英語コミュニケーションに前置詞は必須! 空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方④【 along / beyond / above / below / against 編 】

日本人にとって苦手とされる前置詞

たくさんの用法があったり、1つの前置詞に対していくつも意味があったりして、悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最近では前置詞を日本語の対訳で覚えていくような学習法は見直され、多くの書籍やネット情報などを見ても、「前置詞は日本語に置き換えてはいけない」という考え方が広がっています。

本記事では前置詞【along / beyond / above / below / against】の基本的な考え方からネイティブもよく使う面白い表現までをご紹介したいと思います。

これまでいろいろな前置詞についてお伝えしてきた『空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方』シリーズも今回で一旦最終回となります。最後まで前置詞の「空間的イメージ」を楽しんで「なるほど!」と思っていただければ嬉しいです。

※なお、本記事中の例文には一部副詞としてはたらくものも含みますが、イメージは同じです。

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“along”
「何かに沿って」

“along”「何かに沿っていく」イメージです。

このように何か(特に長いもの)に沿った「移動・動き」を表すことを基本とします。

このように何かに沿ったところにある「(~の途中の)位置」を表すこともできます。

「川」や「道」などの物理的なものだけでなく、「方針」や「方向」などの抽象的なことがらに「沿い従う」の意味でも用いられます。

さらに、「何かに沿う」ということは、それと「並行した移動」や、「すぐそばに寄り添った位置関係」を表すということで、そのイメージから「一緒に」とか「仲違いしない」という解釈を生むこともあります。

“get along well with~”「~とうまくやる」という意味の熟語として覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

“along” の持つ「並行した移動」の意識から、これは共に手を取り合う愛情意識や結束力のようなものを感じさせます。

“along” の最後に、次の表現をご紹介しておきます。

これは時間に沿って「妊娠の状態が進行している」ことを表しています。
 

“beyond”
「何かを超えて向こう側に」

“beyond”「何かを飛び超えて向こう側に行く」イメージです。

「向こう側にある」という意味では以前にご紹介した “across” や “over” に似ていると思われるかもしれませんが、 “beyond” の方がより遠い意識を感じさせます。

実際、 “beyond” を辞書で引いてみると、名詞 “the beyond”「あの世」とか「来世」「はるかかなた」といった意味が載っています。

分かり易いのは、「場所」や「数」に関する使い方です。

こうした「超える」イメージは時間にも用いられ、「~を過ぎて」という意味を表します。

さらに、次のように「能力」や「理解」、「期待」といった、より抽象的な事柄に対しても「その範囲を超える」という意味で用いられます。

“beyond me” は「私を超えたところ」つまり「自分の理解(能力)が及ばない」ことを表しています。

“beyond our expectation” は「我々の予想(期待)を超えたところ」つまり「期待以上だった」ことを表しています。

このような「範囲を超える」という意味での “beyond” を用いた表現には他にもたくさんあります。

“beyond the reach of~”「~の手の届かないところにある(~に及ばない)」を表すフレーズもあります。

いずれにしても、「何かを超える」イメージをしっかりと感じ取ることができますね。
 

“above”
「ある場所よりも高いところに」

“above”「ある場所よりも高いところにある」イメージです。

“above” は “over” と同様に「上に」という日本語訳が当てられるため、その区別がややこしくなってしまいがちです。 “over” が「弧を描く」イメージだったのに対して、 “above” は 「高い位置にある」という具合に、その「位置の高さ」のイメージが重要です。

また “on” も「上に」と訳されがちですが、これは「接触(くっついている)」ことを表します。これと違って “above” は「接触していない」ということも合わせて知っておいてください。

2つ目の例文では “over” を用いることもできます。そうすると「飛行機は雲の上に弧を描くように飛んだ」という具合に、その動きに焦点が当たります。 “above” の場合は「雲よりも高い位置を飛んだ」というその位置関係が注目されます。

