Rina
(更新)
こんにちは。英語ライフスタイリストのRinaです。
単語や文法をたくさん勉強しているのに、海外ドラマや映画でのちょっとしたやりとりが理解できなかった!なんて経験はありませんか?
実はこれ、長年英語を学習していても時々起きることで…原因は、語彙が足りないとか文法の理解が足りないとかではなく、実は単純に英語独特の「イディオム」を知らないから、なんてことも少なくありません。
イディオムとはそもそも何かというと、2つ以上の単語が結びついて特殊な意味を持ついわゆる熟語(フレーズ)のこと。
例えば ”It’s a piece of cake” というイディオムを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。直訳すると「一切れのケーキ」なのですが、イディオムとしての意味は「簡単な」という意味です。日本で言う「朝飯前」みたいなもの。
このように、イディオムはネイティブの間では習慣的に使われている慣用句で、基本的にひとつずつの単語から推測しても意味が分からないことが多い表現。また、比喩表現などが多いのも特徴です。
なので、イディオムを知らないと、「知っている単語を使ってくれているけど、結局言いたいことが分からない!」なんてことも平気で起きます!
今日は、特によく聞くけれど「直訳では絶対に意味が分からないイディオム」をピックアップしご紹介してみます。せっかくなので、クイズ形式にしてみました。全部で35問、是非答えを予測しながら読み進めてみてください。
英語のイディオムの特徴のひとつは、我々の生活の中にある身近なものを使って比喩的な表現をすることなのですが、その代表的なものが「食べ物」。
まずは、食べ物や食べる事に関するイディオムをいくつか紹介してみます。
直訳すると「自分が噛める以上の量を口に入れる」です。”chew” は、チューインガムからもわかるように、口の中でくちゃくちゃ噛むという意味。
これは19世紀後半くらいにアメリカで使われ始めた表現と言われていて、当時の人たちが、無理して自分が噛める以上のタバコを口に頬ばり、逆に苦しい目にあったことから「自分の許容範囲以上のことに手を出す」「無理をする」という意味になったとか。
その様子を想像すると、覚えやすいかもしれませんね!ちなみに ”have too much on one’s plate” も同じく「たくさんの仕事を抱えこむ」という意味でよく聞くイディオムです。
正解は「③自分の能力以上の何かをする」。
直訳すると「バナナに行く」。これだけだと意味不明ですよね!
イディオムとして「気が狂う」「カンカンに怒る」という意味なのですが、語源はいくつかあるようで、ひとつには、バナナを目の前にしたサルが興奮して騒ぐ様子から来ていると言われます。(イメージはしやすいかな)
でも本当に頭がおかしくなっている人には使わず、冗談のように比喩的なニュアンスで使います。
正解は「②気が狂う」。
"grain" とは、砂や塩の粒を意味します。
直訳すると「一粒の塩と一緒に何かを持っていく」ですが、これは「人の言ったことを、真剣に受け取らない」という意味になります。
「一粒の塩と一緒に」というのは、食べ物は一般に塩気がある方が飲み込みやすいので、怪しく信じがたいと思っても、一粒の塩で味付けをして、話を聞くだけ聞いてやろうという意味からきているとか。
正解は「②伺ってかかる」。
“pickle” は野菜の漬物の「ピクルス」のことですが、”be in a pickle” は「困っている」や「厄介な状況にある」という意味。ピクルスを漬ける漬け汁の中にいるような、いやな状況をイメージするとすんなり理解できますね!
正解は「①難しい状況に置かれる」。
その昔、航海中に気分が悪くなった船乗りたちが、デッキの下に移動し身体を休めたそうで、気分のすぐれない者はデッキの下、つまり空が見えない場所(”under the weather”)に移されたことから、このフレーズが使われるようになったと言われています。
気分がすぐれない時、とっさに ”I feel sick.” と言ってしまいがちですが、”I’m feeling under the weather.” も是非使ってみてください!
