K. Inoue
(更新)
英語の大切な品詞の1つに「接続詞」というものがあります。
「接続詞」と聞いて「単語や文をつなぐもの」と理解しておられる方は多いと思いますが、「従属接続詞」や「等位接続詞」という用語もバッチリ、と自信を持って言える方は少ないのではないでしょうか。
今回は、これらの接続詞の種類や違いについて分かりやすく解説していきます。
接続詞の使い方が分かれば、英文を見る景色がぐっと広がりますので、ぜひここでマスターしていただければ嬉しいです。
そもそも接続詞とは何でしょうか?
「接続する」というのは簡単に言えば「くっつける」という意味で、つまり英語における「接続詞」とは「単語と単語」や「文と文」などを互いにくっつけることばのことです。
日本語でも「ウサギとカメ」、「僕は犬が好きで、彼女は猫が好き」のように単語や文同士をくっつけることはよくありますね。
英語では and や but が代表的な接続詞としてよく知られていて、次のように使います。
「ウサギとカメ」
「僕は犬が好きで、彼女は猫が好き」
英語の接続詞は大きく2つのタイプに分けられます。
1つが「等位接続詞」、もう1つが「従属接続詞」(または「従位接続詞」とも呼ばれる)です。
接続詞を勉強する際、「and が『そして』で、but が『しかし』で…」のように単語と意味だけ覚えていくのではなく、どちらのタイプの接続詞かを意識するだけで、その英文に対する見方はずいぶん変わります。
より正確に理解したり使いこなしたりするためにも、ぜひ両者の違いを知っておいていただければと思います。
「等位接続詞」は「2つの文を対等の関係でつなぐ接続詞」です。
先ほどの「I like dogs, and she likes cats.」という例文では、「I like dogs」と「she likes cats」を別々の文に分けてみても、どちらも独立した文としてそれぞれ成立しますね。
この and のように、両者が対等な関係にある文をつなぐ接続詞が等位接続詞です。
等位接続詞には and の他に、but、or、so などがあります。
また、等位接続詞は文をつなぐだけでなく、「The Hare and the Tortoise(ウサギとカメ)」のように、単語と単語や句と句を結びつけることもできます。
「ジャックは医師でケンは看護師だ」
「彼は笑おうとしたが、できなかった」
「この夏はニュージーランドかオーストラリアに行きたいな」
「外はとても寒かった。それで僕たちは家に帰った」
「従属接続詞」は「メインとなる文に何らかの情報を補足的に加える文をつくる接続詞」です。
たとえば次の文を見てください。
「私は子どものころに大阪に住んでいた」
これは「I lived in Osaka(私は大阪に住んでいた)」というメインの文に、時を表す接続詞 when を使って「いつのことか」という情報を補足的に加えています。
等位接続詞でやってみたように、後半の「I was a child(私は子どもだった)」という部分だけを切り取っても大した意味はなく、前後半が対等の関係ではありません。
メインの文に「when I was a child(子どものころに)」をつなげてはじめて「私は子どものころに大阪に住んでいた」という納得感のある文ができあがります。
「従属」というのは、この「子どものころに」ように補足的な情報を加えるはたらきをすることを指し、そのまとまりを作る when などの接続詞のことを従属接続詞と呼ぶわけです。
接続詞を挟んだ両者の文が対等関係にあるのではなく、従属接続詞はあくまでメインの文のサポートに回る接続詞なのです。
従属接続詞は大きく2つのはたらきに分けることができます。
1つは、「名詞のまとまりをつくる」というはたらき、もう1つは、「副詞のまとまりをつくる」というはたらきです。
うしろにSVを置き、「SがVすること」などの意味の名詞のまとまりをつくる従属接続詞があります。
名詞のまとまりをつくる従属接続詞の代表格は that です。
「that+SV」で「SがVするということ」という意味になります。
「僕は、彼は今日は具合が悪いんだと思うよ」
→「僕は思う」+[彼は今日は具合が悪いということ]
「I think(僕は思う)」だけでは意味が通りませんから、[何を思うのかという中身]を that 以下が加えているのです。
またこの文は、文型の観点からも that 以下がなければ成立しません。
「I think(SV)」だけでは不完全であり、think の目的語Oがあってようやく文は完成します。
つまり、that によって作られる名詞のまとまりは、文型上の目的語Oの役割を担うことになっているのです。
「that+SV」はO以外にも、名詞がその役割を果たす主語Sや補語Cなど、いろいろなパターンで用いられることがあります。
■ 主語Sの場合
「彼女が完璧なスピーチをしたという事実は驚きだった」
※「that+SV」を主語にする場合は、以下のように it を代わりに使うのが普通です。これを「形式主語」と呼びます。
例:It was surprising that she gave a perfect speech.
