直訳禁止!空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方②【 to / with / of / around / about 編 】

日本人にとって苦手とされる前置詞

たくさんの用法があったり、1つの前置詞に対していくつも意味があったりして、悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最近では前置詞を日本語の対訳で覚えていくような学習法は見直され、多くの書籍やネット情報などを見ても、「前置詞は日本語に置き換えてはいけない」という考え方が広がっています。

前回の【in / on / at / for / by 編】に引き続き、今回も「前置詞を日本語に置き換えずに理解すること」に焦点を当て、いくつかの前置詞をご紹介します。

本記事では前置詞【to / with / of / around / about】の基本的な考え方からネイティブもよく使う面白い表現までをご紹介したいと思います。

to 「向かい合う」

“to”「何かと何かがお互いに向かい合っている」イメージです。

日本語訳が「~に」とか「~へ」になることが多いことから、“to” も “for” のように「方向」を表すと思っている方も多いと思います。

しかし、“to” は「向かい合う」イメージですから、「方向」以上に『到達』を感じさせます。

例文を見てみましょう。

どちらの例文も、「私は昨日7時半に学校へ行きました」という同じ日本語訳をあてることができます。

ところがその意味は異なります。

前者は「7時半に学校と向かい合った」、つまり「7時半に到着した」ことを表しています。

後者は「7時半に学校という方向へ向かった」つまり「7時半に出発した」ことを表しています。

前置詞の空間的イメージの違いが解釈に大きな影響を与えていることが分かりますね。

なお前者については、出発時間が7時半であると解釈することもないではありません。ただ、一般的な傾向としては7時半に到着したと解釈することが多いです。

では、「向かい合う」イメージで様々な例文を確認していきましょう。

「文書」が「私」と「向かい合った」、つまり「受け取った」ことが分かります。

貸すことによって、「教科書」と「あなた」が「向かい合う」、これもつまり「受け取る」ことになります。

なお、“to” の持つ「向き合う」イメージは『到達』の意味を生むため、“to” は “send”(送る)や “lend”(貸す)のように、到達点(受け取り相手)がなければ成立しない動詞との相性が良い傾向にあります。

到着点を必要とする動詞には他に "give"(与える)、 "teach"(教える)、 "show"(見せる)、 "tell"(伝える)、 "hand"(手渡す)などがあります。

これらは、相手がいなければ与えたり教えたりすることはできませんね。

逆に、受け取り相手を意識しつつも、到達点を必ずしも必要としなくても成立する動詞は “for” との相性が良い傾向にあります。

このタイプの動詞には “buy”(買ってあげる)、 “make”(作ってあげる)、 “get”(手に入れてあげる)、 “cook”(料理してあげる)などがあります。

これらは、相手がいなくても買ったり作ったりすることができますね。

さらに "to" の例文を見ていきましょう。

「カギ」と「カギ穴」は向かい合いますね。

「数学の問題」と「答え」は互いに相対する関係にあります。

「左」という方向に向かい合います。

「9時45分」は “quarter”(15分間)の隔たりを挟んで「10時」と向かい合っています。

「音楽」と “taste”(好み)が向かい合っていないということで、自分の趣味ではないことを表しています。

様々な意味解釈に戸惑われることもあるかもしれませんが、その根っこにある「向かい合う」イメージを大切に、まさに “to” と向かい合ってみてください。

with 「ともにある」

「~と一緒に」という意味でよく知られている “with” ですが、これは「何かと何かがともにある」イメージです。

のように、まさに「一緒にいる」状態を表す例が分かり易いですね。

文字通り「私」は「タカシ」と「ともにある(いる)」わけです。

この「ともにある」が応用されると、『所有』、『道具・手段』、『付帯状況』、『感情』などのいろいろな用法や解釈が生まれてきます。

例文で確認していきましょう。

今は「お金」が「私」とともにない、ということで「持ち合わせがない」、つまり『所有』を表しています。

「金髪」とともにある「女の子」ということで、「金髪を持った女の子」つまりこれも『所有』を表しています。

「手紙」を書いたときに「この青いペン」とともにあった、ということで書いた『道具・手段』を表しています。

「喋る」という行為が「口にものを入れた状態」とともにある、つまり「口にものを入れたまま喋る」という状況を表しています。

このように、ある行為や状態に対して別の動作や状態が伴っている状況を『付帯状況』と言います。

「ファン」が「喜び」とともに盛り上がったという意味で、『感情』を表しています。
(※“erupt”「爆発する」転じて「盛り上がる」

では次のような文の意味を推測できるでしょうか?

これは「私」と「宿題」がともにある、つまり「宿題を抱えている」状況を手伝ってほしいと言っているのですね。

次の文はいかがでしょうか?

これは「何かおかしいこと」が「エンジン」とともにある、つまり「調子が悪い」とか「壊れている」様子を表しています。

「~と一緒に」という訳し方だけでは対応できなかった “with” も「ともにある」イメージで理解していただくことができましたでしょうか。

of 「取り出し」

数ある前置詞の中でも “of” は最も難易度が高いと言えるかもしれません。

「~の」という日本語にあたると思われがちですが、やはりこれについても、安易な日本語訳だけではうまく理解しきれないものです。

では “of” をどのようにとらえれば良いかというと、「何かから取り出される」イメージです。これは、物理的に何かを取り出したり外したりすることを必ずしも意味するわけではありません。

早速例文を見ていきましょう。

「私」は「プロジェクトチーム」から取り出すことのできる一人です。

「彼」は「3人」の中から取り出すことのできる一人です。

数ある都市のうち、「東京」を首都として「日本」から取り出しています。

さて、「取り出す」というとどうしても「出ていく」イメージが強調されがちですが、一方で “of” には「取り出しのもと」も十分に意識されていることを付け加えておきます。

