西東 たまき
(更新)
日本での暮らしは、地震と隣り合わせということが多いでしょう。私たちは多少の地震には、騒ぐこともないほど慣れてしまっているのが現状です。
でも、世界には地震をほとんど経験することがない土地もあります。そのため、「地面が揺れる」ということがどれほどの衝撃であるのかもわからないという人も少なくありません。
例えば、オンラインで海外と繋がっている最中に「あ、地震だ!」と思ったとき、英語ではどんな表現をすればいいでしょうか。あるいは英語で地震の様子をたずねたり、情報を共有したりするにはどうすればよいでしょうか。
そこで今回は、ときには命にもかかわる地震災害についての英語表現を特集します!
「地震」は英語で earthquake です。earth は「地面、地球」、quake は「揺れ、振動」の意味ですので、まさに日本語を直訳した言葉になっています。単に quake と表現されることもあります。
とっさに「地震だ!」というには、単に Earthquake! と叫ぶだけで通じますよ。
他にも shake や tremor など、「揺れ」を意味する言葉が使われたりします。tremor は、音が震えるような効果を出す「トレモロ」という音楽用語と同じ語源です。
なお、地震についての英語はニュースで多く触れることができますが、意外とよく見かけるのが seismic という形容詞。「地震に関する」という意味の言葉で、「サイズミック」のように発音します。
「インターネットに地震防災マップが載ってるよ」
さて、日本は世界でも地震が多い国の一つではありますが、地震が起きるのはもちろん日本だけではありません。
アジアやオセアニア、アメリカ西海岸の地震災害ニュースを見た覚えのある方もいるでしょう。日本では滅多に耳にしませんが、筆者が在住するアフリカ地域でも地震は起きています。
そして、世界の地震をリアルタイムで知ることができるサイトを見れば、実は地震は世界中で起きていることがよくわかります。
そうと知ったら、海外で地震に遭遇したときのためにも、地震について基本的な英語表現を知っておく必要性を感じるのではないでしょうか。
日本では地震が起きるたび「震度」という単位が使われますね。英語では (Japanese) seismic intensity と表現されます。
「日本では地震は『震度』という尺度で表されます」
「弱/強」は、それぞれ lower/upper で表します。気象庁のサイトに各震度の基準が英語で具体的に説明されているので、気になる方はぜひご覧ください。
「今の揺れは震度5弱だって」
しかし、「震度」は日本特有の単位であり、海外では通用しません。海外の人と震度の話をしても通じないことが多いので気をつけましょう。
例えば、震度は10の階級がありますが、間に5弱と5強、6弱と6強があるため、最大の数字が7になります。この概念を説明できるようにしておくとよいでしょう。
では、海外では「震度」が通じないのであれば、どんな単位が使われるのでしょうか?
世界で広く使われているのは magnitude(マグニチュード)です。地震のエネルギーを表すのが「マグニチュード」、揺れの大きさを示すのが「震度」という違いがあるのです。
「さっきの地震のマグニチュードは3と確認されました」
また、Richter scale(リクター/リヒター・スケール)という言葉にも意外と遭遇します。
マグニチュードの単位を示す指標(スケール)のことなので、「マグニチュード」と読み替えて問題ありません。通例1〜9の範囲に入り、数値が1上がるとエネルギー量は32倍になります。
東日本大震災を例にすると、マグニチュードは9で、震度は最大で7でした。
ちなみに、Richter とは考案者であるアメリカの地震学者の名前なので、表記は大文字から始まっています。
「マグニチュード5までいった」
地震の大きさは形容詞で表せます。よく使われる形容詞を見てみましょう。
「日本の沖合で小さな地震がありました」
「今の地震、かなり大きかったね!」
「フィリピンで強い地震があったそうですね」
「この大地震は、現地に甚大な被害をもたらした」
「破壊的な地震の多くには津波が伴うことが多いです」
「最近、定期的な地震が起きています」
「地震が起きる」と言うには次のような動詞を使います。
上の項でご紹介した形容詞もあわせ、これらは地震以外の災害でも使える言葉なので覚えておくとよいでしょう。
「この地域では、よく地震が起きます」
「この地域は過去10年で2度の大地震に見舞われた」
「先週、この国でマグニチュード5の地震がありました」
「小さな地震がたびたび起きている」
「ちょうど今、地震があったよ」
「ビルが揺れてるの、感じる?」
「これは、近年でもっとも大きな地震でした」
「日本では年に1千から2千個の地震が報告されています」
ここからは、地震についての会話フレーズ例です。
「今地震あった?」
「揺れを感じたのって私だけ?」
「あなたのところは大丈夫だった?」
「ずいぶん長い揺れだったね」
「家中が揺れたよ」
「今までのところ死傷者/犠牲者はいないようだよ」
「あなたの国では地震はありますか?」
「地震のとき、どうすればよいかを知ってないといけないね」
もし地震に不慣れな人がいたら、地震が起きたときにどうすればよいかを知らせることは大事です。地震が起きたときの注意事項を英語で伝えるフレーズ例も見てみましょう。
「落ち着いて」
「パニックにならないで」
「室内にいてください」
「外に駆け出さないで」
「落ちて来るモノに注意して」
「頭を覆って/頭を守って」
「エレベーターは絶対に使わないで。停電するかもしれないから」
「運転中なら安全なところで停車して」
「広い場所に行って」
「すぐに高台に行って」
「電線に近づかないで」
また、英語圏で地震のときに使われる基本フレーズは Drop, cover, and hold (on) です。
最初の drop(ドロップ)は、ひざまずいてしゃがむことを指します。Cover(カバー)は、頭と首を手や腕で隠し、できれば机やデスクの下に移動することです。そして最後の hold (on) は、揺れがおさまるまで何かにつかまることを意味します。
最後に、地震関連の英語表現にもう少し触れておきます。
「津波」は、tsunami として日本語のまま世界で使われている言葉の一つです。「津波警報」は tsunami warning と言います。
「ここは津波のリスクがあるエリアではありません」
「津波警報はまだ発表されていません」
「日本の多くの住宅やビルは地震に耐えるように設計されています」
「この建物は耐震構造になっています」
また、waterproof(耐水)のように earthquake-proof(耐震)と簡単に表現することもできます。
「このビルは耐震構造だよ」
地震が起きた場所を epicenter といいます。
「震源地は30km沖でした」
上でご紹介したような形容詞を使って「巨大地震」を表現することもできますが、こういう言葉もあります。
「巨大地震に備えよと言われています」
「災害」は英語で disaster。「自然災害」は英語でも文字通りの表現になります。
「日本ではさまざまな自然災害が発生しています」
また、prone という言葉は「〜の傾向がある」「〜にかかりやすい」という意味合いがあるため、以下のように表現することも可能です。
「日本は災害が多い国です」
「残念ながら、この建物は地震に弱いです」
Earthquake-prone というフレーズが「建物」などに対して使われている場合は、「地震が起こりやすい」という意味ではなく、「地震が起こったときに崩れやすい」ことを指します。
日本では日常的に起こる地震。その基本的な表現を英語で知っておくのも、なかなか大事な心掛けです。
地震発生時に日本語がわからない人と居合せたとき、すぐに英語で情報を共有してあげられたら、どんなに安心してもらえるでしょう。
また、本文でも触れた通り、今回ご紹介した形容詞や動詞は地震以外の災害でも応用できるのでぜひチェックしておいてくださいね。