Hiroe H
(更新)
英語学習者で「still」の意味や使い方がいまいちよく分からない、という人は少なくないと思います。
特に英語中級者くらいになると、still には「まだ」という意味以外にもいろいろな意味があることを知り、さらに使い方に頭を悩ます人も多いですよね。
今日は、still の意味と使い方を品詞ごとに分けて詳しく解説していきたいと思います。
また still を使ったイディオムも紹介しますので、ぜひここで still を完全マスターしちゃいましょう!
では早速、still の意味と使い方を例文と一緒に解説していきます。
みなさんがもっとも馴染みのあるのは「まだ」の意味を持つ副詞の still だと思います。
この still は、同じ状態や動作が思ったより長く続いているときに使います。
「彼女はまだあなたのことを怒っているわよ」
「私はまだ卒論に取り組んでいます」
「あなたのお父さんはまだ政府で働いているの?」
それぞれの例文中の動作や状態は、話し手が予期していたより長くかかっているため still が使われているというわけです。
前項では「まだ」の意味を持つ副詞の still を紹介しましたが、副詞の still にはもう1つ意味があります。
比較級の文で使われる still は、比較級を強めて「なおいっそう・もっと・さらに」という意味になります。
この still は even に置き換えて表現することもできます。
「あなたの成績は私のよりもっと良いじゃない!」
「弟は私よりさらに背が高いよ」
次に接続詞的な使い方ができる still を見てみましょう。
この still は正確には副詞なのですが「それでも・それにもかかわらず」という接続詞的用法の意味を持っています。
前述の内容とは対照的なことを言うときに使われます。口語的な英語表現なので、通常あまり文語では使いません。
「彼はもうすぐ80歳になるが、(それにもかかわらず)フルマラソンを走る」
「週末はずっと大雨だったが、(それにもかかわらず)コテージでの時間を楽しんだ」
「その家は築150年だが、(それにもかかわらず)たくさんの趣があった」
文の前半は後半とは対照的な内容で、この2つを「それでも・それにもかかわらず」という意味を持つ still でつなぐのが接続詞的用法になります。
still は形容詞としても使われ、「静かな・じっとした・風のない・穏やかな」などの意味があります。
still の語源は「動かない」なので、なんとなく理解できますよね。
「寡黙な男(静かな犬)と静かな水には気をつけなさい」
これは英語のことわざで、still water は流れの早くない静かな水のことを意味します。silent は still の同義語となります。
ちなみにこのことわざは「物静かな男性に見えても急に人が変わったり、穏やかな川も増水などで流れが急になったりするので気をつけて」という意味です。
人、犬、水だけに限らず、静かで穏やかに見えるものでも急に変わることがある、ということですね。
「彼は数分でさえもじっと座っていられない!」
to sit still は「じっと(動かないで)座る・静かに(動かないで)座る」という意味です。
「彼女は日本で有名な静物画の画家です」
still life は「静物」という意味です。静物画は静止した(動かない)ものを対象に描かれるので still が使われているわけです。
実は、名詞の still もあるのをご存知でしたか?
名詞の still は、「静けさ・静寂」という意味です。少し詩的な英語表現なので、日常会話で使うときは、silence や stillness などの同義語の方がよく使われます。
「夜の静けさの中で、雨音が聞こえた」
「彼女の大きな声が、部屋の静けさを打ち破った」
「夜の不気味な静けさの中で、満月がとても綺麗だった」
ここまで still の意味を品詞ごとに紹介してきましたが、最後に still を使ったイディオムをいくつか紹介したいと思います。
still and all は「それでもやはり」という意味で、nevertheless や nonetheless が同義語です。
「あなたがスミス先生を嫌いなのは知っているよ。それでもやはり、先生として彼を敬うべきだ」
still less は「ましてや〜でない・もちろん〜でない」という意味です。still less は否定文の中で使われ、少しかたい言い方になります。
「彼から説明も何もないのに、謝罪なんてもちろんないよ」
still more は「なおさら・まして(〜は当然だ)」という意味です。still more は still less とは逆で、肯定文の中で使われます。こちらも少しかたい言い方です。
「彼女のコメントはみんなを逆なでしたが、彼女の嘘泣きはなおさらだった」
今日は still の意味と使い方、そして still を使ったイディオムを紹介しましたが、いかがでしたか?
「まだ」の意味の still しか知らなかった方にとって、「静寂」の意味の still は驚きの発見だったかもしれませんね。
still には副詞、形容詞、名詞があり、意味は大まかに分けても5通りに訳すことができました。また still を使ったイディオムも入れると、さらにたくさんの意味になりますね。
ここで解説した still の意味やイディオムをしっかり覚えて、ぜひ still を完全マスターしてみてください!
そして「まだ」以外の still を会話の中でどんどん使って、語彙力の差を見せつけちゃいましょう!