
masa osada
(更新)
1日に何度言ったり書いたりするかわからない「よろしくお願いします」。
英語にするとしたら、どう表現するのが一番ピッタリくると思いますか?
…なかなか思い付かないのではないでしょうか。
なぜなら、「よろしくお願いします」は、英語にできない表現の代表格である「いただきます」や「ごちそうさまでした」よりも英語に訳するのが難しい表現だからです。
「いただきます」や「ごちそうさま」の場合、使うシチュエーションがハッキリしているので、まだ別の言葉に置き換えやすいでしょう。ところが「よろしくお願いします」は使用目的が多岐に渡りすぎていて、「英語ではこう言う!」と明確な答えを出すことができません。
そこで今回は6つシチュエーションに合わせた「よろしくお願いします」の英語表現を紹介していきます。
国が違えば、言葉も文化も違ってきます。
まずは、「よろしくお願いします」を使うシチュエーションにはどんな種類があるか、主なものをリストアップしてみました。
これら1つ1つの「よろしくお願いします」が英語ではどんな風に表現されているか見てみましょう。
初めての人と会ったときや、就職して同じ部署や関係部署の人たちに会ったときの挨拶で使われる「よろしくお願いします」からまずは紹介していきます。
まず初めて会った人との挨拶を日本語で見てみましょう。
英語には、このシチュエーションにおける「よろしくお願いします」に当たる表現がありません。
だからといって、別の言葉に置き換えて、たとえば「今後とも仲良くしてください」のつもりで Please be nice to me と言ってしまうと、英語ではそんなことを言う人はいないので、相手がビックリしてしまいます。
このようなシチュエーションでは、皆さんのよく知っている nice to meet you を「よろしくお願いします」の代わりに使うのが一般的です。
上の例文を英語にしてみると以下のようになります。
「はじめまして。佐藤太郎と申します。よろしくお願いします」
「はじめまして。山田幸夫と申します。こちらこそよろしくお願いします」
もし相手が目上の人で丁寧に言いたいときや、「会えて嬉しいです」という気持ちを強く伝えたいときは It's pleasure to meet you や Pleased to meet you を使うこともできます。
「はじめまして、ジョンと申します。お会いできて光栄です」
「はじめまして、ケビンと申します。お会いできて嬉しいです」
誰かと初めて会って、相手が先に名乗ってくれたときは、返事の際に相手の名前を言ってあげると好印象ですよ。
新しい会社に入社した後や、職場内で異動した後、または同じチームで一緒に作業する人たちに挨拶として「よろしくお願いします」と言うことがありますね。これを英語にするにはどうしたら良いでしょう。
日本語の「よろしくお願いします」には、「今後いろいろご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いします」という意味が含まれています。
ところが、それをそのまま I might cause you trouble but …. と英語で言うのはものすごく不自然なうえに、ネガティブな印象を与えてしまいます。
英語では、ポジティブにこんな風に言いましょう。
「一緒に働くことにワクワクしています(楽しみにしています)」
「一緒に働くことにワクワクしています(楽しみにしています)」
「一緒に働けることを楽しみにしていました」
もし「楽しみにしていますは何かと違う」と感じるときは
「最善を尽くします(がんばります)」
が前向きでやる気が感じられて好感をもらえるはずです。
ミーティングが終わったあとや、仕事関係の人との別れ際に「では、今後ともよろしくお願いします」やシンプルに「よろしくお願いします」と言って立ち去ることがありますね。
そんなときは
「お会いできて良かったです」
「将来、一緒にお仕事できることを楽しみにしています」
「一緒にビジネスできることを楽しみにしています」
「次回、お会いできるのを楽しみにしています」
I'm looking forward to の代わりに主語を変えて We are looking forward to にすると日本語で「私ども」と言うのと同じように「会社」としての気持ちを伝えることができます。
もう少しフランクな関係で、たとえばビジネス以外でカジュアルな英語フレーズを使いたい場合は次のように言うこともできます。
「また連絡を取り合いましょう」
「また近々会いましょう」
仕事を頼みたいとき、買い物をお願いしたいときの「よろしくお願いします」は、初対面の挨拶や別れ際の「よろしくお願いします」と比べてとてもわかりやすいです。
なぜかというと、Can you … 「〜してくれますか?」の英語フレーズを丁寧にするだけで、「よろしくお願いします」というニュアンスになるからです。
同じ依頼内容で丁寧さの度合いだけを変えた例文を紹介します。
「見積書の詳細を7時までにくれる?」
「見積もりの詳細を7時までにもらえますか?」
「どうか見積もりの詳細を7時までにいただけますか?」
Can you や Could you だけでなく、Could you please〜 はお願いするときのとても丁寧な言い回しなので、ぜひ覚えておきましょう。
部下や同僚などの場合はもう少しカジュアルに、「よろしく頼むよ」のようなニュアンスで次のような英語フレーズを使うこともできます。
「頼りにしているよ」
また何か仕事をお願いしたときに、英語では事前にお礼を言うことがあります。
「ご協力いただけること、前もってお礼させていただきます」
「尽力いただけること、前もってお礼させていただきます」
「ご協力いただけること、前もってお礼させていただきます」
これらの言い回しは、逆に日本語にしにくい英語独特の表現です。
in advance は「前もって」「事前に」という意味ですね。そして手伝ってくれたり、一生懸命働いてもらったり、協力してもらう前に「お礼」をすることで、結果的に日本語の「よろしくお願いします」の代わりに使うことができます。
文末で書かない日はないくらい、「よろしくお願いします」はメールを締めくくる定番の決まり文句になっていますね。
これを英語にするなら、<bBest Regards や Kind Regards といったメールの締めの決まり文句がそれに当たります。
もう少し付け加えたい場合は、日本語の「次回お会いできるのを楽しみにしています」や「ご連絡お待ちしております」に当たる文章を入れて、「よろしくお願いします」の代わりにすることもできます。
「次回お会いできるのを楽しみにしています」
「ご連絡をお待ちしております」
取引先の人とのやり取りの中で、「◯◯さんによろしくお伝えください」と言いたい場合の表現方法です。
友だち同士の場合はとてもカジュアルに言うことができます。
「ジェームスに Hello/hi と言っておいて」
=「ジェームスによろしく」
「私が Hi と言ったとジェームスに伝えて」
=「ジェームスによろしく」
でも、取引先の人にこんな軽い口調で言うのは場違いですね。そんなときは少しかしこまった言い方があります。
「ジェームスに敬意を伝えてください」
=「ジェームスによろしくお伝えください」
改めて見直してみると、日本語の「よろしくお願いします」はものすごくたくさんのニュアンスを含んだ便利な言葉だということがわかりますね。
でも、「よろしくお願いします」の気持ちをそのまま英語にしてしまうと、英語圏の人たちにとっては丁寧すぎたり、ときにはネガティブに捉えられてしまうこともあります。
こういった違いは言葉を学ぶのと同時にその国の文化、人の考え方を学ぶことにも繋がるのでとても興味深く面白いですね。それぞれの国特有の言い回しから文化を感じ取りつつ、楽しく英語を学んでいきましょう。