西東 たまき
(更新)
企業のブランド名を耳にするとき、しばしばその会社のスローガンも頭に浮かんでくることがあります。また逆にスローガンを耳にすることで、特定の会社や製品が思い浮かんだりしますね。
例えば、“I'm lovin' it” と聞けばすぐに『マクドナルド』だと分かりますよね。
当記事では、よく知っているブランドスローガンとその意味をご紹介していきます。スローガンに隠された意味から、ブランドが目指しているイメージを探ってみましょう!
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“slogan(スローガン)” は、日本語で「モットー」や「標語」に相当します。
“catchphrase” や “tagline” とも言い、いずれも広告用の宣伝フレーズのことです。短めの言葉で人の記憶に残りやすいように作られているのが特徴です。
「キャッチコピー」という言葉もよく使われていますが、こちらは日本ならではの和製英語です。
中には、前述の『マクドナルド』のように、メロディーに乗せて流れてくるフレーズも多くありますね。こういったメロディーは “jingle” と呼びます。
では早速、心に残るスローガンの数々を見て行きましょう。
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「違う考え方をしよう」と呼びかけるアップルのスローガンは、独創的な発想を感じさせるアップルの製品に体現されています。人生訓としても良い言葉ではないでしょうか。
バブル期の日本を含む世界各国で展開したアメリカのレコード・CD販売店「タワーレコード」は、当時を知る世代にとっては大変懐かしい存在です。音楽ファンにとって、“No Music, No Life(音楽のない人生なんて)” のスローガンは納得ですよね。
スイスの高級腕時計ブランド“ROLEX”は、王冠(crown)が目印です。そんなロレックスのスローガンは「何かを成し遂げるたびに王冠(crown)を」。
「地球最大の品揃え」というキャッチフレーズは巨大ECサイトのアマゾンにぴったりですね。
アメリカのクレジットカードブランドのキャッチフレーズです。直訳だと「これなしで生きて行くな」になりますが、日本語版ではそれを上手にまとめて「そう、人生には、これがいる。」となっています。
1980年代、日本でクレジットカードを展開した当初は、「出かけるときは忘れずに(Don't Leave Home Without It)」のフレーズが印象的でした。
「あなたが行きたいところ、どこにでも」という意味のスローガンは、世界中どこでも通用するクレジットカードの国際ブランドにふさわしいものです。
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「駆けぬける歓び」で知られるBMWのキャッチフレーズは、英語版だとこうなります。
「透けるように薄い」といった意味を持つ “sheer” には、「まったくの、本当の」といった意味もあります。直訳なら「本当の走る歓び」になります。
スコッチウィスキーの著名ブランド “Johnnie Walker” の歴史は200年前までさかのぼります。
長い年月を歩んできたこのブランドには、「歩き続けよう」というフレーズがぴったりです。製品には、歩く男性のイメージが描かれていますね。
この聞き慣れたフレーズが誕生したのは1958年。日本初上陸を果たしたのはその15年後です。
お弁当と一緒に持っていけるチョコレートバーを望む声から生まれたキットカットのフレーズが、「一休みして(Have a Break)、キットカットを食べましょう(Have a Kit Kat)」です。
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この有名なコピーは、世界各国のマクドナルドで2003年から現在まで使われ続けています。
“loving” という使い方は文法通りではなくても、「大好き!」、「たまらない!」といった感覚を今、まさに感じているような躍動感が伝わってきます。
また、本来大文字で書くべき “I” が小文字になっているところには、軽やかさを感じさせられます。
今朝あなたが食べたバナナには「ドール」のシールが付いていませんでしたか?
バナナやパイナップルで有名なドールからのメッセージは「あなたに力を!」です。新鮮な果物であなたの健康を支えるとともに、あなた自身が力を発揮できるよう応援してくれています。
バーガーキングのキャッチフレーズは、「お好きなようにどうぞ」です。
注文を受けてから目の前でサンドイッチを作ってくれるサブウェイは、「新鮮なものを食べよう」と呼びかけています。
コカ・コーラを飲んでさわやかなおいしさに触れたときの「気持ちを味わって(taste the feeling)」というフレーズは、世界共通のキャンペーンで使われているもので、日本では「味わおう、はじけるおいしさを。」というコピーが添えられています。
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ケンタッキーフライドチキン(KFC)のロゴに添えられているのが上記のコピー「指まで舐めちゃうおいしさ」です。
“finger licking” とは「指を舐めちゃう(くらい美味しい)」という意味なのです。
巧みな言葉使いで数々の名言を残したことでも有名なアメリカの伝説的プロボクサー、モハメド・アリの言葉です。“nothing” には「重要ではない」という意味があります。「不可能なんてクソくらえ」といったところでしょうか。
1988年に作られて以来、すでに30年以上も使われているこのフレーズは、今聞いてもパワフルです。
「ただやるのみ」、「とにかくやれ」といった意味になります。
日本でも英語版そのままに、「あなたにはその価値があるから」というフレーズが使われていましたね。
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次世代に向かって伸び続けようという日立のビジョンを表しているのが、聞き慣れたこのフレーズです。「次の世代に伊吹を与えていこう」という意味になります。
「より良いものを目指して変革を続ける」です。“Changes” と複数形になっていることで、様々な変革が暗示されています。
パナソニックが創業100周年となる2018年に向けて作ったもので、「より良い生活、より良い世界」を意味しています。地球環境への配慮など、より良い世界に向けて貢献していこうとの覚悟が感じられます。
暮らしに必要な電化製品を網羅して提供するLGエレクトロニクスのキャッチフレーズは、「ライフって良い」です。
この “Life” はLG製品で実現する「暮らし」、ひいては「人生」ということになるでしょう。頭文字を合わせれば “LG” になります。
パソコンを使う人なら誰でも “intel” の文字を見かけたことがあるはずです。
日本語のキャッチフレーズ「インテル入ってる」は、オリジナルのキャッチコピー “intel inside” の意味とリズム感を忠実に実現しています。
各社が粋を集めて作り上げたこれらのスローガンは、さすがにどれも印象的です。
日本語版があるものは、英語のオリジナル版のエッセンスをうまく生かしつつ、上手に日本語に練り直してあって見事ですね。
これからは企業の英語スローガンにも目を向けて、言葉選びのセンスを楽しんでみませんか。
日本の企業が、海外向けにどんな英語スローガンを打ち出しているのかに注目してみるのも面白いのでは。