
近年で私たちの生活にもっとも大きな影響を与えたのは、間違いなく新型コロナウイルスの大流行でしょう。日本語でも「コロナ前」と言うことがありますが、最近は英語で before times と言えばこの「コロナ前」の意味がほとんど。
名詞として使われるので the before times のように the をつけて表現されることが多いです。
「コロナ前はどんなだったのか思い出すこともできません」
動詞としては「(こぶしなどで)突く」「突き刺す」、名詞としては「突き」といった意味を持つ jab。
口語では「注射」、近年では特に「コロナワクチン」の意味で使われることが多くなりました。イギリス英語でよく見られる英語表現です。
「政府は国民にワクチン接種を受けるよう勧めています」
アメリカ政府の首席医療顧問を務める米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長。
ソーシャルディスタンス(社会的距離)や感染対策の話題で聞いたことがある人も多いと思います。特にアメリカでは、全国民が知っている名前だと言っても過言ではないでしょう。
そんな彼の名前がつけられた Fauci-ing という言葉は、実は恋愛に関係しています。意味は、「パンデミックやソーシャルディスタンスについて真剣に考えていない人との関係を断ち切ること」です。
あるインタビューでこの新しい英語表現について知らされたファウチ所長本人は思わず吹き出し、I'm going to Fauci you と、早速自分でも使っていました。
「マスクをしないことを理由に振られましたか? それはファウチされましたね」
「好きな人の言いなりになってしまう人」を意味します。
女性のために尽くしすぎる男性に対して批判的な意味で使われることが多いです。また、その男性の努力はほぼ報われません。
最近では動詞として使われるようにもなっており、本記事の2019年版でも紹介した stan に似た意味も持ちます。
「付き合ってもいないのに、ケビンはジェシカのために車を買いました。彼はもう言いなりです」
Z世代が使う英語スラングで、「時代遅れ、もしくは流行に乗ろうと頑張りすぎている」という意味の形容詞です。発音は「チューギー」。
ファッションや言葉使い、SNS上での振る舞い方など、その用途は多岐にわたります。多くの場合はミレニアル世代に対して使われますが、性別年齢関係なく使用可能です。
少しネガティブなニュアンスが含まれますが、その言葉が自分自身にも当てはまることを認識しながら使う人も多いです。
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が cheugy について説明している記事を公開しましたが、一部ではその記事自体が cheugy であるとささやかれています。
「『チューギー』という言葉を使うこと自体がすでに時代遅れですか?」
2021年を象徴する英語の新語・流行語・最新スラングを紹介しました。
言葉はその時代を表し、日々刻々と変わっていきます。2022年はどのような言葉が流行するのでしょうか。引き続き注目していきましょう。
DMM英会話ブログでは2016年以降、毎年の流行語をまとめた記事を公開しています。ほかの年も気になる方はぜひこちらもご覧ください。