スッキリ!空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方①【 in / on / at / for / by 編 】

空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方

日本人にとって苦手とされる前置詞

なんだかたくさんの用法があったり、1つの前置詞に対していくつも意味があったりして、悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、突然ですが、下記の3つの文を見てみましょう。

①のときの “at” は「で」だから “at”=「で」と覚えても、②では同じ “at” が使われているのに「に」という日本語に…。さらに③の文だと「で」は “in” だし、もう何がなんだか分からない。

さすがに最近ではこのようにして前置詞を日本語の対訳で覚えていくような学習法は見直され、多くの書籍やネット情報などを見ても、「前置詞は日本語に置き換えてはいけない」という考え方が広がっています。

今回は、この「前置詞を日本語に置き換えずに理解すること」に改めて焦点を当て、前置詞【in / on / at / for / by】の基本的な考え方からネイティブもよく使う面白い表現までをご紹介したいと思います。

空間的にとらえ、意味の広がりを楽しむ

意味の広がりを楽しむ

前置詞を理解するために大切なことは、前置詞の持つイメージを、まるで3D映像でも見ているかのように空間的にとらえることです。

そして前置詞(副詞として使われる場合も多くあります)を「日本語に置き換えずに理解する」というのは、この空間的イメージをしっかりと理解することです。

空間的イメージを理解することができたら、あとはその意味や解釈の広がりを楽しみながら、そして納得しながら学んでいくことができます。

ちなみに、前置詞が中心に抱えている空間的イメージのことを「コアイメージ」とも言います。この言葉は最近よく聞かれるようになっているので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

"core"(コア)「核」のことで、その単語の中心にある共通の意味のこと。いずれにしても中心にあるイメージが大切だということですね。

ではここから、いろいろな前置詞の空間的イメージを具体的に見ていきましょう。

in 「入れ物の中に何かが入っている」

何かが入っている

“in” の空間的イメージは、「入れ物の中に何かが入っている」です。

「入れ物の中に何かが入っている」イメージを持ちながら、例文を見てみましょう。
※なお、本記事中の例文には一部副詞として働くものも含みますが、イメージは同じです。

上記は「家」という入れ物の中にいる状態ですね。このイメージを中心として表現の幅が広がっていきます。

「家」ほど分かり易い入れ物ではありませんが、「東京」という空間の中にいると考えます。

空間に包まれているような解釈から、次のような言い方もできます。

「シャツ」に体が包み込まれているイメージですね。

ここまでは物理的な『場所』に関連していますが、目に見えない『時間』『感情』『言語』などにも応用されます。

「1998年」、「愛」、「英語」はいずれも目に見えるものではありませんが、それぞれを『時間』、『感情』、『言語』という入れ物に見立てているわけです。

『職業』『所属(分野)』などを表すこともあります。

これは「コンピューター工学という世界の中にいる」という意味で「コンピューター工学の分野で働いている/に属している」ということを表します。

では次の会話の意味はいかがでしょうか。

A:「この夏はキャンプに行きたいね。どう思う?」

との問いかけに対してBさんは “I’m in!”、Cさんも “I’m in too!” と答えています。このときの “in” は「キャンプという計画」やその「参加者仲間」に「自分も入る」という意味で、

B:「乗った!楽しくなりそうだね!」
C:「そうだな!僕も行くよ!」

という具合に、参加することの意思を表示していることになります。友人と計画を立てたり、誰かに誘われたりしたときにとてもよく使われる表現ですので、ぜひ使ってみてください。

『場所』をはじめいろいろな用法が挙げられる “in” ですが、いずれも「入れ物の中に何かが入っている」イメージで理解することができましたでしょうか。

on 「接触(くっついている)」

くっついている

上記画像のように「(面に)くっついている」イメージで “on” の例文を見てみましょう。

「ノート」と「机」はくっついていますね。同様に、クモは天井にくっついていますね。壁にいるときも同じです。

バスの例も、乗客である自分とバスはくっついている状態が表れていますね。

(ちなみに、“in the bus” も不可能ではありませんが、一般的にバスや電車などの大型で公共性の高い乗り物に乗ることは “on” を用いて表現します。逆に車やタクシーなどの小型で私的性質の高い乗り物に乗る場合にはふつう “in” を用います。)

“on” の用法も『場所』だけに留まりません。

これはカレンダーを思い浮かべた時に、その日(日曜日や元日)に「会う」、「集まる」といったイベントがくっついているイメージで、『曜日』『日付』に用いられているケースです。

他にも様々な文脈で “on” は用いられます。

これは「お米にくっついて生きている」、つまり「日本人はお米とくっつくほど密接な関係にある」という意味です。

「題目」にまさに密着した内容の「レポート」を書いたという意味です。レポートや論文の専門性の高さを感じさせます。

「映画の内容」と「事実」が密接に関係していますね。

“count on~”「~に頼る」という意味の表現としても知られていますが、「離れられないくらいの頼もしさ」を感じられれば、どうして “on” なのか理解できますね。

