Yoko
(更新)
英語学習でつまずきやすいテーマのひとつ、「関係代名詞」。
中学校の授業で、関係代名詞のせいで英語に苦手意識を持ったという人も多いのではないでしょうか?
でも、ちょっと待ってください!
関係代名詞がわかると会話のレベルもグッと上がります。あの頃わからなかった関係代名詞を、文脈上の役割とともにもう一度おさらいしてみましょう。
本記事では、関係代名詞「which/who/that」に焦点をあて、わかりやすく解説していきます。
教科書では、関係代名詞の役割を「2つの文をつなぎ、直前の名詞(先行詞)を修飾(説明)する節(文)を作る」と説明しています。
例えば、学校のテストでは次のような問題が出されたことと思います。
「公園で走っている男の子がいる」
しかし、これでは必ずしも関係代名詞の理解にはつながりません。
なぜなら、普段の会話において「あ〜、なんだか2つの文をつなぎたいな〜」といった動機は生まれないからです(笑)。
むしろ、関係代名詞を習得するより「2つの文をそのまま書いたり話したりすればいいのでは? 実際通じるんだし…」と思うかもしれませんね。
次の章では、関係代名詞を使う意義やメリットを解説します。
関係代名詞を理解するには、その「思考経路」を理解することが重要です。
最初の例文に戻りましょう。
「男の子がいる」
「彼は公園で走っている」
ここでの思考経路は、
①「男の子」がいることを認識
↓
②その「男の子」が「公園で走っている」ことを認識し説明
という流れです。
説明(情報)が付け加えられている「男の子」のことを「先行詞」といいます。
そしてその先行詞に対しての「公園で走っている」という“説明の追加”こそが関係代名詞の本質。
関係代名詞を使いこなせると、アドリブで情報を追加していくという作業ができるようになるのです。
ここで勘のいい方は何か気づいたかもしれません。
日本語の訳を見ると、「公園で+走っている+男の子」と修飾する言葉(=男の子)の前で説明がされています。
それに対して英語では、「There is a boy + running + in the park」と後ろに説明がつけられていますね。
前から説明を加える場合もありますが、英語は断言することが多い言語のため、原則的に関係代名詞のようなルールを使ってあとから説明を付け加えるのです。
関係代名詞には「who/which/that」など複数の種類があります。
改めてこれらを学んでおきましょう。
先行詩/格 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
人 | who | whose | whom(who) |
動物・事物 | which | whose of/which | which |
人・動物・事物 | that | - | that |
このように、関係代名詞は先行詞と格の種類によって形が変化します。
なんともややこしいと思うかもしれませんが、主格・所有格・目的格について、一つひとつ見ていきましょう。
※ whose や what は少し特殊な使い方なので、こちらの記事では割愛します。
主格とは、説明を付け加える文章(節)で主(語の役割を果たす)格(語)のこと。
これは以下の2文にわけられます。
Bの「she」はAの文章における「a girl(人)」を指し、Bの文章では主語の役割を果たしています。そのため、主格の「who」が用いられるのです。
所有格とは、そのあとに続く名詞を所有や所属などの意味を加えて修飾する語をいいます。
次の2文を関係代名詞を使って1文にする場合はどうなるでしょうか。
Bの「her(人)」はAの「a girl」と共通した事項で、その後にくる father にかかる所有格なので、関係代名詞は「whose」が用いられます。
目的語とは動詞の目的となる語です。「~は〇〇をする」の〇〇に相当します。
よって、Bの「her」が目的語ですね。
この2文をつなぐと、
ただし! 関係代名詞が目的格で「制限用法」*の場合、省略することもあります(詳しくは後述)。
「彼女は私がパーティーに招いた女の子だ」
また、日常会話において whom が使われることはまれで、このように省略されるか、代わりに who や that が使われることが多くあります。
「彼女は私がパーティーに招いた女の子だ」
関係代名詞の使い方には、「制限用法」と「非制限用法」の2種類があります。
解説の前に、まずはそれぞれの例文を見比べてみましょう。
【制限用法】
「彼には結婚した息子が(何人か)います」
【非制限用法】
「彼には(何人か)息子がおり、結婚している」
一見すると、2つの違いは「,(コンマ)」のあるかないかだけ!
しかし、意味するものはまったく異なります。
①の場合は「結婚していない息子」がいる可能性があり、②の場合は「息子は全員結婚して」います。
制限用法は、「関係代名詞以下→先行詞」の順番で訳します(結婚している→息子)。そして、これが関係代名詞の一般的な使われ方でもあります。
それに対して、コンマがついている「非制限用法」の場合は、コンマで区切って訳します(息子がいる→結婚している)。つまり、コンマ以降の「結婚している」は補足説明の機能をします。
そのため、似たような文章でもコンマ1つで意味が異なるのです。
この2つの違いは文章ならわかりますが、会話だとわかりませんよね。実は非制限用法は文語であり、会話で使われることはありません。
口語で「息子がおり、全員結婚している」と言いたいときには、
「彼には(何人か)息子がおり、みな結婚している」
このように言うといいでしょう。
ここまで見てきて、「じゃぁ that はどうやって使えばいいの?」と疑問に思った人もいるはずです。
先ほどの「関係代名詞の種類」を見てみると、that は主格にも目的格にもなることができます。
who のように格によって whose(所有格)、whom(目的格)と変化させる必要もありませんし、「that を使っておけばOKじゃない?」と思いますよね。
実は、それは間違いではありません。まずは that を使った例文を見てみましょう。
【主格の場合】
「お店のそばに立っている男性は私の父です」
【目的格の場合】
「これは今まで見たなかで最もかわいい子犬です」
※ 目的格として that を使ったときは例文のカッコ内のように省略することができます。
どちらの場合も who や which の代わりに that を使うことが可能です。
ただここでポイントとなるのは、どちらも先述の「制限用法」であるということ。よほどのことがない限り、that は非制限用法で使うことはありません。
また、制限用法で who/which/that のどれを使うことができると言っても、that を優先して使ったほうがいい例もあるので注意が必要です。
that は接続詞(that節)など関係代名詞以外の機能を持つこともあるので、こちらの記事も参考にしてみてください。
日本語にはズバリと関係代名詞に相当するものがないため、日本人にはなかなか理解が難しいものです。
しかし、これを理解できるようになると、リーディングでは文の構造が把握しやすくなり、ライティングではネイティブらしい英文が書けるようになります。
また会話においても表現の幅が一気にUPし、アドリブをどんどん入れられるようになりますよ。
過去に関係代名詞で挫折した人は、ぜひもう一度チャレンジしてみてくださいね。