たとえば “I am a member of the project team.” は、「私」をプロジェクトから取り出しているイメージではありますが、チームから文字通り出ていくとか、メンバーから外されてしまっているというわけではありません。取り出しのもとであるチームにきちんと所属しています。

ですから、上記のような例では、「一方向的に出ていく」というわけではなく、あくまで『所属』とか『一部』を表していることになります。

では、さらに “of” の用例を見ていきましょう。

“be made of~”「~でできている」と覚えておられる方も多いかと思います。

これは『材料』を表しますが、「取り出し」の考え方で、「材料となる木から取り出されて机が生まれた」と考えれば納得できますね。

ちなみに、こうした解釈から、一般に “be made of~” を用いるときの「材料」は、見てわかるものだと言われます。机が木でできていることは見たら分かる、という具合です。

このタイプの文章では、どうして “It is ~ for you to・・・” のように “for” を使わないのだろうと疑問に思われたことのある方も多いのではないでしょうか。

“of” を用いるのは、「親切心」は「あなた」から取り出されたもの、つまり「親切心はあなたのもの」=「あなたは親切だ」という考え方だからです。

参考書で学習されている方は、「『人の性質』を表す形容詞の場合には “of” を用いる」といった説明を目にしたことがあるかと思いますが、これでその理由が分かりますね。

これを “for” にしてしまうと、「あなたに対して親切である」となってしまい、意味がおかしくなってしまいます。

以下についても、やはり「取り出し」の考え方を当てはめてみてください。

「曲」のおかげで、「母国」の思い出が取り出されてくるイメージです。

「癌」から「祖父」に死がもたらされたのです。

「勇気」から取り出された人、まさにそこから生まれたように「勇気ある人」という解釈です。

「取り出し」のイメージを持つ “of” は、取り出された結果「離れる」意味でも用いられることがあります。

男に女性が襲われた結果、「財布が離れてしまった」のです。

治療された結果、「病気が離れていった」のです。

これらは『離脱』の用法とされています。

幅広く難しい印象の “of” ですが、「取り出し」のイメージを大切にその意味解釈を想像してあげてください。

around 「周辺をぐるっと回る」

「~の周りに」という訳語が表すように、 “around” には「周辺をぐるっと回る」といったイメージがあります。

「首」の周りに「スカーフ」がぐるっと巻き付くイメージですね。

これも「火」を中心にみんなでその周りを囲っている様子です。

この「周辺」イメージから「おおよそ」とか「だいたい」という意味にも使われます。

さらに、「回ったところ」を表すこともあります。

これを比喩的に用いた次のような文も面白いです。

では次の文はどのような意味でしょうか?

直訳すると「そのスーパーマーケットは時計の周りで開いています」のようになり意味がよく分かりませんが、これはつまり「時計がぐるっと回る時間」=「24時間」を表しています。

about 「周辺に漠然とある」

“about” のイメージは “around” ととてもよく似ています。

違いを説明すれば、同じ「周辺」のイメージでも、 “around” は「円をぐるっと描く」イメージ、 “about”は「その辺りに漠然とある」イメージです。

漠然とした印象があるため、「約」とか「だいたい」の意味でよく用いられます。

これについては、 “around” を用いた場合と意味的にほとんど違いはありません。「周辺」(“about”)「周囲」(“around”)かというとらえ方の違いがあるだけです。

適当に街を歩き回ってみる感じです。

これについても、“around” を用いて “Let’s walk around the city.”(街を歩き回ってみよう)と言っても同じような意味を表しますが、 “about” を用いた方がより目的意識のない適当な散策ぶりを感じさせられます。

他に “about” は「周辺」のイメージから「~について」という意味でもよく知られています。

「新しい曲」を中心に、それにまつわることがら(周辺情報など)について話す、といった解釈です。

気をつけたいのは、この場合にも “around” を使うことができるかというと、実はそうではないということです。

ここで “around” を使うと、その話題の周りを回るということで、実際には話がその話題の中心に届いておらず、「肝心な話を避ける」とか、「遠回しに話す」、「回りくどい」といった意味になってしまいます。

似た意味だからと言って、安易に前置詞を入れ替えてはいけないということですね。

ちなみに、 “talk on~” という言い方もできますのでついでながらご紹介します。“on”「接触」のイメージでしたね。

「接触」は「密接な関係」の意味に結びつくため、 “talk on~” は “about” よりも「専門性が高い」とか「内容が深い」、といったニュアンスで使われます。

最後に、 “about” を使って慣用的によく用いられる便利な表現をいくつかご紹介します。

How about~?

「~はどう?」

What about~?

「~はどうなる/するの?」

be about to~

「まさに~するところ」

That’s about it.

「だいたいそんなところです」

「以上です」のように話の終わりに言ったり、相手の発言を受けて「まあそんな感じだね」といったニュアンスで言ったりします。“about” の生むあまりはっきりしない感覚が生きています。

“That’s it.” のように “about” を使わなければ、「その通りです」とか「まさにそれです」、「はい終わりです」のように非常にストレートではっきりとした空気が生まれます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回もそれぞれの前置詞の持つ「空間的イメージ」を実感しながら英語と触れ合っていただけていれば幸いです。

安易な日本語訳だけではカバーしきれないことまでしっかりと理解し、よりネイティブらしい英語の感覚を磨くためには、無数にある前置詞の日本語訳を暗記するのではなく、空間的イメージをまずは押さえて、そこから解釈を広げていくという発想でとらえることが大切だと感じていただければ幸いです。

「なるほど!」と気持ちよく前置詞と接することができるよう、ぜひその発想を生かしてみてくださいね。

今後もその他の前置詞をご紹介していきたいと思います。

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