■ 目的語Oの場合
「彼は来るって言ってたよ」
■ 補語Cの場合
「問題は、誰もカギの在りかを知らないということだ」
■ 名詞が表す内容を説明する場合
「私は彼が事故から生還したという知らせを聞いてほっとした」
※the news という名詞の内容を that 以下が説明しています。これを「同格」と呼びます。
「~かどうか(ということ)」を意味する whether と if も名詞のまとまりをつくる従属接続詞です。
that 同様、S、O、Cのまとまりなどの役割を担うことができます。
※ただし if は S と C にはなれません。
「疑問なのは、彼らが真実を知っているかどうかだ」
「彼に昨夜彼女を見たかどうか聞いてみよう」
「彼がまだそこにいるかどうかわからないな」
すでにご紹介した when のように、メインの文に何らかの情報を副詞的に補足する従属接続詞があります。
以下、主な意味ごとに使用例と一緒にまとめてみます。
「彼女が電話してきたとき、私は電車に乗っていました」
「ビーチ沿いを歩いているとき、私はたくさんの鳥を見かけました」
「出かける前に、ドアが施錠されていることを確認してください」
※従属接続詞を文頭に置く場合、意味の区切れが分かりやすいようにメインの文との間にコンマを置きます。
「私はその本を読んだ後にレポートを書かなければなりません」
「到着したらすぐに電話をください」
「私たちは雨が降っていたので出かけませんでした」
「君は体調が悪いんだから、今日は家にいるべきだよ」
※since はすでに相手も分かっている内容を述べるニュアンスで、文頭で使うことが多いです。相手が分かっていること、つまり古い情報を英語ではなるべく早い段階で登場させようとするからです。
「彼は教えるのがうまかったので、私は彼にその問題の解き方をたずねた」
「もし質問がございましたら、どうぞ遠慮なくご連絡ください」
「飛行機が遅れない限り、彼は8時までにはここに着くはずだよ」
「そのホテルはあまり見た目はよくなかったけれど、料理は素晴らしかったです」
「宿題を最初に終わらせさえすれば、友達と遊びに行ってもいいよ」
「僕の知っている限りでは、彼は悪い人ではないよ」
こちらの記事もご覧ください。
いかがだったでしょうか。
接続詞は大きく「等位接続詞」と「従属接続詞」の2種類に分かれ、その中でも名詞のまとまりをつくったり副詞のまとまりをつくったりなど、文法的にもさまざまなな役割を担います。
また、意味によっては as soon as や as long as などのように、複数の単語が集まって1つの接続詞として扱うものもあります。
今回ご紹介できなかったものも実はまだまだたくさんあります(!)
そう考えると接続詞は意外と奥が深く、また覚えることもたくさんあって難しいと感じられるかもしれません。
しかし、それでも接続詞の利便性を考えるとき、絶対に学んでおいて欲しいと思います。
単語や文などをつなげることで、1つの文でより多くの情報を伝えたり、論理的な文章を組み立てたりすることを可能にしてくれるのが接続詞だからです。
接続詞は文の可能性を広げるもの。
そう思って前向きに向き合っていただければ嬉しいです。