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centre ? center ? 正しいとされるスペルが複数ある英単語30選

centre ? center ? 正しいとされるスペルが複数ある英単語30選

旅行先の看板やテレビで目にした英語をみて、「この単語、このつづりでいいんだっけ?」となる瞬間はありませんか?

大体そういうときは英単語のつづりが、普段自分が使うものと異なることが違和感の原因だったりしますよね。私はオーストラリアでイギリス英語の教育を受け育ったため、日本に帰国してアメリカ英語メインの教科書や町中の看板を見るたびに違和感を感じていました。

今回はアメリカ英語とイギリス英語の違いをベースに、正しいとされるつづりが2つ以上ある言葉をご紹介したいと思います。
 

イギリス英語とアメリカ英語、なぜ違う?

イギリス英語とアメリカ英語なぜ違う

まずはイギリス英語とアメリカ英語の分岐に関する歴史から。

1600年代、まだアメリカがイギリスの植民地だったころは、アメリカ英語もイギリス英語も発音やつづりがほとんど一緒でした。

しかし、1776年にアメリカが独立すると、ノア・ウェブスターが1789年出版の著書「Dissertation on the English Language」で、アメリカは独立国として独自の通貨と言葉をもつべきだと論じました。

さらに、1818年にウェブスターによって辞書が編纂されるとアメリカ英語のスタンダードが定められ、それまでいろいろなつづりがあった単語が一つに定められるとともにイギリス英語との差別化が進んだといわれています。

今もアメリカでは10月16日、ウェブスターの誕生日は辞書の日に制定され、アメリカ英語を作り上げた「合衆国建国の父の一人」と称されています。

彼の取り組みの一つとしてあげられるのは、それまで比較的めちゃくちゃだったつづりと発音の関係性を整理し、つづりと発音のルールを合致させたことです。これが後にアメリカ英語とイギリス英語の違いを生んでいったといわれています。

さっそく具体的にその違いを見ていきましょう。
 

正しいとされるスペルが2通り以上ある英単語30選

スペルが2通り以上ある英単語

① centre/center(中央、中心)

イギリス英語で「re」とスペルされる単語は、アメリカ英語だと「er」になることが多いです。

ウェブスターの辞書によって制定されたアメリカ英語のつづりの代表格の一つで、発音とつづりのルールが一致するようにイギリス英語のつづりを変更したとされています。

自分が読んでいる文章がアメリカのものかイギリスのものかを判断するときに、まず見るのがこの違いというくらい、特徴的な違いといえるのではないでしょうか。
 

② defence/defense(防御、防衛)

多くの単語で「ce(英)」が「se(米)」になります。

こちらもウェブスターの辞書によって制定されたアメリカ英語のつづりの代表格の一つです。
 

③ colour/color(色)
④ saviour/savior(救世主)
⑤ flavour/flavor(味)
⑥ endeavour/endeavor(努力する)

color

アメリカ英語ではよくイギリス英語にはある「u」を抜いたスペルを使います。

たしかに、"colour" と "hour" では同じ "our" が入っているのに発音が違います!それを区別するために「u」を抜いているそう。

"colour" のほかにも "saviour/savior(救世主)", "flavour/flavor(味)", "endeavour/endeavor(努力する)" などがこのパターンです。

 

⑦ travelling/traveling(旅行、旅行する)
⑧ equallying/equaling(等しい)
⑨ fuelling/fueling(燃料)

"travelling(英)" → "traveling(米)" のように、「-lling」が「-ling」になる。

"Equalling/equaling" (equalの現在分詞、等しい、相等しい), "fuelling/fueling" (fuelの現在分詞、燃料、薪炭)もこのパターンです。

イギリス英語で育つと「l」で終わる言葉に「-ing」をつけるときは「l」が増えるんだとしつこく習いますので、アメリカ英語バージョンを見たときはショックでしたし、今でもつづりが間違っているような気がして「-lling」にします。

しかし、上記の「u」がなくなるのと同じように、いずれのつづりでもわからない人はいないので、ちょっとした違和感はあるもののコミュニケーションには問題がないと思います。
 

⑩ sulphates/sulfates(硫酸塩)

「ph(英)」が「f(米)」になるパターン。

こちらもアメリカ英語らしい、発音とつづりに差異がないようにつづりを変えたケースです。
 

⑪ aeon/eon(永遠)
⑫ encyclopaedia/encyclopedia(百科事典)

encyclopedia

「ae(英)」が「e(米)」になるパターン。こちらも発音とつづりを変えたアメリカ英語とイギリス英語の違いです。

"aeon/eon(永遠)" や "encyclopaedia/encyclopedia(百科事典)" などがあげられます。

日本のイオン株式会社はアメリカ英語だと "Eon" になってしまうと考えると違和感を感じませんか?

「感じる!」と思った方は、いまイギリス英語圏出身者の気持ちをばっちり体感したことになりますよ!
 

⑬ programme/program(プログラム)
⑭ dialogue/dialog(対話)
⑮ analogue/analog(アナログの)
⑯ catalogue/catalog(カタログ)
⑰ monologue/monolog(一人芝居)

上記はアメリカ英語らしく余分な「me」「ue」を消したパターンです。

現在もイギリス英語では "programme", "dialogue" を使用するのですが、一部プログラミングやIT関連ではイギリス英語でも "program", "dialog" を使用しているようです。

特にダイアログボックスはほとんどの場合どの国でも "dialogue box" ではなく "dialog box" と表記されます。おもしろいですね!

