Hiroe H
(更新)
比較級や最上級を使った基本構文を理解しているものの、as~as や the+比較級、no more than などの比較級の重要構文になると頭が混乱する、という人は多いのではないでしょうか。
比較を用いた構文にはたくさん種類があり、筆者も学生時代は丸暗記しようと苦戦したのを覚えています。
今日は比較を用いた構文のなかでも、特に苦手意識を持っている方が多い、no more than/no less than を解説します。
丸暗記するのではなく、意味や違いをしっかりと理解し、自信を持って使えるようになりましょう!
まずは no と not の違いから見ていきましょう。
no more than/no less than と not more than/not less than が同じだと思っている人はいませんか?
「no も not も否定の意味だから同じ意味でしょ」と思うかもしれませんが、この2つは全くの別物です。
no は、通常形容詞または副詞として使い「決して~でない・~どころではない」という意味を表します。
それに対し not は副詞として使い「~でない」という意味です。
見ておわかりのように、no の方が強い否定を表していますね。
例文を使って見てみると、もっとわかりやすいと思います。
「彼女は医者なんかじゃない」
例えば医者でもないのに、医者っぽくどこどこが悪いとか、それは〇〇(病名)だと言っている人に対し、「彼女は医者でもないのに、病気かどうかわかるわけがないじゃないか!」と強く否定しています。
「彼女は医者ではありません」
これは単に彼女の職業は医者ではないと言っています。
no と not の違いがわかったところで、no more than と no less than がどのように使われるかを見ていきましょう。
no の意味は「決して~でない」という強い否定の意味だということを頭の隅に置いておいてくださいね!
no more than A は「Aは決して more でない」=「Aは少ない」という意味です。
「私は100ドルしか持っていない」
私は100ドル持っていて、これは決して多くないと言っています。つまり、「私は100ドルが少ない」と考えているわけです。
no more than A は only を使って、 I have only 100 dollars. と言い換えることも可能です。
no less than A は「Aは決して less でない」=「Aは多い」という意味です。
「私は100ドルも持っている」
「私は100ドル持っていて、これは決して少なくない」と言っています。つまり、「私は100ドルが多いと考えている」ということにもなるのです。
no less than A は as much as を使って、 I have as much as 100 dollars. と言い換えることもできます。
no more than A と no less than A は持っている金額は100ドルと同じですが、100ドルの見方(多いか少ないか)の違いをそれぞれ more と less で表現しているのです。
別の例文も見てみましょう。
「トムは仕事用のズボンを3本しか持っていない」
トムはズボンを3本持っていて、これは決して多くないと思っています。つまり、ここでトムはズボン3本が少ないと考えています。
no more than の言い換えは only です。
つまり、Tom has only three pairs of pants that he wears to work と表現できます。
「トムは仕事用のズボンを3本も持っている」
トムはズボンを3本持っていて、これは決して少なくないと思っています。言い換えれば、ここでトムはズボン3本が多いと考えています。
no less than の場合、言い換えは as many as です。
Tom has as many as three pairs of pants that he wears to work と言うこともできるわけですね。
では次に not more than と not less than がどのように使われるかを見ていきましょう。
not more than A はただの否定構文なので「A より多くない」=「多くても A」という意味です。
例えば、「私が持っている金額は100ドルより多くない」と言いたいときは I have not more than 100 dollars ということもできるし、同時に「私は多くても100ドルしか持っていない」という意味にもなります。
また、not more than A は at most を使って I have at most 100 dollars と言い換えることもできます。
not less than A もただの否定構文で、「A より少なくない」=「少なくても A」という意味です。
「私が持っている金額は100ドルより少なくない」
言い換えると、「私は少なくても100ドルは持っている」ということになります。
not less than A は at least を使って、I have at least 100 dollars と言い換えることも可能です。
「彼女は30歳より多くない(上でない)」
つまり、「彼女はせいぜい30歳だろう」ということになりますよね。
また、not more than A は at most を使って言い換えることもできます。
「彼女はせいぜい30歳だろう」
「彼女は30歳より少なくない」
言い換えると、「彼女は少なくても30歳だ」です。
また、not less than A も at least を使って言い換えることができます。
「彼女は少なくても30歳だ」
no more than A/no less than A に似た構文で、A is no more B than C is D / A is no less B than C is D という構文があります。
CがDでないように、AがBである可能性もそれ以上にない(no more)と強調して言いたいときに使える表現です。AB, CD 両方とも否定の意味があります。
「カナダ人がアメリカ人でないのは、日本人が中国人でないのと同じ」
日本人が中国人と同じでないのは明らかですよね。
このように明らかな例を使って、カナダ人がアメリカ人と同じである可能性も絶対にないと言っています。
この no は not any ということなので、次のように言い換えることもできます。
「カナダ人がアメリカ人でないのは、日本人が中国人でないのと同じ」
上記の A is no more B than C is D 反対の意味を示し、CがDである事実は、AがBである事実よりも絶対に少なくない (no less)という意味を表します。AB, CD 両方とも肯定の意味があります。
「中国人がアジア人であるのと同様にインド人もアジア人である」
中国人がアジア人である事実は、インド人がアジア人である事実よりも少なくない=同様に事実だ、と言っています。
than 以下で前出部と重複する語句がある場合、その語句は省略することが可能です。ここでは is と Asian が重複しているので An Indian is no less Asian than a Chinese と言うことができます。
not more than A / not less than A に似た構文で、A is not more ~ than B / A is not less ~ than B という構文があります。
これは単純な否定文で、意味上でAB両方とも肯定しているのが普通です。
「この試験はあの試験ほど難しくない」
この試験もあの試験も難しいという肯定の意味があります。この例文は「どちらも難しいが」というニュアンスがあることもしっかり覚えておきましょう。
これは、先述の A is not more ~ than B (A は B ほど~ではない)とは反対の意味を持つ単純否定文で、こちらも意味上はAB両方とも肯定しています。
「私はあなたに劣らず緊張している」
私もあなたも緊張している、という肯定の意味があります。
今回は no more than や no less than を使った比較級の構文を紹介しましたが、いかがでしたか?
no や not がつく否定文なのに、肯定の意味になるものもあり、比較級を用いた構文は本当に悩ましいですよね。
この構文は丸暗記するより、何と置き換えて言うことができるかを覚えたほうが理解しやすいです。例文を使った言い換え練習をすると良いでしょう。
no more than/no less than と not more than/not less than に似た構文もここで紹介しましたので、ぜひ一緒に覚えてみてください!