西東 たまき
(更新)
「成長」「成長する」という言葉は、子どもが大きくなることだけでなく、植物が育つ、経済が発展するなど、いろいろな場面で使われます。
英語で「成長」というとき、多くの英語学習者の頭に浮かぶのは grow かもしれません。
でも、「成長」を表す英語表現は他にもいろいろあり、それらを使い分けることでニュアンスをより的確に伝えることができます。
実際に英語の文章を見てみると、「成長」を表すのにさまざまな言葉が使われていることに気付くでしょう。そこで今回は、成長を表す英語表現を特集します!
ここからは、成長を表す英語を挙げていくので、それぞれが持つニュアンスの違いに注目してみてください。
動詞と名詞、それぞれで表すことができる言葉が多いので、両方の形がわかるよう、動詞と名詞の両方を載せていきます。
「成長する、育つ」という意味で広く知られている英単語。
主に「サイズにおける成長」というニュアンスがあり、子どもや植物などが育って大きくなるというときに使います。
生物だけでなく、経済的な成長や高まる感情を表現するときにも使われますよ。
Grow だけだと単に「大きくなる、成長する」を表すのに対し、grow up の形にすることで「心や体が発達して大人になる」というニュアンスになります。
「この植物、育つの早いね」
「子供はたちまち成長する」
「この国の将来についての懸念が高まっている」
「パンデミック時に経済成長を維持することは、本当に難しいことです」
Glow は「輝く、光を放つ」という意味の単語ですが、grow up と掛け合わせた glow up で「垢(あか)抜ける、見違える」というスラング表現になります。
この表現には、自分を大きく変化させるという意味合いがあります。外見のポジティブな変化や、人生における成功や自信の増大に対して用いられることが多いです。
【動詞の glow up】
「この前会ったときより、輝きが増したね(垢抜けたね)」
※Glow up は過去形も過去分詞形も glowed up になります。Grow up とは語の変化が異なるので注意しましょう。
【名詞の glow up】
「アデルの glow up を絶賛している人がいましたが、私はどちらでも美しく見えたと思います」
「あなたは今年、とても成長したよね。えらいね」
これは、質や能力における成長を表すのに使います。「開発」という日本語訳でよく使われるのもこの単語です。
Developed country(発展した国=先進国)、developing country(発展途上にある国=発展途上国)と言ったりもしますね。
「そうは見えないかもしれないが、この国は急速に発展しています」
「コミュニケーション能力を発達させるチャンスだね」
また、child(hood) development というのは「子供の発達」で、子供の成長について develop を用いることも可能です。
「私はいつもクラスの他の子供たちよりも背が高かったんだけど、成長が早かっただけなんだよね」
「成熟する、一人前になる」というニュアンスで使われるのが mature です。
生き物だけでなく国や経済、さらには果物やワインなどといった食べ物の成熟具合を表すときにも使いますよ。
「そんなことがあったら前は落ち込んでいたと思うけど今は大丈夫。自分、大人になったな」
また、先生や親が生徒や子供に怒っているときにこういった表現をすることがあります。
「この部屋にいるみんなの成熟度はかなり低い(かなり大人げない)です」
一方で、「大人げない」をひとことで表したい場合は immature という言葉を使います。
「あなたは本当に未熟だね(大人げないね)」
こちらは質には関係なく、大きさや量が広がっていくイメージ。
「拡大、拡張する」といったニュアンスで成長を表すときに使います。
「次の6ヶ月でビジネスを大きくしたい」
「私は、この市が学生に対して行っているメンタルヘルスサービスの拡充を全面的に支持します」
「前進する、進化・進歩する」というニュアンスで好ましい成長を表します。
「私の英語力は、少しずつですが着実に進歩しています」
しかし、病気と合わせて使用されている場合は、病気が進行しているという意味になるので注意が必要です。
「がんは急速に進行しています」
動詞でも名詞でも形は変わらず progress なので、名詞形を使うときは make と組み合わせて make progress(進歩を遂げる)のように使います。
「大きく進歩しています!」
「この分野において大きな前進があった」
Improve は、「良くする、改善・改良する」など、確実に良い方向への成長を表します。
名詞形 improvement は progress と同じように make と組み合わせ、make an improvement(改善・改良を行う)の形にして使います。
「英語を上達させたい」
「私の英語はまだまだ上達が必要です」
「まだまだコミュニケーション能力を高める努力が必要です」
To make progress と似ているのが advance です。
基本的には「前進」や「進行」を表しますが、他にも広い意味での「進む」や、戦場では「進撃」、経済的には「前借金」を意味する場合もあります。
「キャリアアップを目指したいです」
「教えていただいたことによって私の知識は本当に広がりました」
「ここ数年、医療技術の進歩は目覚しいものがあります」
生物、文明、あるいはテクノロジーなど、時間をかけて徐々に進化していくイメージを表すのに使うのが evolve です。
「近年、AIテクノロジーが、すさまじく進化している」
ちなみに、ダーウィンの「進化論」は英語では the theory of evolution と言いますが、シンプルに evolution と呼ぶことのほうが多いですよ。
「マークは進化論を信じていないって今言ってたよ」
最後は、「成長」を表すときによく使われるイディオムをご紹介します。
Stride とは、大股歩きの歩幅のこと。「大きな進歩を遂げる」を文字通り英語にした make strides の形で使われます。
「今年度、あなたは業績を大きく伸ばしました」
ひと口に「成長」といっても、英語ではさまざまなニュアンスの言葉があります。伝えたいイメージに合わせてこれらを使い分けられると、より英語らしい自然な表現を作ることができますよ。
なかには、単に大きさにおける成長なのか、中身の進歩を伴う成長なのかなど、使い分けないと言いたいことが正しく伝わらないものもあります。
ご紹介した言葉はどれもよく見かけるものばかりなので、注意しているとたくさんの表現例を見つけることができます。
どのように使われているのかを生きた英語のなかでチェックしてみてください。自然とニュアンスの違いを身につけることができるはずですよ!