「-gue」が「-g」に変わるパターンではほかにも "analogue/analog(アナログの)", "catalogue/catalog(カタログ)", "monologue/monolog(一人芝居)" が挙げられます。
 

⑱ commercialise/commercialize(商業化、商品化)

「-ise(英)」が「-ize(米)」になるパターンです。

これもアメリカ英語とイギリス英語を見分けるときに非常にわかりやすく、かつ、頻繁に登場する違いです。たしかに「-ise」だけど「ス」ではなう「ズ」と発音するのだから「z」でいいですよね。
 

⑲ draught/draft(たる抜きの)
⑳ plough/plow(すき)

draft

「gh(英)」が「f(米)」や「w(米)」になる。

同じく発音とつづりのルールを合わせた結果、イギリス英語と相違が出たケースです。
 

㉑ misspelt/misspelled(スペル間違え)
㉒ dreamt/dreamed(夢を見た)
㉓ leapt/leaped(飛んだ)
㉔ lit/lighted(火をつけた)

"Misspelt/misspelled(スペル間違え)"、 "dreamt/dreamed" (夢を見た)、 "leapt/leaped" (飛んだ)、 "lit/lighted" (火をつけた)など、過去形の形が違うパターン。

厳密には発音が違うので、つづりが2つある単語ではありませんが、意味は同じです。

現在イギリス英語圏では "dreamt" などを使いますが、文法のルールとして動詞の過去形は全部「-ed」のほうがわかりやすいため徐々に "dreamed" 勢力が力を伸ばしてきているよう。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」の「夢やぶれて」の英語タイトルは ”I Dreamed a Dream” です。元のフランス語から英訳したのは南アフリカ出身の作詞家ですが、南アフリカはイギリス英語が主流なので "dreamt" を使っている人のはず。あえて "dreamed" にしたのはメロディーに合わせるためなのでしょうか。
 

㉔ gaol/jail(監獄)

jail

いずれも発音が同じ「ジェイル」で、監獄のことです。

つい最近までイギリス英語圏では "gaol" も使われていましたが、1935年以降は世界的に "jail" に統一されつつあるようです。

オーストラリアでも古い刑務所などは "gaol" が使われており、小学生の時に遠足などで ”gaol” と書かれた刑務所見学にいったことを覚えています。アメリカでは昔も使われていないとはびっくりです!
 

㉔ kerb/curb(縁石)

いずれも道路の端の「縁石」を指す言葉です。

アメリカ、カナダでは "curb"、イギリス英語圏では "kerb" を使用します。急カーブなどの "curve" とはべつの単語ですので間違えないように!
 

㉗ arse/ass(お尻)

イギリス英語では "arse" と "ass" が使われ、"arse" は「お尻」、"ass" は「ロバ」もしくは「お尻」という意味です。アメリカ英語では "arse" という単語は使用されず、"ass" のみが使われます。

発音もアメリカ英語では「ˈæs」ですが、イギリス英語では "arse" も "ass" も「άːs」発音になるので、つづりこそ違ってみえますが、発音は同じです。

ミュージカルマイフェアレディーでも "arse" が出てきて発音が確認できますので、意識して聞いてみると面白いのではないでしょうか?
 

㉘ aeroplane/airplane(飛行機)

airplane

アメリカ英語圏やカナダではほとんど見かけることがない "aeroplane" ですが、イギリス英語圏では今でも非常に頻繁に使用されています。私も学校で教わったのは "aeroplane" です。

アメリカ英語に慣れている人からは古めかしい単語に見えるようです。
 

㉙ amok/amuck(荒れ狂う)

「荒れ狂う」という意味の単語で、マレー語やポルトガル語に語源があります。

通常 "amok" が使われますが、まれに "amuck" が使用されることもあります。以前は "amuck" が主流でしたが、2010年ごろから使用頻度が逆転したといわれています。

日本語に「グラス」と「ガラス」があるように、英語でも外来語はつづりが複数あるケースがあるんですね。
 

㉚ flutist/flautist(フルート演奏者)

フルート演奏者のこと。

”flutist” はフランス語を語源としており、先に英語に取り込まれたとされています。その後19世紀にイタリア語を語源とした ”flautist” も取り入れられ、今ではどちらも正しい単語とされています。

しかし、どっちを使っていいか迷ってしまう場合は ”flute player” が無難かもしれません。
 

まとめ

以上、2つ以上正しいつづりのある言葉をご紹介しました。

翻訳家の私にとって、英語で字幕を作る際は一秒ごとに表示できる字数が約14文字程度なので、一文字一文字が非常に貴重です。

冒頭ではオーストラリア育ちだからイギリス英語のつづりのほうがしっくりくる、と言いましたが、アメリカ英語での納品のほうが各単語に使われる文字数が少ないことがほとんどなので、そういう面ではアメリカ英語も悪くないな、なんて思う日がたまにあります。

今回はつづりが2種類ある単語をご紹介しましたが、アメリカで作られてイギリス英語にも採用されるようになった単語もたくさんあるんですよ! やはり言葉は、経済や政治など数多くの要素で変化する生き物なので常に進化についていきたいですね!