DMM英会話ブログ編集部
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英語学習者にとって、もっとも全体像を捉えにくい英単語のうちの1つが “as” ではないでしょうか。その使い方をざっと列挙してみると……
このように非常に多岐にわたります。そのため、出てきた “as” がどの意味に当たるかを文脈から判断しなければならないケースはよくあります。
まずは “as” のコアイメージを捉え、そしてそれぞれの使い方を見ていきましょう。
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さまざまな使い方がある “as” ですが、そのコアイメージは「2つの並べられた物・事が等価の関係にある」です。つまり、“as” が使われている文章では、何かと何かがイコールであることを伝えようとしているのです。
「彼は成長するにつれて丈夫になった」
この場合、“he grew up” と “he became healthy” はイコールと考えられます。
「私の兄/弟は美術館で学芸員として働いている」
こちらの “as” でも “my brother” と “curator” がイコールであることがわかります。
どの用法であってもこのイメージが基本です。そして、その「イコール」を保ったまま “as” は「類似性」「同時性」「理由」「逆接」「役割」の5つの意味に分けられます。次の章からそれぞれ解説していきましょう。
“as+形容詞/副詞+as ◯◯” で「◯◯と同じくらい~だ」という比較を表します。
「彼女は私と同じくらい背が高いようだ」
1つの文の中に “as” が2つありますね。それぞれ解説すると、1つめの “as” は副詞であり、直後の形容詞 “tall” を修飾して「同じくらい(背が高い)」という意味を持ちます。
対して、2つめの “as” は接続詞です。この接続詞は「~であることと比べて」という意味を持ちます。本来であればその後に “as tall as I am tall” とSV構造が入ります。
She seems to be (as tall){as I am tall}.=「彼女は{私が背が高いことと比べて}(同じくらい背が高い)ようだ」というように分けて考えるとそれぞれの“as”の働きがわかります。
動詞(ここではbe動詞)以下は前と同じであるため省略され、さらに “I” は、慣用的に目的格の “me” となるのが一般的です。
「私がやるようにラケットを降ってください」
この文の “as” も接続詞です。本来なら “Swing your racket as I swing my racket.” となるところを省略して “Swing your racket as I do.” としています。ただし、as+形容詞/副詞+as の文と違って、目的格を使用して “Swing your racket as me.” という表現は使えないのでご注意を!
“as” には時を表す節を導く接続詞としての役割もあります。類似する接続詞に “when” と “while” がありますが、これらの違いは以下のようになります。
ちょっと難しいですね(笑)。次の例文で考えてみましょう。
「私が家を出たときに、郵便配達人が来た」
この例文で、家を出たという行為をしているときの私は、郵便配達人が来たことに対して特に関心を持っているわけではありません。asを使うのは、こういった「いつの時点の話なのか」ということに関心がなく、「私が家を出た」と「郵便配達人が来た」ことの関係性が等価に置かれている場合です。
「郵便配達人が来た」ことに関心がある場合には “When I left home, the postman came.” となります。
また、こちらの例文では、継続的な時の流れのなかで「成長する」と「食べ物の好みが変わる」という2つの事態が並置されています。
「成長するにつれて、彼女の食べ物の好みは変わった」
これが「同時性」のasです。
「~だから」と理由を説明するために使用されます。“because” との違いとして、“as” は相手がその理由を知っている、または状況的に明らかなことを伝えるときに使用されます。そのため、理由を強調して伝えたい場合は “as” は適切ではありません。“because” を使いましょう。
We held a party for John, because he passed the exam.
「ジョンが試験に合格したので、彼のためにパーティーを開いた」
上の文は聞き手がジョンの合格を知っていることを前提にしている文であり、下の文は聞き手がそれを知らず、聞き手にパーティーを開催した理由を特に伝えたい場合の文です。
「外は暗いので気をつけて運転して」
外が暗いことは状況的に誰からも明らかです。そのような場合ではこのように “as” が使用されます。
名詞・形容詞・副詞・動詞の原形の後に “as” を用いて、もう一方の節と対比することで逆接の意味を持たせることができます。
「寒かったが、彼はコートを着ていなかった」
「彼は才能豊かな学者だったが、賞を受賞することはなかった」
“Cold as it was” に “Talented scholar as he was” ……。なんだか不思議な文法ですよね。
シンプルに “As it was cold” や “As he was talented scholar” じゃダメなの? と疑問に感じるかもしれませんが、これはもともと “It was cold as it was”、“He was talented scholar as he was” という節であり、そこから頭の “It was” や “He was” が省略されていったという説があります。
このasを含む節には「ご覧のように、ご存知のように」と強調するニュアンスがあり、強調した結果、「それにもかかわらず」と後の節との対立を暗示するというわけです。
「~として」と職業や役割、性質を表すことができます。続く名詞が職業・役目・資格・性質などの抽象概念を意味する場合は無冠詞になり、 個人または個々の物を意味する場合は a(an)をつけます。
「この文章は良い例として作られた」
「私はその医療チームに看護師として参加した」
regard A as B(AをBと見なす)で、目的語Aの補語Bを表すことができます。補語は名詞だけでなく形容詞も用いられます。
「私は彼を善人と見なした」
「彼は同僚から信頼できないと見なされている」
“as”を使ったイディオムは非常に多く、上記の「類似性」「同時性」「理由」「逆接」「役割」の5つの意味だけでは説明しきれない場合もあります。そのため、ひとつひとつ覚え、慣れることが一番の近道です。
「レポートをできる限り早く提出してください」
「私が調べた限りでは部屋に鍵はない」
「あなたが望む限りここにいてよい」
※as far asが知識、意見、視野の範囲なのに対し、as long asは条件、時間、期間の範囲です。
「プレートはステンレス鋼等の金属から作製されている」
「新製品は旧型と同じ見た目である」
「そのことについては次回の会議で話し合う予定だ」
「古い棚は(修繕等を施すことなく)そのままの状態で売られている」
以下の文章の “as” は「類似性」「同時性」「理由」「逆接」「役割」のうち、どのような働きをするか当ててみましょう。
“as” の意味は多岐にわたるため、理解しようと思うととても難しいです。まずは解説したコアイメージをしっかりと捉え、慣れないうちは “as” が出てきたら辞書を引くなどしてその意味を復習するようにしましょう。そうすれば徐々に “as” の全体像を把握することができるようになりますよ!