SHIORI
(更新)
「すみません」という言葉は日本語に限らず英語でもよく使われる表現です。
しかしながら、幅広い意味を持っている日本語の「すみません」に対して、英語ではニュアンスによって Excuse me と I'm sorry を使い分ける必要があります。
みなさんはこの意味の違いを理解されていますか?
今回は、お馴染みの表現 Excuse me と I'm sorry の意味の違いを確認した上で、使い方をおさらいしてみたいと思います。
本来 excuse(他動詞)という単語には「言い訳をする」の他にも「容赦する」「許す」「勘弁する」などの意味があります。
Excuse me は日本語で「すみません」や「失礼します」と訳されますが、直訳すると「ご容赦ください」や「お許しください」になり、物事が起こる前に相手に許し/許可を求めるようなニュアンスを持ちます。
また、謝罪の表現としても使うことができ、その謝罪の程度は人によってさまざま。
今からこれらのより細かいニュアンスの違いを見ていきましょう。
まず、誰かに声をかけるときや話に割り込むときなどに Excuse me が使われます。
この Excuse me は、「すみません」や「失礼します」というふうに訳され、みなさんもお馴染みの声の掛け方だと思います。
「失礼します。入ってもよろしいでしょうか?」
「すみません!お財布落としましたよ!」
くしゃみをしたり、誰かにぶつかったときなどに、Excuse me を使って軽く謝罪をすることができます。
日本語では「ごめんなさい」「すみません」「失礼しました」などと訳されます。
「ヘックション! 失礼しました」
「(ぶつかって)すみません」
相手が言ったことが聞き取れなかったときなどに、「もう一度言っていただけますか」という意味を込めて Excuse me を使うことができます。
このときは相手に何と言ったかを聞き返す疑問文になるので、発音するときのイントネーションは上げ調子になります。
強く発音してしまうと、ネガティブな意味合いになってしまうので、優しめに発音しましょう。
「えーっと、何て言いましたか?」
「あの、おつり持ってますか?」
「もう一度言っていただけますか?」
→イヤホンつけていて聞こえなかった
また、よりカジュアルに聞き返したいときは、 What was that? という表現も使われます。
「塩をとってくれる?」
「何て言った?」
→聞こえなかった
「『塩とってくれる?』って言ったの」
「あ、もちろん! はい、どうぞ」
道を塞いでいる人に動いてもらいたいときや自分が横切る場合にも Excuse me が使われ、「すみません、通してください/通ります」という意味になります。
例えば、満員電車に乗っていて次の駅で降りないといけないのに、目の前に通り道がないという状況は誰もが経験したことがあると思います。
そのようなときにこのフレーズが便利になってきます。
「通ります!/通してください!」
「すみません、通ってもいいですか?」
また、自分一人だけでなく、友達何人かいるときに道を開けてもらいたい場合には、 Excuse us ということができます。
会議中や食事中に席を立つときや、誰かと話をしている最中にかかってきた電話に出るときなど、「失礼します」と言ってその場から離れますよね。
このときの「失礼します」には、席を立つのにちょっとした許し/許可を相手に求めるようなニュアンスがあると思います。
Excuse me も同様で、「容赦してください」や「お許しください」というような許可を求める意味を持ちます。
「プルルルル」
「あ、息子からです。この電話に出ないといけません。ちょっと失礼します」
→容赦してください
「失礼します。お手洗いに行ってきます」
Excuse me は異論を唱えるときにも使われ、「はあ?」「失礼な!」「失礼ですが…」というような反論を表します。
このとき、聞き返すときの Excuse me のように、上げ調子のイントネーションで発音されることが多々あります。
普通に下げ調子で発音されたりもしますが、反論していることもあり、全体的に強めに発音されることが多いです。
「あなたにはあれがどういう意味なのか理解できないと思う。(私は出来るけど)」
「失礼な!」
「あなたってすごい面倒よね」
「はあ?!」
「彼女って仕事覚えるの遅いよね」
「失礼ですが、私はそうは思いません」
Excuse me の他にも Pardon me というほぼ同じ意味を持った表現があります。
Excuse me と同じように使うことができるので、今まで出てきた Excuse me の例文を Pardon me で置き換えて使うことができます。
イギリスで使われることが多く、Pardon me のほうがより丁寧なニュアンスを持っています。
アメリカでは耳にする機会が少ないかもしれませんが、高級レストランなどに行くと、ウエイターさんが後ろを通るときやワインを注ぐときなどに、よく Pardon me を使っているのを耳にします。
フォーマルな場面など、丁寧で気品のある言い方をしたいときに使われる表現です。
「失礼します! 鍵落としましたよ!」
「失礼いたします」
「失礼いたします、この電話に出る必要があります」
「他にご注文はございますか?」
「もう一度言っていただけますか?」
→聞き取れなかった
I'm sorry も日本語で訳してしまえば Excuse me と同様、「すみません」や「ごめんなさい」になります。
しかし本来、sorry (形容詞)という単語には「気の毒に思って」や「残念に思って」、「申し訳なく思って」というような意味があり、Excuse me とはまた少し違ったニュアンスを持っています。
同情のニュアンスも込められており、「心が痛む」という意味で用いられることも多々あります。今度は I'm sorry のニュアンスの違いを見ていきましょう。
まずは誰もがよく知っているであろう謝罪の意を表した I'm sorry で、自分がしたことに対して「申し訳なく思う」気持ちが含まれています。
「遅れてごめんね」(遅れて申し訳なく思う)
「無視してごめんね」(無視して申し訳なく思う)
また、I'm sorry の他に apologize を使って謝罪/お詫びの意を表すこともあります。
apologize のほうがよりフォーマルで丁寧な言い方になります。
「ご不便をおかけして申し訳ございません」
「すみません。あなたのメールを見落としていたようです」
Excuse me や Pardon me と同様に、相手が言っていることが聞き取れなかった場合、I'm sorry を使って聞き返すことができます。
意味も同じで、「もう一度言っていただけますか?」となります。
これも疑問文になるので、イントネーションは上げ調子です。
「お会計は$5…7になります」
「もう一度言っていただけますか?」
「お会計は$5.37になります」
先ほども述べましたが、I'm sorry には「気の毒に思って」や「可哀想で」、「残念に思って」など、同情や共感の意味があり、「相手をおもうと心が痛む」というようなニュアンスを持っています。
ここで注意したいのは、I'm sorry を使っていますが、同情や共感を表す場合は決して謝っているわけではないということです。
「それはお気の毒に」(それを聞いて残念に思う)
「お悔やみ申し上げます」
また、I'm sorry を使うことによって何かを後悔していることを表すこともできます。
「後悔する」という意味の単語 regret に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。
「あ、言わないほうが良かったね」
→I regret that I told you that.
「あなたにあれをするように頼むんじゃなかった」
→I regret that I asked you to do that.
「やったことを後悔してない」
→I don’t regret what I did.
「このことを後悔することになるよ」
→You will regret this.
いかがでしたか?
日本語では同じ「すみません」でも、英語ではニュアンスの違いでフレーズを使い分ける必要があります。
Excuse me には物事が起こる前に「許し/許可を求める」ニュアンスがあるのに対して、I'm sorry は物事が起こった後に「申し訳なく思う」気持ちや「残念」な気持ち、「心が痛む」ような同情や共感を表すニュアンスを持ち合わせています。
イントネーションや強弱の違いでも意味が変わってきてしまうので、使うときには発音にも注意してくださいね!