K. Inoue
(更新)
英語の注目度と必要性の高まりに呼応して学習者の方々の勉強熱も高まっています。
そんな中で、いきなりTOEIC対策問題集を解いてみたり、はじめから「実践」をうたったライティングやスピーキング教材に手を出してみたりと、英語の基礎基本を置き去りにした学習をしてしまっていませんか?
中学英語は、英語学習の根幹をなす最も重要な基礎基本を教えてくれるものです。中学英語を理解することなく、より高度な英語を理解したり技能として身に付けたりすることは不可能と言ってもいいでしょう。
それだけ重要な中学英語を基礎基本から徹底解説する連載【大人のやりなおし中学英文法】。過去18回に渡って中学英文法の基本をお伝えしてきた当連載も、今回のvol.19をもって一旦終了となります。
最終回となる今回は、ある特定の文法ではなく、中学で学習するいろいろな構文やフレーズをご紹介していきます。使い勝手のいいものばかりですので、ぜひ覚えて活用してみてください。
「私たちの町には博物館があります」や「テーブルの下に2匹の猫がいます」のように、「~(モノや人・動物など)がある・いる」ことを伝えることのできる定番の構文があります。
次のように表します。
<There is /are ~(モノ・人・動物など)+場所>
これは「モノ・人・動物など」の「存在」を伝えるための構文です。
伝えたい存在(名詞)を "There is/are" の後ろに置きます。この名詞が複数であれば、be動詞を "are" にします。
過去に「あった・いた」と伝えたければbe動詞を "was/were" にします。
続いてその場所を加えます。
この構文の特徴は、「相手がその存在について知らないもの」(新情報)について述べるということです。
上記の例では、「博物館」や「2匹の猫」の存在を知らない相手に「ほら、あるよ・いるよ」と新しい情報として教えてあげているニュアンスです。
"There is/are" で文が始まっているのは、相手が知らないもの(新情報)がいきなり文頭に登場するのを避けるためです。
すでに相手が知っている存在(旧情報)については、それを主語にすることができます。
新情報を文の後ろの方に置くというこうした英語の特徴から、"There is/are" の後ろに旧情報は置かないのが普通です。
ですから、一部の特殊な場面を除いて “There is the/my ~.” のように旧情報であることを示す "the" や "my" を伴うものは置きません。
ある一つの文の中に、目的語として疑問の対象となる意味のまとまりが組み込まれた文を関節疑問文と呼びます。
少し分かりにくいと思いますので例文を見てみましょう。
“Do you know ~?” 「~を知っている?」という一つの疑問文の中に、「知っている」の目的語として「彼が誰か」という疑問の対象となる意味のまとまりが置かれています。
「知っている?」と「彼は誰?」が合体したようなイメージです。
これらをそれぞれ別の文にすると “Do you know?” と “Who is he?” となります。
ただし関節疑問文に組み込まれる目的語のまとまりは、“who he is” のように疑問詞以下が肯定文と同じ語順になることに注意が必要です。
間接疑問文は、「彼は誰?」とか「彼女はどこに住んでるの?」のように疑問内容を直接尋ねるのではなく、あえて「知ってる?」や「教えてくれる?」のようにワンクッション挟むことで婉曲的に情報を尋ね、言葉に謙虚さや配慮を含ませることができます。
"so~that…" は「あまりにも~なので…」を意味する定番の構文です。
「~」の部分には形容詞を、「…」の部分はSVを持った文のまとまりを置きます。
文意によっては、以前にto不定詞の記事でご紹介した "too~to do"「~すぎてto doできない」の表現に置き換えることも可能です。
「~するのはどう?」と相手に提案したり、「~しよう」と誘ったりするときに役立つ表現をご紹介します。
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相手に何かをお願いしたり逆に提案したりするとき、いきなり「~してください」、「~しようか」などと言うとちょっとぶしつけな感じになることがあります。
そこで、もう少し柔らかく、遠慮がちに「~してもらっても大丈夫ですか?構いませんか?」と尋ねたり、相手の意向を確認しながら提案したりする表現をご紹介します。
※"mind" は「気にする・嫌がる」という意味なので、返答するときには Yes=「いいえ、嫌です」/No=「はい、構いませんよ」 という意味になることに注意してください。
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これらの表現は全て主語が "you" ですね。相手の意向を汲もうとする態度の表れと言えます。
なお、「~しても構いませんか?」と許可を求める場合の丁寧な言い方も一つご紹介しておきます。
これもまた相手の意向を確認する表現です。
いかがだったでしょうか。
文法の理解も大切ですが、知って覚えておくだけでとても役に立つ構文やフレーズもたくさんあります。
頭の中で文法を組み立てながら話すことは確かに重要な力かもしれません。
一方、役立つ構文や使えるフレーズを口から勝手に出てくるようになるくらいまで覚えておきさえすれば、考えずとも言葉を発することができるようになる、ということもあります。
覚えておいてそのまま使う、これもまた言語習得には必要なことです。今回ご紹介した例文をぜひ覚えて使ってみてください。
19回に渡ってお届けしてきた当シリーズが、読者の皆様の英語基礎力向上のお役に立てれば嬉しいです。