K. Inoue
(更新)
英語の注目度と必要性の高まりに呼応して学習者の方々の勉強熱も高まっています。
そんな中で、いきなりTOEIC対策問題集を解いてみたり、はじめから「実践」をうたったライティングやスピーキング教材に手を出してみたりと、英語の基礎基本を置き去りにした学習をしてしまっていませんか?
中学英語は、英語学習の根幹をなす最も重要な基礎基本を教えてくれるものです。中学英語を理解することなく、より高度な英語を理解したり技能として身に付けたりすることは不可能と言ってもいいでしょう。
それだけ重要な中学英語を基礎基本から徹底解説する連載【大人のやりなおし中学英文法】。今回は「接続詞」についてご説明します。
中学校で学習する大切な品詞の一つに「接続詞」というものがあります。
「接続」という言葉からも想像できるように、これは「文と文」や「単語と単語」など、英文中の言葉や意味のまとまりをくっつけるはたらきがあるものです。
複数のまとまった単語や文などをつなげることで、一つの文でより多くの情報を伝えたり、論理的な文章を組み立てたりすることができるようになります。
今回はそんな便利な「接続詞」の中から、中学で学習する特に大切なものを厳選してご紹介していきます。
“when” は「時」を表す接続詞で、<when+SV>の形で「SがVする(だった)とき」という意味を表します。
“when” を使うことで「ジョンが僕に電話をくれた」という文と「僕はシャワーを浴びていました」という文をつなげることができました。
<when SV>のまとまりは文の後ろ側に置くこともできます。
今度は「私はフランスに住んでいました」と「私は子どもだった」という文がつながっています。
このように “when” は文同士をつなげ、「いつのことなのか」を伝えたいときに使うことのできる接続詞だと覚えておいてください。
なお<接続詞+SV>のまとまりが文の前半に来る場合、直後にコンマ(,)を置くのが普通です。
“if” は「条件」を表す接続詞で、<if+SV>の形で「もしもSがVする(だった)ならば」という意味を表します。
いずれも前半と後半のそれぞれの文が “if” によって接続されていることが分かりますね。
“if” は「もしも」という条件を設定する接続詞だと覚えておいてください。
“because” は「原因・理由」を表す接続詞で、<because+SV>の形で「なぜならSがVする(だった)から」という意味を表します。
前後二つの文が一つにつなげられている様子はもうお分かりかと思います。
“because” は「原因・理由」を説明することのできる接続詞だと覚えておいてください。
ここで “because” の使い方について注意すべきことが2点あります。
一つは、<because SV>のまとまりを文の前半に置いた場合には「原因・理由」がかなり強調された印象を与えることになる、ということです。よほど「原因・理由」を強調したいのでなければ、<because SV>のまとまりは文の後半に置いた方が自然に響くことが多いです。
もう一つは、<because SV>のまとまりは単独で文章を作ることができない、ということです。たとえば上記の例文を、次のように二つの文に分けることはできません。
なぜなら “because” は、「二つの文をつなげてはじめて一つの文を成立させる接続詞」だからです。<because SV>を使うのであれば、同じ文章の中にもう一つ別のSV(これを「主節」と呼びます)を登場させる必要があるのです。
これは “because” に限った話ではないのですが、特に “because” の使い方においてこのミスが起こりやすいので注意してください。
ただし、会話において “Why~?” という疑問に対する返答として<because SV>のまとまり単独で答えることには問題ありません。
“that” は《that+SV》の形で「SがVする(である)こと」という意味のまとまりを作る接続詞です。
ここまでご紹介してきた“when”、“if”、“because” とは異なり、「名詞のまとまりを作る」のが接続詞 “that” のはたらきです。
「名詞のまとまりを作る」とはどういうことか、見ていきましょう。
まずは次の文をご覧ください。
シンプルな文ですが、この文の目的語Oである “him” は名詞ですね。“know” の後ろにはこのように名詞が置かれます。
ところが、「知っている内容」が “him”「彼」のように名詞一語で済ませられるような情報ではなく、たとえば「彼のお父さんが医者である」のように文、つまりSVの形となった大きな情報になる場合があります。
そんなとき、SVのまとまりを、どうにかして《SがVである(こと)》という大きな名詞のまとまりとする必要が生まれます。“know” の後ろにはやはり名詞を置くしかないからです。
これを可能にするのが接続詞 “that” です。
単独の名詞 “him” と比べるとずいぶん大きなまとまりになりましたが、“that” 以下のまとまりも “him” と同様に一つの名詞として扱われます。
SV構造を持ったまとまりを名詞にしなければならないときに活躍する接続詞。それが “that” です。
“I know 《that SV》.” のように接続詞 “that” を伴う形になる定番のパターンが他にもありますから、いくつか挙げておきます。
このように「信じる・願う」といった「心理」を表す動詞や「言う・教える」といった「発言」に関する動詞の目的語として《that SV》を伴うことが多くありますので参考にしてみてください。
なお、ここまで見てきた「時」、「条件」、「原因・理由」など、主節に対して何らかの意味付けをすることで文全体の意味を支える接続詞や、“that” のように名詞のまとまりを作る接続詞のことを「従属接続詞」と呼びます。
文法用語の暗記を優先する必要はありませんが、次にご紹介するその他の種類の接続詞「等位接続詞」と区別するためにも知っておいて損はないでしょう。
ここまでで紹介しきれなかったいくつかの接続詞をまとめてご紹介します。
「そして・と・そうすれば(命令文で)」
「または・それとも・さもなければ(命令文で)」
「しかし」
「だから・それで」
これらの接続詞は、「語(句)と語(句)」や「文と文」を対等に結びつけるはたらきがあります。
(“A and B”、“SV but SV”という具合)
そのことから、これらは「等位接続詞」と呼ばれています。
(※ここでは副詞由来の "so" も便宜上、等位接続詞とみなしています。)
単語なら単語同士、文なら文同士を結び付けるのだということを頭に入れて使ってみてください。
いかがだったでしょうか。
単語や文を糊のようにつなぎ合わせ、より幅広い表現を実現してくれる接続詞。
これらをうまく使いこなせるようになれば、より具体的な説明や、論理的で説得力のある文章を作ることができるようになります。
今回ご紹介したもの以外にもまだまだたくさんありますが、まずはこの記事の内容を基礎として、さらなる接続詞の学びにつなげていただければ嬉しいです。