正解は「①気分や体調がすぐれない」。
直訳すると「青い月に一度」みたいな感じになりますが、これでは意味不明…。
「ブルームーン」とはその名の通り「比較的青色に見える満月」のことを指すのですが、実はめったに見ることが出来ない「レア」なもの。そこから、英語の慣用表現の中で”blue moon”は「めったにないこと」の例えとして使われています。
正解は「③めったにない」。
直訳では、「宙に浮いた状態」という意味ですが、まさに企画や計画がまだ決まっていなくて、宙ぶらりんなときに使う表現です。
イメージで覚えるとわかりやすい表現かもしれませんね! ”still“ をつけて ”That project is still up in the air.(そのプロジェクトについてはまた未定です)” のように使うことが多いです。
正解は「②未定・未解決である」。
直訳は「天と地を動かす」ですが、ある物事に対して「天地を動かすほどの力を尽くす、それほど四方八方手を尽くす」という意味になります。これは知っていないとなかなか意味を理解出来ないイディオムですね。
すこしレベルが上がりますが、その他のランダムなイディオムもご紹介していきます。状況をイメージするとなんとなく分かるかも!?というものも含まれていますので、ぜひ想像力を膨らませてトライしてみてください!
正解は「②全力を尽くす」。
※bush:茂み
直訳は「茂みの周りをたたく」ですが、この熟語は鳥の猟に由来しているというのが通説。猟に出る時には ”beater(=叩く人)” という人が雇われ、その ”beater” が茂みの周りを叩いて中に隠れている獲物の鳥を追い出し、猟をしている人物が仕留めるのだそうです。
猟のメインは当然、獲物を仕留める部分ですので、茂みの周りを叩くことを続けているということは、「要点に触れないで、回りくどく攻める」というニュアンスになる訳ですね。
正解は「③遠回しにものを言う」。
直訳すると「タッチを失う?」とヘンテコな意味になりますが、実は ”touch” にはもともと「芸術的技巧」という意味があります。
つまりその技巧を失うということから「腕前が落ちる」という意味になるのです。
正解は「③腕がにぶる」。
直訳すると、「彼はいつもフェンスの上に座っている」という意味になります。
イメージ的には ”on the fence” で、「フェンスの上にいて右にいくか左にいくかどっちか迷っているような状態」を表します。どっちつかずな状態や物事を決断できないでいる、あるいは優柔不断のときに使われる表現です。
正解は「①どっちつかず・はっきりしない」。
直訳は「丘を越えて」ですが、イメージすると「一番高い所はもう通り過ぎた」というニュアンス。つまり「今はもう下り坂よ」みたいな感じですね。
オールで遊ぼうよ!と誘われたけど「もう自分若くないから無理!」なんて時に ”No way! I'm over the hill, you know.” みたいな感じで使えます。
ピークが過ぎたという意味では、全盛期が去った有名人やスポーツ選手に対しても使われます。
正解は「③全盛期を過ぎた」。
直訳は「音楽に直面する」。楽しそうな響きとは裏腹に、実はこのイディオムの意味は、「自分のした悪行に対する責任を受け入れる」という少々ネガティブなニュアンスがあります。
文脈によって「現実を受け入れる」とか「(自分の失敗に対しての)報いを受ける」と訳すとより自然に聞こえます。実はこのイディオム、あのケイティ・ペリーの歌 ”The one that got away” の歌詞にも登場しています。
”It’s time to face the music, I’m no longer your muse(現実と向き合うときが来たようね。私はもうあなたの女神(恋人)ではないの)”
正解は「②困難な状況に直面する、受け入れる」。
“crunch” は食べ物などをボリボリ噛み砕くことを言います。「クランチ」はお菓子などのネーミングなどでもよく使われますね。
でも実はそれ以外にも、「危機」や「ピンチ」、「正念場」といった意味があるんです。なので ”crunch time” とは、「一生懸命に行動することが求められる切羽詰まった正念場」いう意味。
特にスポーツの試合のラストや、ビジネスなどの締め切り直前と言った状況でよく使われる表現です。
正解は「①正念場」。
※fly:ハエ
直訳は「ハエを傷つけそうもない」となりますが、意味は少し予想しづらいですよね。
「ハエさえも傷つけない優しい人」という慣用句ですが、ポイントは特に「怖そうにみえる人や動物」が実は逆に「とても優しい」とか「大人しい」時に使います。
いわゆる「ギャップ」を表現するようなニュアンスのイディオムです。
正解は「②優しい人」。
直訳すると「道を打つ・叩く」という意味ですが、そこから「出かける」ことに関係したニュアンスで色々な意味に解釈して使えます。
