不定代名詞とは、漠然と不特定の人・物などを表す代名詞 のことです。この不定代名詞を理解するために、混同しやすいもの同士を比較していきましょう。
不定代名詞は単数か複数か、肯定文か疑問文かなどで使い分けられます。ちょっとややこしいですが、不定代名詞を理解することで、漠然としたものを英語で表現する力を向上させましょう。
不定代名詞とは?「不定代名詞」とは、特定のものを指さずに漠然と人や物などを表現するときに使われる「代名詞」のことです。単独で使われるものもあれば、後に名詞をともなうものもあります。
Can anybody answer this question? 「誰かこの質問に答えられますか」この”anybody”は特定の人を指さずに「誰か」と漠然とした対象を指していますね。これが不定代名詞です。
今回解説する不定代名詞を一覧にまとめました。
これらの単語の違いや文法的なルールをそれぞれ解説していくので、いっしょにみていきましょう。
someとanyの使い分けどちらも「いくつかの」という意味で使用されます。これらは肯定文、疑問文、否定文でわけて考えるとわかりやすいですよ。
肯定文のsomeとanyThe salesman showed me some samples. 「セールスマンはいくつかサンプルを私に見せた」You can take any book you want. 「どれでも欲しい本を持っていっていいです」このように “some” が「いくつか」という意味になるのに対し、“any” は「どれでも」という意味になります。
否定文のsomeとanySome students did not pass the exam. 「試験に合格しない生徒もいた」I don’ t know any of the students who passed the exam. 「試験に合格した生徒を誰も知らない」これは “some” が「いくつかは~でない」という部分否定になるのに対し、“any” は「どれも~ない」という完全否定になります。
疑問文のsomeとany疑問文では通常 “any” を用います。
Is there any water in the pot? 「鍋に(いくらか)水が入っていますか?」ただし肯定の返事を期待する勧誘・依頼の場合は “some” を用います。
Aren’t there any messages for me? 「私宛のメッセージはありませんか?」これは “There are some message for me, aren’t there?” を言い換えたものです。
some、anyの複合語“some”、“any” は後ろにさまざまな言葉をともないます。そしてその使用法は上記のsomeとanyの使い分けルールに従います。
someone,anyone(誰か、誰でも) somebody,anybody(誰か、誰でも) somewhere, anywhere(どこか、どこでも) sometime anytime(いつか、いつでも) something, anything(何か、何でも) 通常では “somebody” “anybody” は、“someone” “anyone”よりもカジュアルで砕けた表現において用いられます。
eachとeveryとallの使い分け eachとeveryの使い分け“each” は2つまたは2つ以上のものについて、“every” は3つ以上のものに使われます。“each” はグループの構成要素を個として見るニュアンスがあり、“every” はグループの構成要素を一連のものとして見るニュアンスがあります。そして両方とも単数形として扱われます。“each” は単独でも形容詞的にも用いられますが、“every” は必ず後に名詞をともなって形容詞的に用いられます。
(◯)Each apple in the basket looks delicious (◯)Each of the apples in the basket looks delicious 「カゴの中のリンゴはそれぞれ美味しそうだ」(◯)Every apple in the basket looks delicious. (✕)Every of the apples in the basket looks delicious. 「カゴの中のリンゴはどれも美味しそうだ」「every of 名詞」 の形は使えません。また、“looks” と三人称単数になっていることにも注意が必要です。話者の視点はカゴの中のリンゴ「1つ1つ」を意識しているためそうなります。
everyとallの使い分け“every” と混同されやすい “all” ですが、“every” が個々のものに目を向けているのに対し、“all” は全体を指しています。そして単独でも形容詞的にも用いられ、複数形に対応します。
(◯)All the apples in the basket look delicious. (◯)All of the apples in the basket look delicious. 「カゴの中のリンゴは全て美味しそうだ」 everyの複合語“every” は後ろにさまざまな言葉をともなって用いられます。“each” や “all” にはこの用法はありません。そして上記のルールと同様に単数形として用いられます。
everyone(みんな) everybody(みんな) everywhere(あらゆる場所に) everytime(いつも) everything(あらゆるもの) oneとonesとsomeの使い分け“one” はもともと「1」という数字を意味しますが、他にも「一般の人」を指す用法と、前述の名詞を指す用法とがあります。
「一般の人」を指す用法これは総称人称といい、 “one” 以外に “you”、“they”、“we” が使われます。これらを主語に置くことで「人は~だ」といった具合に一般論や普遍的事実を表現できます。
One must follow the rules of society. 「人は社会のルールに従わなくてはならない」ただしこの用法はかなりフォーマルであり、“you” や “we” を使うほうが一般的です。
前述の名詞を指す用法文章や会話の中で出てきた名詞を繰り返さずに “one” に置き換える用法です。これらはさらに修飾語をともなわない場合とともなう場合に分けられます。
修飾語をともなわない場合 If you need a pen, I can lend you one. 「ペンが必要でしたらペンを貸すことができます」修飾語をともなう場合 The watches in the show window have a great variety of colors. I like that blue one. 「ショーウィンドウにさまざまな色の腕時計がある。私は青い腕時計が好きだ」これらの例文は単数形の名詞ですが、複数形の名詞になると以下のように “some” と “ones” とが使用されます。
