SHIORI
(更新)
「please」には「どうぞ・どうか・お願いします・すみませんが・何卒」などという意味があり、誰かにお願い事をする際に使うとより丁寧な言い回しになる便利な単語です。
アメリカでは、子供が俗に言う「タメ口」(please を使わない普通の文)で何かをお願い事をした際に、しつけのために「お願いするときは何ていうの?」と聞き返す事が多々あります。
そしてそう言われた子供は、「please」と答えます。このように、「please」には丁寧語の役割があるのです。
しかし使い方や言い方によっては少しキツく聞こえてしまったり、失礼に聞こえてしまったりする場合があるので、使う際には少し注意をする必要があります。
今回は、「please」の意味と使い方を説明していきたいと思います。
冒頭でも少し触れたように、please には「どうか・どうぞ・お願いします・すみません」のような意味があり、文頭、文中、または文末に付け加えることにより、元の文を丁寧にする働きがあります。
「チキンサラダサンドにします」
「チキンサラダサンドイッチをいただきます」
「コーラもらえますか?」
「コーラいただいても良いですか?」
「次の会議の案内を送ってもらえますか?」
「次の会議の案内を送っていただいてもよろしいですか?」
「ゴミ捨てて」
「(どうか)ゴミを捨ててください」
さて、please は、付け加えるだけで元の文よりも丁寧な印象になるマジカルワードだと説明をしました。しかし、なり振り構わず please をつければいいというわけではありません。
たとえば、命令文に please をつけると、やや丁寧な表現にはなるものの、命令するニュアンスが残ってしまうため、少しキツく聞こえてしまったり、上から目線に聞こえてしまうということがあります。
「書類を送ってください」
→少し上から目線/冷たく聞こえる
そのため、相手に何かを依頼するときは、尊敬語や謙譲語に近い英語表現である could you please/can you please/would you mind/would you please/will you などが多く使われます。
「書類を送ってくださいますか?」
→相手を持ち上げた尊敬語や自分を下げた謙譲語のような印象になる
一方で、公共の場にある看板や案内などには、命令文に please をつけた文法や動名詞に please をつけた文が使われる事が多いです。
「ここで用意される食べ物には以下の食材が入っているかもしれないことをご承知おきください:牛乳、卵、小麦、大豆、木の実」
「禁煙願います」
「お持ち物を放ったらかしにしないでください。私達は責任を負いません」
please は付け加えることによって丁寧なニュアンスを引き出す事ができますが、ネガティブな文に付け加えてしまうと、相手を侮辱したり、嫌味に聞こえたり、喧嘩を売っているかのように聞こえてしまいます。
たとえば、Brush your teeth, please?「歯を磨いてください」という文は、「歯を磨いて」を please が強調しているので、口が臭いと遠回しに言っているように聞こえます。
ほかにも、Please be quiet「静かにしてください」と言われた場合、遠回しにうるさいと言われているように感じます。
また、つけなくてもいいような文に please を付け加えると、強調の意味を表し、嫌味に聞こえることがあります。
「着替えてきた方がいいよ」
→服がダサい、または臭いと言っているように聞こえる
Would you mind doing ~? や Would you mind if I do ~?という英語表現がよく使われます。
直訳すると「〜することを気にしますか?」になり、相手の様子を伺っていることから、謙譲語の「〜していただいてもよろしいでしょうか」や「〜してもよろしいでしょうか?」のような響きになります。
「ミーティングで使う書類を送っていただいても良いですか?」
「ミーティングの日程を変更してもよろしいでしょうか?」
Can you ~? を使った文章は、「〜できる?」とタメ口のような聞こえになるため、上から目線に聞こえてしまうことがあります。
そのため、ビジネスでのクライアントとのやりとりや上司とのやりとりなどでは、もっと丁寧な英語表現である Would you be able to ~?「〜ことは可能でしょうか?」を使うことが多いです。
「ひょっとしてミーティングの日を変更していただけることってできますか?」
「明日電話かけ直していただくことは可能でしょうか?」
Could you ~? を使った表現は Can you ~? よりも丁寧な響きになります。そこに please をつけるとより一層丁寧に聞こえます。
「アドバイスをいくつかいただけますか?」
「どうか締め切り前に私にレポートを提出することを念押ししていただけますでしょうか?」
I’d like you to do ~. は、I want you to do ~. の丁寧な言い方になります。
want を使う表現はどうしても子供っぽく聞こえてしまうので、ビジネスなどの場では I’d like to が代わりに使われます。
「皆さんに私の自己紹介をしたいと思います」
=「自己紹介をさせてください」
「あなたに来週の会議に出席していただきたいです」
Is it okay if ~?「〜してもいい?」という英語表現を丁寧にしたい場合は、Would it be okay if ~? ということができます。
やはり Is it okay if ~? を使ってしまうと、タメ口感が出てしまうので、ビジネスの場などで使うことはあまり好ましくありません。
「こちらの電話をあなたに繋げてもよろしいでしょうか?」
「明日の朝に電話をしてもよろしいでしょうか?」
メールによく使われる英語表現として、I would appreciate it if ~. があります。
これには「〜していただければ幸いです」という意味があり、please を使わずに丁寧な依頼を表現することができます。
「もう少し詳しい情報が頂ければ幸いです」
また、同じような表現で、We would be grateful if you could ~. という英語表現も使われます。
「どうかあなたの体験を共有していただけますと幸いです」
直訳をすれば、「〜はとても感謝されます」となりますが、「~」に名詞を入れる事で、「〜に感謝いたします」という意味になります。
この英語表現も、please を使わずに先に感謝の意図を伝えることで依頼の意味を表します。
「何か更新していただけると幸いです」
=「何でもいいので新たな変更/お知らせがあれば感謝いたします」
「何か情報があれば幸いです」
Can I ~? は「〜してもいい?」という意味があり、それを丁寧に言う場合は、Can I please のほかに、May I ~? を使う事ができます。
「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「質問してもよろしいでしょうか?」
いかがでしたか?
please は文章を丁寧にする魔法のような単語ですが、時と場合によっては、失礼に聞こえてしまうこともあることが分かったと思います。
この記事を参考に、please の使い方、そして丁寧な依頼の英語表現をマスターしましょう。