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イディオムとことわざって実際何が違うの?

イディオムとことわざって実際何が違うの?

英語を学んでいると、idiom(イディオム)proverb(ことわざ)といったものに出会うことがあります。

意味を知れば、日本語でいう慣用句・ことわざ・名言・格言などにあたるようなものだということはわかりますが、「これらの違いは何か?」と問われてきちんと説明できる人はどれくらいいるでしょうか。

今回は、英語 idiom と proverb の違いについてご紹介していきます!

Idiom と proverb の基本的な意味

カタカナでもそのまま使われている「イディオム」は日本語だと「慣用句」、そして proverb は日本語だと「ことわざ」にあたります。まずは、それぞれが英語の辞書でどのように説明されているかを見てみましょう。

Idiom(イディオム、慣用句)とは、 

“a group of words whose meaning is different from the meanings of the individual words” 

(複数の単語から成り、各語が持つ意味とは別の意味になる表現)

引用元:Oxford Learner's dictionary

Proverb(ことわざ)とは、

“a well-known phrase or sentence that gives advice or says something that is generally true”

(言い伝えられてきたフレーズや文章で、広く当てはまるような助言や戒め(いましめ)を伝えるもの)

引用元:Oxford Learner's dictionary

それぞれを詳しく見ていきます。

Idiom/イディオム/慣用句とは?

辞書の定義が「各語が持つ意味とは別の意味になる表現」とあるだけに、イディオムは額面通り受け取ってしまうと、理解しにくいのが特徴です。日本語だと「板につく」「顔から火が出る」「羽を伸ばす」などの例があります。

英語だと、例えば like father, like son という表現は、日本語で言う「この父にして、この子あり」にあたりますが、文字通りに理解しては何を言っているのか想像すら付きませんよね。「子は親の影響を強く受ける」という特定の意味があると知ってこそ通じる。それがイディオムです。

  • tie the knot=結び目を作る=縁を結ぶ→結婚する
  • upset the apple cart=リンゴを載せた手押し車をひっくり返す→台無しにする
  • What goes around comes around=ぐるっと回っていき、ぐるっと回って戻ってくる→自分のしたことは巡り巡って自分に返ってくる
  • a bull in a china shop=陶器店にいる雄牛→粗雑な人
  • think on one’s feet=自分の足で考える→臨機応変に考える
  • have butterflies in one’s stomach=腹の中に蝶がいる→緊張して落ち着かない

意味を知っている人にしか通じないイディオムをわざわざ使うのはなぜでしょうか? それは、同じことを表現するにも、イディオムを使うことで面白みが出て表現が豊かになるからです。

Proverb/ことわざとは?

私たちは生きてきたなかで、さまざまなことわざにも触れてきているはずです。「百聞は一見にしかず」「習うより慣れろ」など、きっといくつもご存じでしょう。イディオムとの違いは、表現の中に教訓や真理が含まれている点です。

ことわざに含まれる教訓・真理は広く人類に共通するものばかりです。文化の違いから言い方が違っていても、日本語にも同じようなことわざがたくさん存在します。

Don't count your chickens before they hatch.
「雛が孵るまで数を当てにするな=取らぬ狸の皮算用」
 Don't judge a book by its cover.
「表紙で本を判断するな=見た目で人を判断するな」
Two heads are better than one.
「一つの頭脳より二つの頭脳の方が良い=三人寄れば文殊の知恵」

同じことを伝えるにも、言語によって例えの違いが面白いものもありますよ。

Too many cooks spoil the broth.
「コックが多すぎるとスープがまずくなる=船頭多くして船山に上る」
The squeaky wheel gets the grease.
「きしむ車輪には油を差してもらえる=声を上げれば聞いてもらえる」
There’s no use crying over spilled milk.
「こぼれてしまったミルクを嘆いても仕方ない=覆水盆に返らず」

西洋のことわざをそのまま和訳して広まったものもあります。そのため、日本語と英語で表現がまったく同じになっています。

The grass is greener on the other side.
「隣の芝は青い」
Kill two birds with one stone.
「一石二鳥」
Strike while the iron is hot.
「鉄は熱いうちに打て」

もともとは中国由来のことわざですが、日本語にも英語にも訳されたケースもあります。

A picture is worth a thousand words.
「百聞は一見にしかず」

日本語ではズバリ当てはまる表現がないような、英語ならではのことわざもあります。

Two wrongs don't make a right.
「他人が悪い事をしているからといって、自分もそうしてよいということにはならない」

ことわざは多くの人々に共通する知識や経験が長い年月を経て出来上がったものです。くどくどと説明せずとも、ことわざ一つで真理を伝えられる効果があります。

Idiom(慣用句)と Proverb(ことわざ)の主な違い

最後に、違いをそれぞれまとめてみました。

Idiom(イディオム・慣用句)

  • 意味が直訳では理解しにくい表現で、文脈に依存することが多い。
  • 一般的に、特定の言葉やフレーズの組み合わせが特別な意味を持つ。
  • 言葉やフレーズの意味は、そのままの意味からは想像できないことがある。
  • 通常、特定の文化や言語に固有であり、他の言語や文化に翻訳する際に難しさがある。

Proverb(ことわざ)

  • 比較的短い言葉やフレーズで、一般的に広く知られている。
  • 通常、生活の知恵や価値観を伝えるために使用される。
  • 意味は比較的直訳しやすく、一般的に理解されている。
  • さまざまな文化や言語に共通することがあり、国際的にも広く知られている。

つまり、idiom は通常文脈に依存し、直訳では理解しづらい表現であり、proverb は一般的な知恵や価値観を伝えるための短い言葉やフレーズで、通常は直訳しやすいものだと言うことです。

似たような意味をもつ英語表現

せっかくなので、似たような場面で使われる言葉も知っておきましょう。英語辞書上の定義も併せてご紹介します。

Saying

"a well-known phrase or statement that expresses something about life that most people believe is wise and true"

(多くの人が、理にかなっている、言い当てていると思うような人生訓) 

引用元:Oxford Learner's dictionary

日本語だと「言い回し」と訳されます。old(古い)、 wise(道理の通った)、popular(よく知られた)などの形容詞と一緒に使うことで「ことわざ」の言い換え表現になります。

Quote

"a group of words or a short piece of writing taken from a book, play, speech, etc. and repeated because it is interesting or useful"

(本・演劇・演説などから引いて用られる表現や文章)

引用元:Oxford Learner's dictionary

「名言」を表すのに使われる英語が quote です。quote という単語自体は単なる「引用」の意味ですが、famous(有名な)、inspirational(心に響く)などの形容詞と一緒に使うことで「名言」にあたる意味になります。

Idiom と proverb の違いを覚えておこう!

今回はイディオムとことわざの違いをご紹介しました。日本語だと、ほかに四字熟語というのもありますね。英語にもほかに adage aphorism(ともに「格言」の意味)といった類語があります。

イディオムやことわざに表れる文化の違いは興味深いし、それらを取り入れることで表現自体が断然面白くなります。

英語のコミュニケーションを豊かにしたいと考えるなら少しずつ覚えてみることをお勧めします!