さな
(更新)
最近は日本でも、LGBTやLGBTQ+という言葉を見かけることが増えてきましたよね。
しかし「LGBTとはなんぞや?」と思う人はまだまだいるかと思います。LGBTという名称を見聞きすることがあっても、「レズビアンとゲイまではなんとなくわかるけど、それ以降の意味がわからない」という人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、LGBTQ+について、わかりやすく解説していきたいと思います!
英語でLGBTの話をするうえで知っておきたい表現や単語がたくさんあるなかで、今回は21選に絞って説明していきます。
一般的にはLGBTやLGBTQという略語が使われますが、実は以下のように表記されることもあります。
レズビアンやゲイ以外にも、世の中にはさまざまなセクシュアリティやアイデンティティを持つ人が存在します。その多様性を表しているのがこの文字たち。
LGBTQIA2S+やLGBTQQIAAPPO2Sと表記すると長いので、LGBT+やLGBTQ+のように、「+」の部分で「そのほか」を表しています。
また多くの場合、どこまで略すかは記載者によって変わります。
では、LGBTをはじめ、「そのほか」の部分もどういう単語を表しているのか早速見ていきましょう!
LGBTQ の L の部分に該当するのが lesbian(レズビアン)。「女性同性愛者」を指します。
LGBTQ の G の部分に該当する gay(ゲイ)は主に「男性同性愛者」を指しますが、女性が「I’m gay」と言っても問題ありません。一般的に「同性愛者」や「セクシュアル・マイノリティ」に当てはまることを意味します。
ちなみに、gay という言葉はもともと「ハッピー」や「陽気な」という意味で使われていました。20世紀後半頃から同性愛者としての意味合いで使われる頻度が増え、今は主にこの意味でしか用いられません。
まず、女性が好きな男性、もしくは男性が好きな女性のことを heterosexual または straight と言います。Hetero- という接頭辞は「異なる」「他の」を表します。
しかし、なかにはどちらの性別も好きな人がおり、 bisexual(バイセクシュアル)と呼びます。日本語では「両性愛者」です。
bi- は 「両方の」という意味で、bilingual(バイリンガル)という単語にも使われるのでわかりやすいかと思います。
性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人のことを指します。男性の身体で生まれたが、心は女性。そのような人が transgender(トランスジェンダー)です。
ちなみに英語では、trans(トランス)と省略して呼ぶことが多いですよ。
そして逆に、性自認が出生時に割り当てられた性別と一致する人のことを cisgender(シスジェンダー)と呼びます。最近よく聞くようになってきた言葉なので、覚えておくと良いでしょう!
「奇妙な」「風変わりな」という意味合いを持つ queer(クイア)という言葉は、もともとは同性愛者への侮蔑の言葉でした。
しかし現代では、規範的な性のあり方以外を包括する言葉としても使われていて、誇りを持って「I’m queer」と発言する人も増えてきています。
また、queer は、名詞としても形容詞としても用いることができます。
一方で、questioning(クエスチョニング)という言葉には「疑問に思う」や「疑う」という意味合いがあります。
つまり、このカテゴリーに当てはまる人は、自らの性のあり方についてまだ悩んでいるということです。
Intersex(インターセックス)とは、解剖学的構造、染色体、ホルモンなどによって、厳密な男性/女性という二元論から外れた生物学的特徴を持って生まれてきたことを意味します。
つまり、身体には男性的な特徴も、女性的な特徴も両方見られて、どちらの性別かは特定できないということです。
Inter- は、「〜の間に」という意味を持つ接頭辞なので、「(2つの)性の間」と考えるとイメージしやすいでしょう。
また、インターセックスであることは、トランスジェンダーであることと同じではありません。
a- という接頭辞は、「無」を表します。
つまり、asexual(エイセクシュアル)というのは、他者に性的魅力を感じない、または性行為への関心や欲求が低い、あるいはないという意味です。
a- がつく言葉は他にもあり、例えば agender は「ジェンダーがない」、aromantic は「ロマンス(恋愛)に興味がない」という意味になります。
Ally(アライ)は「同盟」や「盟友」を意味する英単語です。
LGBTの話で ally という言葉が出てきたときは、自分はLGBT+などのセクシュアルマイノリティに当てはまらないものの、LGBT+の権利や表現を支持し、LGBT+の人たちのために声を上げたりする人のことを指します。
Pansexual(パンセクシュアル)とは、性別にこだわらず、誰にでも恋愛感情を抱く人のことを意味します。
Bisexual は「女性か男性か」ですが、パンセクシュアルの人は、男性でも女性でもそのほかでも好きになれるということです。
Polyamorous(ポリアモラス)とは、複数のパートナーと親密な関係を築いている人、またはそれを望む人で、関係するすべてのパートナーの同意を得ていることがほとんどです。
