西東 たまき
(更新)
ビジネスで交渉ごとは付きもの。ビジネスパーソンにとって交渉スキルは欠かせない資質です。
交渉には、ただでさえ手腕が求められるなか、それを英語で行うとなったら不安を感じるかもしれません。しかし、交渉を進めるフレーズ自体は案外決まりきっているものです。
当記事では、交渉をスムーズに進行させるための英語フレーズをご紹介していきます。これらの「型」をベースに、交渉の流れを確立させていきましょう。
英語での交渉時に知っておきたい、ちょっとしたコツもご紹介していますので順にご覧ください!
交渉目的のミーティングだからといって、会っていきなり本題に入るわけではありません。
最初は、small talk(世間話)から始めるのが「マナー」です。
当たり障りのない話題でいいので、挨拶に続けてちょっとしたことを話してみましょう。場のムードを和らげる効果があります。
「ここまでの移動はどうでしたか?」
「何かお飲みになりますか?」
最近のミーティングは、オンラインで済ませることも多いですね。
「そちらは何時ですか?」
「本日は時差がある中、お会いいただきありがとうございます」
現地での出来事が耳に入っているなら、それを話題にするのもよいでしょう。
「そちらでは本格的に暑くなってきたと聞いています。調子はどうですか?」
いずれキリのいいところで自然と会話が本題に流れて行くはずです。
「では、始めましょうか?」
ところで、英語では毎回主語を明確にしなければなりません。
自分ごとについて交渉する場合の主語はもちろん I(私は)、my(私の)ですが、会社やチームを代表して交渉するときは、たとえ一人で臨む場合でも we(私たちは)や our(私たちの)を使うのがポイントです。
では、本題に入りましょう。
資料などを提示して要望や提案を伝えるときは、次のようなフレーズを添えます。
「私たちが提案したいのは...」
「本日はこのあたりを議論していきたいと思います」
提案したい事柄は、次のようなフレーズから始めるだけで言いたいニュアンスが伝わります。
「...をしていただけないでしょうか?」
「...について、どのようにお考えですか?」
「あなたのチームでは...を検討していただけますか?」
以下のようなフレーズに続けて自分たちの状況や主張の理由を説明し、相手の理解を促します。
「私たちの意図は...」
「提案の大きな理由のひとつが...」
「私たちがもっとも重視するのは...」
こちらの要望をどこまで通せるか、可能性を打診する表現例です。
「...を期待することはできますか?」
「どのくらいなら支払可能ですか?」
「そちらの提案は何ですか?」
疑問があったら、きちんと説明を求めましょう。
「具体的に説明していただけますか?」
「それはどういう意味でしょうか?」
相手の言い分を正しく理解できているか不安なときは、逆質問で確認しましょう。違っているところがあれば指摘してくれるはずです。
「つまり、私の理解が正しければ...ということで間違いないでしょうか?」
「...ができるということでしょうか?」
「言い換えると、...ということでしょうか?」
相手の意向を確認するには、次のようなフレーズを使います。
「いかがでしょうか?」
「ご納得いただけそうですか?」
「それを受け入れていただけますか?」
同意する前に、もう一度交渉してみるのもよくあるステップです。
「少し妥協していただけませんか?」
「妥協していただけますか?」
「あなたの提案を受け入れたいのですが、その条件として...」
交渉時のイエス・ノーは確実に伝える必要があります。ストレートな表現で明快に伝えましょう。
「はい、それについては同意します」
「それはいいですね、バッチリです」
「妥当ですね」
「公平ですね。ありがたいです」
「合意に至ったようですね」
相手の要求を受け入れられないなら、それも明白に伝えなければなりません。
そうとは言っても、いきなり「できません」と断るのではなく、英語で「恐れ入りますが、すみませんが、あいにくですが」にあたる I'm afraid、Sorry、Unfortunately などを添えるのがスマートです。
「恐れ入りますが、了承しかねます」
「私たちは別のことを考えていたようです」
「当方ではこれが精一杯です」
「すみませんが、お断りさせていただきます」
「あいにくですが、承知しかねます」
「残念ながら、それは私たちにとって現実的な選択肢ではありません」
意見が合わないことが明らかになった状況をまとめるには、「同意に至らないということで認識が一致する」という意味の英語の決まり文句が使えます。
「意見が一致しないということが明白になりましたね」
その場では回答せず、一旦持ち帰るケースもあります。「社内、関係部署」などを表すには team(チーム)という英語が万能に使えて便利ですよ。
「まず社内で検討する必要がありそうです」
「チームと話し合って、後日改めてご連絡させてください」
「オフィスに持ち帰らせてください」
「最終判断をする前に、上司と相談しなければなりません」
最後に、交渉の終わりで使う英語フレーズを見てみましょう。
「念のため、もう一度詳細を確認しましょう」
「すべて網羅できたと思います。他にご質問はありますか?」
「満足のいく結果でした」
「この決断にとても満足しています」
また、「良い一日を」や「良い週末を」といった別れ際の定番フレーズは、使われるシチュエーション次第で「今日はありがとうございました」というニュアンスになります。
ミーティングを締めくくるフレーズとして使ってください。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。良い週末を。」
英語で交渉するのは不安があるかもしれませんが、お互いの言い分を堅実に積み上げていけばいずれ結論に至ります。
一旦誤解が起きるとそれを解くのは厄介なので、そもそも誤解を起こさないよう要所要所で確認しつつ進めていくのがポイントです。
実は、英語での交渉を上手くまとめるのに流ちょうな英語は必要ありません。
上記で挙げたようなフレーズを適切なタイミングで使っていけば、交渉は進んでいきます。自信をもって臨んでください!