では最後に次の会話はどのような意味でしょうか。

「しまった。財布を持ってくるのを忘れてしまった」と言うAさんに対して、Bさんは「心配ないよ」と述べ、続いて “It’s on me.” と加えています。

実はこれは「お金の支払いが僕にくっついている」、つまり「僕がおごるよ」という意味です。これも日常会話で頻繁に使われる表現です。面白いですね。

はじめて “on” を学習したとき、「~の上に」という日本語訳で覚えた方も多くいらっしゃると思います。でもそれはほとんどの文脈では通用しない日本語だと実感されたのではないでしょうか。

その問題も、「接触(くっついている)」ことをイメージできればすっきりと解決することができますね。

at 「地点」

地点

“in” がある一定の広がりある空間の中を表すのに対して、“at” は「点としての地点」のようにとらえます。

「ピンポイント感」「まさにそこ」のように、具体的で限定的なイメージです。早速例文を見ていきましょう。

まさにピンポイントで「ドアのところ」を指しています。

視線が「私」にピンポイントで突き刺さっている様子がうかがえます。

では “in” や “on” と比較して次の3つの文を見てください。

Aの船は「湖という空間の中にある」つまり「沈んで」います。Bのボートは「湖に接している」つまり「浮かんで」います。Cの男性は「湖のところにいる」つまり「湖畔に」いることが連想されます。このように状況に応じて使い分けることができます。

“at” もその他の前置詞と同様に、物理的な『場所』を指す以外にも用いられます。

時計の針が「午後2時のところ」をピンポイントで指すイメージや、彼女を「初めて見たまさにそのとき」のイメージで、『時間』を表します。

「まさに数学において得意だ」というように、得意の『対象』を表しています。

「まさにその知らせに驚かされた」ということで、驚いた『原因』を表しています。

“at” の持つ「地点」のイメージから「ピンポイント感」や「まさにそこ」という状態を感じていただけましたでしょうか。

for 「何かに向かっている」

何かに向かっている

日本語では「~のために」と訳されることが多い “for” ですが、この空間的イメージは「何かに向かっている」つまり「方向」です。記号で表すと「→」という感じですね。

ではいくつか例を挙げてみます。

この “for” は出発地点から見て「東京『方向』に向かっている」、つまり『目的地』を表しています。

これは「視線をある方向に向ける」、つまり「探し物の『対象』」を表しています。

これは「感謝の気持ちの向く先」というところからその『対象』や気持ちの『原因』を表しています。

これは「大阪に住み始めてから現在に向かって2年間」というところから『期間』を表しています。

これは「買ったプレゼントがメアリーの方へ向かっている」ところから『相手』を表しています。

このように “for” にも様々な解釈があります。これらは一見するとまったく別の用法であるかのように見えますが、その根っこには「方向の→」の考え方があることが分かりますね。

では次の文で使われている “for” はどのような意味でしょうか?

「彼らの提案」に対して “for” か、それとも “against”(反対)か、と聞いているのですが、「彼らの提案」に「向かっている」のは、その人の意見や考えが前向きな状態にあるということで、この “for” は「賛成」であることを意味しています。

by 「近接している」

近接している

今回の最後は “by” についてです。

“by” は「近接している」ということで、すぐそばにあるというイメージです。

このように物理的な『場所』として「すぐそば」を表すことができます。

「~の近く」という意味で “near” という単語がありますが、“by” の方が「海が臨めるくらい」の近さや近接した様子を表します。

“by” の持つ「近接」のイメージは、「対象に拠りかかる」のような意味を生み、次のような使い方もできます。

東京へ行くための『手段』として「飛行に拠りかかった」わけです。

このような『動作主』を表す “by” を、受動態の学習の際に覚えられた方も多いと思います。これも、「近接」というイメージを当てはめると、「本を書く行為」の傍らに「有名な小説家がいた」ことが連想できますね。

さらに “by” は『時間』にも用いることができます。

「正午という時間の近く」ということで、「その時間までに」という意味になります。

このような『締め切り』を表す “by” も考え方は同じです。

なお、「~まで」という「継続」を表す “till”“until” と使い方を間違えてしまうことがよくありますので注意してください。“by” が「ある時点までに」という点的な時間を表すのに対して、“till” や “until” は「ある動作や状態がそのときまで続く」という線的な時間の継続を表します。

「滞在」という行為が明日の夜まで継続されます。これを「私は明日の晩までにここにいます」としては不自然ですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

これまで「前置詞は意味が多すぎて覚えきれない」と悩んでこられた方もいらっしゃるかもしれません。

でもそれは、あくまで日本語の問題でしかありません。

安易な日本語訳だけではカバーしきれないことまでしっかりと理解し、よりネイティブらしい英語の感覚を磨くためには、無数にある前置詞の日本語訳を暗記するのではなく、空間的イメージをまずは押さえて、そこから解釈を広げていくという発想でとらえることが大切だと感じていただければ幸いです。

「なるほど!」と気持ちよく前置詞と接することができるよう、ぜひその発想を生かしてみてくださいね。

今後また別の前置詞もご紹介していきたいと思います。