複数形で修飾語をともなわない場合 If you want photos, I will send you some. 「写真が欲しかったら(それらを)送るよ」複数形で修飾語をともなう場合 Which shoes do you like? We have red ones, white ones, and black ones. 「どの靴が好きですか?赤い靴、白い靴、黒い靴があります」この用法では「形容詞+some」にはならないということを覚えておいてください。
itとの違いoneとonesとsomeの不定代名詞のほかにも、前述の文に出てきた単語をitを使って置き換えるパターンもあります。両者の違いは何でしょうか。
itもoneも既に出てきた名詞を指しますが、itは名詞が特定されている場合に使われ、oneは名詞が特定されていない場合に使われます。
I lost my smartphone. Do you know where it is? 「スマートフォンを失くしました。(それが)どこにあるか知りませんか?」この場合は「私のスマートフォン」と特定のものを指しているのでitが使われます。
I lost my smartphone. I have to buy new one. 「スマートフォンを失くしました。新しいものを買わなくてはなりません」この場合、私が買うものは新しい別のスマートフォンであり、失くしたスマートフォンそのものではありません。その点でこの例文におけるoneは不特定のものと言えます。
例文におけるitとoneをsmartphoneに戻してみます。
It→ I lost my smartphone. Do you know where the smartphone is?one→ I lost my smartphone. I have to buy a new smartphone.このようにそれぞれ定冠詞のtheと不定冠詞のaが付きます。定冠詞theが付くものはitに、不定冠詞a(an)が付くものはoneに置き換えられると考えるとよいでしょう。
otherとanotherの使い分け“other” と “another” はどちらも「他の」「別の」と訳されることが多く、その違いを把握することが難しい単語です。そして “other” は冠詞がついたり複数形になるとまた意味が違うものになり、非常にややこしいです。そこで複数の異なる色のボールが存在すると仮定して例文を見ていきましょう。
白色と黒色のボールが1つずつ存在する場合There are two balls on the table. One is white. The other is black. 「テーブルの上に2つボールがあります。1つは白色です。もう1つは黒色です」 白色のボールが1つ、黒色のボールが2つ存在する場合There are three balls on the table. One is white. The others are black. 「テーブルの上に3つボールがあります。1つは白色です。残りは黒色です」 白色のボール1つ、赤色のボールが1つ、黒色のボールが1つ存在する場合There are three balls on the table. One is white. Another is red. The other is black. 「テーブルの上に3つボールがあります。1つは白色です。もう1つは赤色です。残りは黒色です」これらの概要をまとめると以下のようになります。
the other は「残りの1つ」 the othersは「残りの全て」 another は「他にも残りがある中のもう1つ」 “other” は残りのものを指示し、“another” はもう1つのものを指示するイメージがあります。 そのため “another” の後には単数名詞が続き、“other” の後は基本的に複数名詞が続きます。
noneとnoの使い分け“none” は不定代名詞ですが、“no” は形容詞です。ですが「何も(誰も)~ない」と似た意味で使われるのであわせて解説します。
“none” は単体で、または「none of +名詞/代名詞」で使い、“no” は「no+名詞」で使います。
None of them were fired. No one was fired. 「誰もクビにならなかった」意味は同じですが前者は複数形、後者は単数形であることに注意してください。
名詞の繰り返しをさける “one” の否定形として用いられる場合前述の “one” のように名詞を繰り返す際の “one” の否定形として “none” を使うことができます。
A:Is there any food left? B:No, there is none left. 「食べ物は残ってますか」 「いえ、全く残っていません」これをnoを使って表現すると
No, there is no food left. となります。
“none” は名詞として単体で使われ、“no” は必ず名詞の前につくと覚えておいてください。
不定代名詞には他にも「両方とも」「どちらか」「どちらも~ない」という意味の“both”、“either”、“neither” があります。詳しくは「両方とも」「どちらか」のbothとeither、neitherはどう使い分ける? を御覧ください。
クイズ!どの不定代名詞が入る?今回学んだ不定代名詞の穴埋めクイズを用意しました。後ろの選択肢から答えを選んでください。
1.( ) students have a chance to apply for the scholarship.(some/any) 「どの学生でも奨学金に応募するチャンスがある」2.( )person is required to pay 1000yen to join the competition.(each/all/every) 「各人はコンペに参加するために1000円払う必要があります」3.We don’t have red shoes, but we have pink ( )in the warehouse.(one/ones/some) 「赤い靴はありませんが、ピンクの靴は倉庫にあります」4.The college has three faculties. One is faculty of sciences. ( ) is faculty of engineering. The ( ) is faculty of architecture.(other/another) 「その大学には3つの学部があります。1つは理学部、もう1つは工学部、そして残りが建築学部です」 5.I asked my colleagues for help, but ( ) of them helped me.(none/no) 私は同僚に助けを求めたが、誰も助けてくれなかった。 答え1.any(someも文法的におかしくはないが、「いくつかの学生にはチャンスがある」と意味が変わる) 2.eachまたはevery 3.ones 4.another/other 5.none
まとめ不定代名詞はなかなか使い分けることが難しいものです。ですがこのように似た意味のもの同士を比較するとそのニュアンスがわかってくると思います。不定代名詞を上手に使いこなすと、漠然とした物事を上手に表現できるようになります。たとえ間違っても積極的に使っていくことが上達の近道です。