西東 たまき
(更新)
「家」は英語で?
ほとんどの人が即答できると思います。
「home」や「house」は、日頃からカタカナでも使っていますよね。
でも、普段同じような使い方をしているこの2つの言葉、英語では厳密に使い分けされているのを知っていましたか?
違いを区別せずに使うとおかしな話になりかねません。なので、この2語の使い分けを知っておくことは意外と大事なのです。
当記事では、home と house の違いに加え、「家」を表すさまざまな英語表現もご紹介していきます!
まずは基本単語である home と house の違いと使い分けからです。
実は、両者の違いは辞書を見れば一目瞭然!
home と house の定義を見てみましょう。例えば、『オックスフォード英語辞典』では次のように定義されています。
home|The place where one lives permanently, especially as a member of a family or household.
「家族を構成する者あるいは世帯として、人が恒常的に住む場所」
house|A building for human habitation, especially one that consists of a ground floor and one or more upper stories.
「人間が居住する建物。一階建てあるいはそれ以上の階層から成るものなど」
home は人が暮らす「場所」のことであり、house は人が住む「建物」のことであると明記されています。
どうりで、homesick「ホームシック」とは言っても housesick とは言わないわけですね。
さて、次は home と house の使われ方を具体的に見ていきましょう。
日本語の「家庭」「故郷」「祖国」が表すようなイメージには home を使います。
「地元、住み慣れた町」を hometown(ホームタウン)と言ったりもしますね。快適に感じる場所、自分が自分でいられる場所が home です。
nursing home(高齢者向けなどの介護福祉施設)のような言葉もありますが、home は必ずしも目に見えるものとは限りません。
「家/故郷が恋しいよ」
「家で仕事をしています」
「9時までには家に帰ります」
「もう家に着いた?」
「建物」を意味する言葉ですから、リフォームやリノベーションを施したり、売買の対象となるような「住居」「家屋」を指します。
「ここは私の持ち家です」
「中古の一戸建てを買おうと思っているんだ」
「この家は入居者募集中かな?」
「ウチの家は太陽光発電システムを採用してるよ」
英語で「家」を表す言葉は home と house だけではありません。
形状や文脈によっていろいろな英語表現があります。それぞれのイメージを掴みましょう。
日本語の「アパート(アパートメント)」の元になっている言葉です。
「この木造アパートは築50年以上です」
日本で「アパート」というと、マンションに比べて簡易な作りの集合住宅を指しますね。
でも実は、英語の apartment は日本語の「マンション」に相当する建物を指します。
英語ではマンションもアパートも、両方とも apartment です。どちらも「集合住宅」であると考えれば違和感もありませんね。
なので「マンション」と言いたいときも、英語では apartment を使ってください。
「このマンションは、5年前に私が買ったときは3千万円でした」
では、英語の mansion は何を指すのでしょうか。日本語に当てはめるなら「お屋敷」「館」になります。
Google で画像検索を試してみると違いがはっきり分かるでしょう。お城のような豪邸が画面を埋め尽くします。
ディズニーランドの人気アトラクションの一つ、「ホーンテッド・マンション(Haunted Mansion)」を想像してみてください。
英語では「マンションに住んでいるんだ」「マンションを買ったよ」と、気軽にいうような住居ではないことがよく分かると思います。
「一体、この豪邸にはいくつの部屋があるのだろう?」
イギリス英語では apartment のことを flat と表現します。
「リフォームしたてのマンションに入居した」
condominium は「分譲マンション」を指します。省略して condo と呼ばれることが多いです。
「ハワイで分譲マンションが売りに出されているけど、興味ある?」
比較的大きく立派な家だと residence とも呼ばれます。日本語の「邸宅」のイメージです。
「公邸」や「官邸」というときは residence が使われます。しかし同時に、student residence「学生寮」のような使われ方もします。
「そのイベントは大使公邸で行われます」
政策や公共の文脈で「住宅」が語られるときに、よく使われる言葉です。
「被災者には仮設住宅が提供されます」
「住む」「居住する」という意味の動詞 dwell の名詞形 dwelling は、「すみか」「居住地」「住所」を意味する硬い英語表現です。
住居の形態は問いません。一般的な家だけでなく、トレーラーハウス、テント等、どれもが dwelling に含まれます。
「モンゴルの伝統的な住居は何て名前だっけ?」
思えば、日本語でも「家」の他に、「住処(すみか)」「住居」「住宅」「おうち」「住まい」などなどさまざまな言い方があり、それぞれのイメージも違いますね。
それを英語で言う場合は home、house 辺りが最も身近な言葉ですが、掘り下げればほかにもいろいろな言い方と、それぞれのイメージがあることが分かりました。
具体的なイメージを比較しながら理解に役立てたいと思ったら、本文でもご紹介したように「Google画像検索」を利用してみるのもおすすめです!