Yoko
(更新)
“might” “could” “would”。この3つの助詞にこんなイメージを持っていませんか?
「いまいち使い方が分からない……」
「なんだか難しそう……」
「無理して使わなくても言いたいことは伝わるのでは……?」
でも、実はこれらの助詞はネイティブが会話でとってもよく使う単語でもあるんです。
使いこなせると微妙なニュアンスまでうまく表現でき、何よりも、シンプルになりがちな表現の幅がグンと広がります。
これら3つの助詞はそれぞれたくさんの意味を持っていますが、今回は、その中から特に会話で役立ちそうなものに絞って使い方を紹介したいと思います!
まず最初に “might" を見てみましょう。
“might” は 、「かもしれない」という意味の “may” の過去形だと覚えている人はいませんか? もしかすると、それの覚え方が “might” をわかりにくくさせている原因かもしれません。
実は “might” が “may” の過去形として使われるのは限られた場合だけ。「推量」の意味を表すことは変わりませんが、会話ではむしろ、現在や未来のことを話すときに登場します。
例えば、こんな2つの文章があります。
上の “will” を使った文章は「彼が来る」ことに確信をもっていますが、下の “might” を使った文章では、それがあやふやな感じになります。
見た感じは “may” の過去形のように見える “might” ですが、決して過去の話をしているわけではありませんよね。
「〜かもしれない」には “may” の派生形である“maybe” を多用してしまいがちですが、会話では、この “might” がとってもよく使われるんです。
《用例》
どちらも「〜かもしれない」を表す “may” と “might”。ここで、2つの違いをもう少しみてみましょう。
両者の違いは、ズバリ、可能性の高さの度合い。
“might” は “may” よりも可能性が低い「〜かもしれない」に使われます。
1. He may come to the party.
「彼はパーティーにくるかもしれない」2. He might come to the party.
「彼はパーティーにくるかもしれない」
1と2はどちらも同じ日本語訳ですが、英語では、“might” を使った2の文章のほうが可能性がより低くなります。
“might” が現在や未来の推量を表すとなると、過去の可能性「〜だったかもしれない」はどう表現すればいいでしょうか?
そんなときには、“might have + 過去分詞” で表すことができます。
《用例》
次は “could” です。
“could” も “can” の過去形として「〜できた」の意味合いで使っている人がいるのではないでしょうか?
例えば、あなたが Johnさんを探していて見つけたとしましょう。しばらくして、同僚が「Johnさん見つかった?」と聞いてきたので、「見つけることができたよ」と答えるとします。
その場合、以下のどちらが正しいと思いますか?
A. I could find him.
B. I was able to find him.
実は、このシチュエーションでAのように “could” を使うことはできません。その理由は、“could” が表す「〜できた」は過去の一般的な能力を表す場合がほとんどだからです。例えば、こういったものです。
よって、一般的な能力ではない「見つけることができた」や言ったそのとき限りの「〜できた」には “was able to” を使ったり、苦労した末に「できた」というニュアンスを持たせたい場合には “managed to” もよく使われます。
それでは、実際に会話で役立つ “could” の使い方を見てみましょう。
実際に会話の中で使われる “could” が過去のことを表すケースはとても限られており、“could” も “might” と同じように、現在や未来のことを話す場合によく使われます。
その場合、大きく分けて3つの使い方があります。
“might” の「〜かもしれない」が話し手の漠然とした推量を表すのに対して、“could” の「〜かもしれない」はあり得る・ひょっとしたら可能性があるというニュアンスになります。
「〜したらどうですか」や「〜しましょうか」という提案でも使われます。今はしていないけれど、こんなこともできますよ、というとっても控えめな言い回しなので、相手に負担をかけずにさらりと提案することができます。
<仮定法>という用法を学校で教わりましたが、現実にはありえないことをちょっと大袈裟に表現する場合には、“if” を使わずに “could” だけで表すこともあります。
「〜だったかもしれない」だけでなく「(実際にはしなかったけど)〜することもできた」を表すのが “could have + 過去分詞” です。
“Would you 〜?” や “Would you like 〜?” の疑問形はなじみがあるものの、肯定文での “would” の使い方が分からない方もいるかもしれません。でも、“would” は会話でとてもよく使われる助詞。ぜひマスターしましょう。
まず、“would” が “will” の過去形として会話でよく登場するのは、誰かが “I will 〜” と話したことを後で他の人に伝えるときです。
ここまでは比較的理解しやすいですが、過去を表す場合以外にもネイティブは会話で “would” を多用するんです。
会話の中で使う “would” のポイントは、簡単に言えば「想像の話」「たとえ話」です。
「〜だろうなぁ」と想像で話す場合や「もし……だったら〜するだろう」と例えで話す場合に “would” が使われます。
《例1》
例えば、あるイタリアンレストランに初めて行くことになり、何が食べたいか前もって友だちに聞きたいときには、こんなフレーズが使えます。
A:What would you order at the Italian restaurant?
「君だったらあのイタリアンレストランで何をオーダーする?」B:I would order a Margherita pizza.
「私だったらマルゲリータピザを頼むだろうなぁ」
実際に友だちが店でオーダーするのではなく「もし注文するとしたら」というたとえ話なので、“do you” でも “will you” でもない “would you” がしっくりくるのです。
もう一つ例を挙げてみましょう。
《例2》
あなたはパーティーに行くかどうか悩んでいます。友だちに相談したところ「私だったら行くなぁ」と言われました。これも “would” を使う典型的なパターンです。
A:I wonder if I should go to the party.
「パーティーに行くべきかどうか迷ってるんだ」
B:I would go (if I were you).
「私だったら行くなぁ」
こんなにシンプルに表せてしまいます。
「私だったら(=if I were you)」をわざわざ言わなくても、“I would go.” だけで「私だったら行くだろう」というニュアンスを表すことができます。
過去のことを想像した「〜しただろう」や「もし……だったら〜しただろう」を表すには、やはり過去分詞を使い “would have + 過去分詞” となります。
例えば、ニュースに出てきそうなこんなシチュエーション。
川で溺れかけている人がいて、そこを偶然通りかかった人が自身の危険を顧みず川に飛び込み救助したとき。こんなヒーロー的なセリフを聞いたことがあるのではないでしょうか。
これも想像の話なので “would” が使われるのですが、過去に対しての「〜しただろう」という想像なので “would have” になります。
もう一つ例文を。先ほどの、初めて行くイタリアンレストランの話に戻してみましょう。
あなたはレストランに行ってパスタを食べたとします。それを後日友だちに話すと「あそこのパスタ美味しくないんだよね」と言われました。あなた自身もそう思ったとしたら、こんなふうに返すことができます。
“wouldn't (= would not)” と否定形になっていますが「注文しなかっただろう」という過去の話なので過去完了形になります。
私は今ニュージーランドに住んでいますが、暮らし始めた頃は、恥ずかしながら “might” も “could” も “would” もちんぷんかんぷんでした。どこでどう使うのか、場面がイメージできなかったためです。
それでも、ネイティブとの会話で相手の発言を注意して聞いていると「あ!ここでこうやって使うんだ!」と少しずつわかるように。頭で文法を理解するだけではなく、実際に使われている文章にふれることが大切だと思います。
何となくわかるようになってきたら、会話の中でどんどん使ってみましょう。そうすると、表現の幅もきっと広がっていくはずですよ!
【細かな文法まできちんとマスター!】