アーティストがコンサートツアーに出たり政治家が遊説に回ったりするときにもこの表現がよく使われます。
正解は「①出発する」。
直訳は「船を飛ぶ?」と少々意味不明な感じですが、「グループや計画を見捨てる」ことを言います。
ここでの “jump” の意味 は「飛ぶ」ではなく、「逃げる」ことの例えで使われています。本来の意味は、船員が乗っていた船から契約を放棄して無断で逃げるということだそうです。
これが転じて、船ではなく「組織や企業などを辞める」 という意味のイディオムとなっています。特に仕事が困難である場合や、倒産を恐れたり、ライバル会社に転職するために無断で組織を離れたり、という場合に用いられます。
正解は「③何かを辞める」。
“bucket” はバケツのことなので直訳すると「バケツリスト」。「???」となってしまいますね。
なぜ ”bucket” かというと、英語では ”kick the bucket” というイディオムがあり、実はこれは「死ぬ」という意味なんです。首吊り自殺をする人が自分の首に縄をかけた後、最後に土台のバケツを蹴って自殺をするところから来ているとか。
そこから ”bucket” という単語が「死ぬこと」と結びつくようになり、”bucket list” で「死ぬまでにやりたいことリスト」となったようです。
正解は「②死ぬまでにやりたい事リスト」。
直訳すると「猫をカバンの中から出す」という意味。
昔、商人たちは子豚を袋に入れて売買していて、中には客を騙すために、子豚の代わりに猫を袋に入れて売っていた詐欺商人もいたそうで、袋から猫をうっかり出してしまうと秘密がバレてしまうことから、この表現が生まれたというのが一つの説です。
ポイントは「うっかり」という所。本来そのつもりはなかったのに、思いがけず情報を漏らしてしまうことを言います。
正解は「①うっかり秘密を漏らす」。
直訳すると「何かをテーブルの上に持ってくる」という意味になりますが、これはビジネスシーンでよく聞かれるイディオム。
テーブルの上に運んでくる「何か」というのがポイントで、会議で良いアイディアを出すというのが一般的ですが、チームへの技術提供など抽象的なものであっても、「何か有益なもの」であればこのイディオムが使えます。
正解は「③価値を提供する、貢献する」。
直訳すると「チェースまで切りとる」となり意味不明に感じますが、これは「重要でないことを先に回して時間を費やしたりせずに、重要なことをすぐに話す」という意味です。
このイディオムは、アクション映画のクライマックスである追跡シーン(カーチェースなど)を早く観たいがために、細かいストーリーはカットして、いきなり追跡のシーンに飛ぶ、ということから来ています。イメージしやすいですね。
正解は「③すぐに本題に入る」。
※grapevine:ぶどうのツル
直訳すると、「ぶどうのつるを通して聞く」ですね。
ぶどうの木を見たことがあるとイメージが湧きやすいと思いますが、ツルが長く伸びて方々につながっています。そこから、何かの情報が人づてに広がっていくニュアンスです。
正解は「③噂で耳にする」。
直訳すると「ボートに乗り遅れる」ですね! ”miss“ は「〜し損ねる」という意味があるので、「ボートに乗り損ねる」という意味合いが強くなります。
そこからつまり「成功につながるチャンスを逃す」「やりたかったことに間に合わない」という意味になります。
ちなみに、”miss the bus” という表現も同じで、船もバスも、いったん逃すとなかなか次がこないという点でチャンスと同じということです!
正解は「①チャンスを逃す」。
直訳は「あの(例の)3語」ということで…。
予測できたかもしれませんが、つまりこれは ”I love you.” ですね!恋愛トークで出てきたりします。
”I love you(愛してる)” と直接発言するのを避けたい場合に、にごした言い方で使います。
正解は「③愛の告白」。
直訳すると、「月(moon)を越えている」ですね。
これだけを見ると「???」という感じですが、日本語でも、すごく嬉しいとき「天にも昇る気持ち」と言ったりします。
英語でも同じイメージで ”be over the moon” なので、「喜びで月を飛び越えるほど空高く舞い上がる」とニュアンス!異なる言語ではあるけれどもイメージが共通している点がとても面白いですし、覚えやすいかなと思います。
正解は「②大喜びする」。
直訳は「氷を壊す」ですが、ここでの「氷」はもちろん比喩です。「凍るほど冷めた場」や「打ち解けていなくて緊張感のある場」を壊していく、つまり「和ませる」という意味のイディオムです。
英語のクラスやワークショップなどに行くと最初に参加者同士の ”Ice Break” の時間があったりするので、覚えて置くと役に立つかもしれません!