先ほどの “beyond” のように、「数」に対しても用いることができます。

そして、「その範囲を超える」という意味でも、 “beyond” と同じような使い方をすることがあります。

「数学の問題が頭よりも高い位置にある」つまり「頭(理解力)の及ばないところにある」という意味です。

他に、「立場が上であること」も表すことができます。

「高い位置」のニュアンスがあるからこそ、上下関係を表すこともできるのですね。
 

“below”
「ある場所よりも低いところに」

“below” は “above” の反対で、「ある場所よりも低いところにある」イメージです。

太陽が水平線よりも低い位置にあることを表しています。

“above” のように「数」に対して用いることもできます。

気温が0度よりも下方向に10度下がったところにあることを表しています。

さらに、 “above” が「能力や理解が及ばないこと」を表すことができたのと逆に、 “below” は「能力が十分であり不相応であること」を表すことができます。

次のように「地位や立場の低さ」を表すこともできます。これもまた “above” の逆の使い方です。

なお、 “under” との違いが分かりづらいかと思いますが、 “under” が “over” と対になり、「(覆われた)下にあること」、派生的に「状況下」や「支配下」などを表すのに対して、 “below” は「位置や数の低さ」、派生的には「(地位などの)価値的な低さ(上下関係)」を表します。
 

“against”
「対抗」

“against”「何かと何かがぶつかって対抗している」ようなイメージです。

このように何かと何かがぶつかり合ったり、逆らったりしているような例が分かり易いかと思います。

こうした「対抗」のイメージから、「反対」の意味で用いることもよくあります。

という具合です。

次の例は以前に “for” を取り上げたときのものと同じですが、 “against” だけで「反対」を表すケースです。

「対抗」や「反対」など、どこか力任せで乱暴な印象を抱いてしまいやすいかもしれませんが、常に両サイドからの力が互いにぶつかり合うような力任せなイメージばかりしか生まないわけではありません。

「ドアと身体」、「壁と自転車」、「風と背中」は確かに互いにぶつかり合う力ですが、これらは単なる「よりかかり」「接触」を表しているだけで、力任せなイメージではありませんね。

これは地上から見たときに、星の後ろに空があり、両者が対抗しているように見えるという解釈から、「背景」を表しています。こんなお洒落な使い方もできるんですね。

最後に、 “against” を使った慣用表現に “save money against a rainy day” というのがあります。

直訳すると「雨の日に対抗してお金を貯める」ですが、これはつまり「万が一のときのためにお金を貯えておく」という「備え」の意味で使われているものです。

とても英語らしくて面白いと思います。
 

まとめ

いかがだったでしょうか。

『空間イメージで掴む前置詞の意味と使い方』シリーズでは計20個の前置詞をご紹介してきました。

前置詞(を含む意味のまとまり)は、文法的にはいわゆる5文型の要素(主語、述語動詞、目的語、補語)からは除外されるのが普通であるため、「文の飾り」とか「あってもなくても良いもの」のように軽視されることがあります。

確かに英語の構造的には前置詞のまとまりはあってもなくても一応の英文は出来上がります。でも生きたコミュニケーションでは、構造の上に「意味を重ねて伝えること」が大切です。

そして前置詞は、これまでたくさんの英文で見てきたように、本当に数えきれないほど多くの意味を伝えることのできる、構造の上に意味を重ねるための重要な素材です。

前置詞のまとまりを一切使うことなく相手に言いたいことの全てを伝えたり、相手を完全に理解したりすることは、英語でコミュニケーションを図る上ではほとんど不可能と言ってもいいでしょう。

だからこそ、軽視されがちな前置詞としっかりと向き合い、前置詞は難しいという印象を払拭して、正しく理解し、使いこなせるようになることが大切です。

そのために、今回のシリーズで繰り返してきた「前置詞は日本語ではなく空間的イメージを掴むところが本当の理解のスタート地点」だというメッセージを「なるほど!」と実感していただければ、そしてそんな姿勢で、これからの英語学習と訓練に生かしていただければ幸いです。
 

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