Pansexual(パンセクシュアル)とよく似ていますが、パンセクシャルの人は性別に関係なく人に魅力を感じるのに対し、omnisexual(オムニセクシュアル)の人は、パートナーになりうる人の性別をしっかり認識しています。
pan- も omni- も「all(すべて)」を表す接頭辞です。
もう少し深く掘り込むと、gender blind(ジェンダー・ブラインド)ではないのが omnisexual です。Gender blind とは、異なる性別を区別しない(もしくはできない)ことを意味します。
LGBTQIA2S+の「2S」のところを表す two-spirit(トゥー・スピリット)とは、アメリカの先住民(ネイティブ・アメリカン)に由来する概念です。
Spirit とは「精神」や「魂(たましい)」を表すので、トゥー・スピリットとは、基本的には男性の精神と女性の精神の2つを持つ人のことを指します。
また、文化的や歴史的な背景からして、「トゥー・スピリット」という概念は先住民族のみが使用するものとされています。
しかし、異性愛者でないすべてのネイティブ・アメリカンがトゥー・スピリットであるというワケではありません。
ネイティブ・アメリカンのコミュニティで、LGBTに含まれるさまざまなジェンダーやセクシュアリティを表す総称のようなものなので、人によって捉え方は異なります。
この言葉は、LGBTQQIAAPPO2Sの中には入っていませんが、なんと2022年に新たに辞書に追加された言葉の一つなので紹介しようと思います!
Sapiosexual(サピオセクシュアル)というのは、sapio (賢明である)と sexuality(性的指向)を合わせた言葉で、人の知性に魅力を感じるセクシュアリティの一種です。
相手の性別や外見などではなく、その人の知性に惹かれるということですね。
ここまでは、LGBTの略語に出てくる基礎用語を紹介しましたが、ここからはセクシュアル・マイノリティの話になったときによく使う表現や、LGBT関連の英語をいくつかご紹介します。
これは「性的指向」を指す英語です。
Identity は「認識」を表す言葉です。つまり、gender identity は「自分をどのジェンダーとして認識しているか」、そんな概念を意味する英語です。日本語では「性自認」と訳されることがあります。
なお、最近では sexual orientation と gender identity の頭文字をとった「SOGI」という表現の仕方もありますよ。
Non-binary(ノンバイナリー)は、一般的に、性自認が男性でも女性でもない人のことを指します。
2022年の初めに、歌手の宇多田ヒカルさんがノンバイナリーとしてカミングアウトをしたというニュースがありました。実は身近にもセクシュアル・マイノリティの人はたくさんいるのかもしれませんね。
「性スペクトラム」という言葉を聞いたことはありますか? Spectrum は日本語では「スペクトル」と表現され、現象や症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していることを意味します。
英語で gender spectrum は、多くのジェンダー・アイデンティティ(女性、男性、トランスジェンダーなど)が存在するという考えをもとにした概念。要するに、女性か男性かだけでは表現しきれないほどのアイデンティティがあるということです。
一方で、sexuality spectrum はジェンダーではなく、人の性的アイデンティティや性的指向を簡単に分類することが難しいという考え方を指します。
「ジェンダーの流動性」を意味する gender fluidity は、人の性別表現または性自認、あるいはその両方が時間の経過とともに変化することを指します。1980年ごろから存在する言葉です。
要するに、自分のジェンダー、性自認、性的指向などに変更の可能性があり、固定していないという意味になります。
日本語でも「カミングアウト」と言いますよね。自分の性的指向や性自認を公表するという意味です。
また、outing/to out someone という表現もあり、これは地域によっては違法の行為に当たります。アウティングとは、誰かの性自認や性的指向を、本人の了承を得ずに他の人に暴露することです。
これは、カミングアウトをしていない状態を指します。上記でご紹介した coming out のフルバージョンは、to come out of the closet です。
Passing(パッシング)とは、人種や年齢をはじめ、性的指向、性別、障害など、自分とは異なるアイデンティティのグループやカテゴリーに属するとみなされることです。
例えば、白人ではないがそのように見える人が、周りからは白人としてみなされることを white-passing と言うことがあります。
いかがでしたか?
LGBTQの世界は奥が深く、複雑なものでもあります。
少しずつ理解していくことで、必要となったときに知識を活かせるはずです。何に関しても「理解をする」ことは大事だと筆者は思います。
現在、LGBTQについては多くの国でオープンに話されているので、今回ご紹介した基礎表現などを知っておくと海外へ行ったときにも必ず役に立つはずですよ!