西東 たまき
(更新)
海外では自動車、アニメ・ゲームなどをはじめとする様々な日本製品が流通しており「Made in Japan=高品質」のイメージが定着しています。
しかし、日本語の商品名では分かりにくかったり、現地の言葉では好ましくない意味になるなどの理由により、海外向けに別の名が付けられているものが結構あるものです。そういったものは知らなければ、同一のものだとはなかなか分かりません。
そこで今回は、「海外で人気の日本製品が英語ではどんな名前で知られているのか」をご紹介していきます!
1975年の発売から今も人気のチョコレート菓子・明治の『きのこの山』と、4歳年下の姉妹品『たけのこの里』。
アメリカではそれぞれ、チョコ(chocolate)ときのこ(mushroom)を掛け合わせた “Chocorooms” と、「円錐形のチョコ」を意味する “Chococones” の名前になっています。
パッケージの親しみやすいイラストは消え、大人っぽいイメージに変わっています。
マルコメ味噌の人気ブランド『料亭の味』シリーズの製品は、美味しく高品質と海外でも評価が高い食品です。
マルコメの英語サイトではそのまま “RYOTEI-NO-AJI” とされていますが、アマゾンUSAをはじめとする各種オンラインショッピングサイトでは “Marukome Taste of Your Virtue Restaurant” のシリーズ名で紹介されているのがたくさん目に付きます。
“virtue” は「美徳、長所」といった意味です。
海外での日本のマンガ・アニメ人気は絶大で、筆者の住むタンザニアでもインターネットで日本のマンガ・アニメ情報をフォローしているファンの子供たちがいますよ。
“One Piece” や “Death Note” など、もともと英語タイトルのものもありますが、日本語タイトルのものは英訳されることが多くなります。直訳なら分かりやすいですが、意訳されたタイトルだと簡単にどの作品か分かるとは限りません。
例えば、“Attack on Titan” が『進撃の巨人』 だったり、“Fist of the North Star” が『北斗の拳』のことであるのはまだ見当が付きますね。
しかし次のようなものはどうでしょう。
この作品は、「抹消された、忘れられた」といった意味を持つ “Erased” になっています。
また “The Town Where Only I Am Missing” という直訳のタイトルも見られます。英語のタイトルには、公式なものが定まっておらず複数のバージョンがある場合があります。
“Case Closed(事件解決)” というタイトルだけで『名探偵コナン』だと分かる人は少ないでしょう。でも、“Detective Conan” という直訳バージョンもあります。
ちなみに、アメリカ版では「工藤新一」は “Jimmy Kudo”、「毛利蘭」と「毛利小五郎」はそれぞれ “Rachel” と “Richard Moore” のように、おなじみの登場人物たちが軒並み英語名に変わっているのも見どころです。
1961年にリリースされて以来、国内外、数多くのアーティストにカバーされ続けてきた坂本九の『上を向いて歩こう』は、今の若い世代でも聞き覚えがある名曲ですが、海外では、原題とは全く無関係の “Sukiyaki(スキヤキ)” という名で呼ばれています。
下記は1995年ビルボード誌8位にもなった 4 P.M. によるカバー。
世代を超えて根強い人気のジブリ映画。
「神隠し」を意味する “Spirited Away” が『千と千尋の神隠し』のことだったり、“Porco Rosso(イタリア語で「豚/ポーク」と「赤」)” が『紅の豚』を指すといったことは、ちょっと頭をひねれば分かるかもしれませんね。
でも、『コクリコ坂から(From Up On Poppy Hill)』や『おもひでぽろぽろ(Only Yesterday)』などは推測が難しそうです。
「コクリコ」とはフランス語で「ヒナゲシ(coquelicot)」のことで、英語のタイトルでは “poppy” と英語に直されています。
そして “Only Yesterday” は、“It seems like only yesterday(まるでつい昨日のことのようだ)” という意味のイディオムからきています。
“The True Mexican Car(真のメキシコ車)” とも評されている、メキシコでメジャーな乗用車 “Tsuru(鶴)” とは、日産を代表する今はなき『サニー(Sunny)』のことです。
メキシコに行ったら「ツル」のタクシーに出迎えられるかもしれませんよ。25年以上の長きに渡ってメキシコで愛されて来たこの車は、2017年に安全性上の理由から生産中止になったばかりです。
同車は北米では “Sentra” と呼ばれています。
元の商品名が輸出先の言語ではネガティブなイメージに聞こえるといった場合も、別の名が付けられる理由になります。
例えば、三菱『パジェロ(Pajero)』はスペイン語では卑猥な意味になるため、海外では “Montero” と呼ばれています。しかし、イギリス向けの名前は何と “Shogun(将軍)” なんですよ。
SUZUKIのSUV車『エスクード(Escudo)』は "Vitara"、トヨタの看板車種の一つ『ヴィッツ(Vitz)』は “Yaris(ヤリス)”、ミニバン『エスティマ(Estima)』は欧米で “Previa(プレヴィア)” の一方オーストラリアでは “Tarago(タラゴ)” と呼ばれているなど、自動車にはたくさんの例が見られます。
国内・海外で呼び名が違うケースは、このように古くから最近まで、多くの例を挙げることができます。
おなじみの日本製品が、私たちの知らないところで全くの別名で呼ばれているという事実、面白いですよね。