正解は「③場を和ませる」。
※ax:斧
直訳は「斧を得る」。
”get” と聞くとなんだかポジティブなイメージ?と思いがちですが、実は真逆。「斧で頭を切られる」ことから「解雇される」という意味になります。
”get fired” と直接いうことを避けて比喩的に言いたい時に。
正解は「①解雇される」。
直訳は「片腕と片足」ですね。そのままでは何のことかさっぱり分かりませんよね。
これは「非常に高額」なことを意味するイディオムなんですが、語源は諸説あるみたいです。
一説には、第一次世界大戦の後戦争で手足を失った人が多く、このため手足はとても貴重なものだということから、「非常に高額な」という意味で使われたということです。
正解は「②多額のお金」。
直訳すると「胸から(重荷を)降ろす」という意味なので、イメージはしやすいかもしれません。
何か心にあった事、今まで言っていなかった事、言いづらかった事、頭を悩ませている事などを言う時の表現です。
正解は「②ずっと言いたかった事を言う」。
直訳すると「鼻を通して払う」となり、何の意味だかさっぱりですが、これは「非常に高額な金を払う」という意味です。
特に「ぼったくられる」というような意味合いが強いです。イディオムの語源ははっきりとわからないようですが、一つには、高い金額を払うのは鼻血が出るのと同じくらい厄介なことであるという説です。
正解は「②法外な金額を払う」。
“I have itchy feet” を直訳すると「足がかゆくてむずむずする」となります。
足が痒くて落ち着かない、つまり「どこかへ出かけたくてたまらない、旅行に行きたい衝動に駆られる」という意味として使われているカジュアルな表現です。
それを知らないと「え!?足かゆいの?大丈夫?」なんてことになっちゃいますよね!
正解は「③出かけたい衝動にかられる」。
直訳すると「身体を後ろ側に曲げる」。その状態を想像してみると割とイメージが湧きやすいかもしれません。
きっとすごく頑張っているはず…。つまり「全力・最善を尽くす」ことを言います。特に誰かを喜ばせるためにすごく頑張ることを話す時に使うイディオムです。
正解は「②全力を尽くす」。
直訳は「心臓の変化」。これは自分の信念/確信が変わるという意味で、道理/合理というよりも「感情的な気持ちの変化」を表します。
意見や感情の変化、それまでとは反対の考え方に変わるなど、感情の様子が変化したことを表す表現です。ビジネスシーンでも幅広く使われる表現なので、覚えておくと便利かもしれません。
正解は「①感情・心境の変化」。
※thumb:親指
直訳すると、「親指の規則」ですが、これは「経験則」という意味のイディオム。
科学的な根拠に基づく何かではなく、もっと経験的にこうだろうと決まっているような規則、つまり正確ではないけれど実用的なやり方、おおまかなやり方を意味します。
もともとは、きこりが木の長さを測るのに、これまでの経験によって、おおざっぱに親指を使ったことから来ているという説など、諸説あるようです。
正解は「③おおざっぱに言うと」。
直訳すると「頭が雲の中にある」ですね!
イメージしてみると割と納得感があると思いますが、頭が雲の中にはいってしまって非現実的な状態になっていることを表します。そこから転じて、「空想にふけっている」「話をきいていない」「地に足が着いていない」という意味になります。
別の単語に置き換えると ”daydream” や ”not being realistic” といったところです。
正解は「①話を聞いていないこと」。
いかがでしたか?
今回は、「直訳では絶対に意味が分からないイディオム」をご紹介しました!
知ってた!聞いたことあった!というイディオムはありましたか?
最初は、こうしたイディオムがなんだか上級者向けに感じてしまうこともあるかも知れません。私自身は、正直初級から中級にあがるくらいの頃、テキスト中心の暗記学習がメインで「イディオムは口語的でネイティブが使うものだし自分にはちょっとハードル高いかも…」と思っていました。
でも実際に英語で会話する機会が増え、イディオムを使ってみると、イディオムにはちょっとしたユーモアがあって、相手に自分の気持ちを伝えやすくするための材料のようなものだと感じるようになりました。
もちろん今でも初めて聞くイディオムもありますし、日々勉強ですが、そうした新しい表現に出会う度に英語は表現力豊かで、やっぱり面白いなと感じます!
単語や文法力を身につけることはもちろん大切ですが、会話力を伸ばすためには、日頃から英語でドラマや映画を観たり、実際に英語スピーカーと話してみたりと、「リアルな会話」に触れ、こうしたイディオムを使ってみる機会をたくさん作ることがとってもおすすめです。
是非、使えそうなイディオムをピックアップして、少しずつあなたのアウトプットに取り入れてみてください。
Good luck!