K. Inoue
(更新)
「then」と聞いてどのような単語だと思いますか?
「『そのとき』の意味」、「中1レベルの基礎英単語」と思われるかもしれません。
それは間違いではないのですが、実は then はそれ以外でも、会話の中でもの凄く多様な振る舞いをする超便利な一面もあるのです。
そこで今回は、中学校では教えてくれない then の意味と使い方を、たくさんの例文と一緒にご紹介していきます。
この記事を通じて、ぜひ then のネイティブ感覚を養ってください。
thenの最も分かりやすい使い方は、過去または未来のある一時点を指す使い方です。
「そのとき・あのとき」などの意味で最初に覚えた人も多いのではないでしょうか。
「私はそのとき自分の部屋にいました」(過去)
「そのときに会いましょう」(未来)
この「とき」の意味での then は、いろいろな副詞や前置詞と組み合わせて使うこともできます。
「当時僕たちは良い友達だったんだ」
「ちょうどそのとき、見知らぬ人が現れた」
「それ以来私たちは付き合っています」
「それまで我々にできることは何もありません」
「そのときまでには到着しますよ」
ではここから、あまり馴染みのない、でもネイティブの日常会話ではとてもよく登場する使い方を見ていきましょう。
then は「それから・次に」のように物事の「順序」を表す使い方もでき、出来事の順に物事を説明する文脈や、命令文などでよく使われます。
「彼女は僕の正面に立って、それから大きく微笑んでくれた」
「赤色のボタンを押して、それから電池を取り出してください」
「で、次は?」
このパターンでは、then の前に and を入れることもよくあります。その場合、順序を表す意味合いが強調されます。
逆に、then の代わりに and だけを用いても同様の意味を表すことができます。
次にご紹介する then の使い方は、「じゃあ」や「ということは」のように相手の発言を受けて次のことばに繋げるための「つなぎ」としての使い方です。
相手の発言内容を確認したり、意見に同調したりするときなどに使われます。
「僕たちパーティーに招待されたみたいだよ」
「それじゃあネクタイしなきゃいけないな」
「彼はもう着いてるって言ってるよ」
「ということはきっと入れ違いになったんだろうな」
※このように文末に then を置くこともできます。
また、「つまり」のように発言内容を別の言葉で説明したり言い換えたりする場合に使うこともできます。
「ジャックは練習が足りなかったのさ」
「つまり彼のせいで試合に負けたって言いたいの?」
「もし君が彼女の考えに反対なら、それはつまり君は僕たち皆に反対だと言っているってことだよ」
さらに、「if節」を用いた文では、if節の内容を受けて「その場合」の意味で主節とつなげることもできます。
「明日天気が悪かったら、その場合は家にいよう」
この then は文法的には必ずしも必要なものではありません。then を使うことによって、「その場合ならどうするか」という結論を明確に述べようとする姿勢を演出することができるのです。
一通りの話の区切りや、切り替えの合図として then を使うこともよくあります。
「オッケー、じゃあ」
「それでは」
「えっと、じゃあ」
「それじゃあやろうか」
「じゃあまたね」
この then は間投詞的に使われていて、特に深い意味があるわけではありません。
話に間を置いたり、発言の合間でリズムを整えたりするために無意識に口から出てくることも少なくありません。日本語で何気なく言う「じゃあ」に近い感覚で発している程度です。
最後に2つほど定型的な使い方をご紹介します。
and then の形で、先にご紹介した「順序」以外に「追加」の意味で使うこともできます。
「それは彼のせいではないよ。しかも彼はその件には無関係なんだ」
but then は「でも・そうは言っても」のように逆接的な意味になります。
「彼は来なかった。でもそもそも僕らは、彼が僕らの仲間になるなんて思っていなかったけどね」
いかがだったでしょうか。
中学で習った「そのとき」という意味だけではカバーすることのできないさまざまなことを then は表すことができます。
しかも想像以上にネイティブはこの単語を多用しているのです。
then の使い方は、知識ではなく感覚的にマスターすることを目指した方が近道。日本語でしばしば会話に挟まれる「で」とか「じゃあ」のように、実例を通じて感覚として体得していきましょう。
そのため今回は例文を中心にまとめてみました。
ぜひ状況をイメージして、何度も音読することでその感覚を養っていただければ嬉しいです。