US / USA / America はどう使い分ける? アメリカを意味する英語表現の違いと使い分け
日本人にとって最も身近な国の一つ、アメリカ。
ほとんどの方が、アルファベットで “America” と書いたり読んだりできることでしょう。
しかし、改めて考えてみると “US” や “USA” など「アメリカ」を意味するいろいろな表現があることに気付きます。それらの違いや使い分けはどうなっているのでしょう? また英語で「アメリカ合衆国」は、何というのでしょうか。
当記事では「アメリカ」を表す様々な英語表現についてご紹介していきます!
「アメリカ」は英語で?

the United States of America
「アメリカ」の正式名称は、日本語では「アメリカ合衆国」ですね。英語では “the United States of America” といいます。
この英語表記を文字通りに理解すると、「合衆国」というより「合州国」になります。“state” は「州」を指すからです。
U.S.A / USA
“United States of America” の頭文字を取った呼び方が “U.S.A.” または “USA” です。
「彼女はアメリカ生まれです」
U.S. / US
他に、“U.S." または "US" という呼び方もありますね。発音は「ユーエス」です。
こちらは “United States” だけの頭文字です。“America” の文字は入っていませんが、“the United States” だけでも「アメリカ」の意味になります。
「アメリカに3年住んでいました」
the States
さらには、“the States” だけでも「アメリカ」を指します。
「彼女は来月アメリカに帰ります」
使い分けの注意点

使われる頻度
このように、英語で「アメリカ」というにはいくつもの言い方がありますが、使われる頻度は異なります。最もよく耳にするのが “the States”、 “the United States”、 “the US” あたりでしょうか。
“the United States of America” は、スピーチなどで正式名称を強調して述べる必要があるとき以外はあまり使われません。私たちが普段、「中華人民共和国」ではなく「中国」というのと同じですね。
そして、意外にも「アメリカ」を “America” と呼ぶことはほぼありません。こちらについて詳しくは後述します。
US と USA の違い
“U.S./US” は名詞としても形容詞としても使えますが、“U.S.A/USA” は名詞にしかならないことに注意しましょう。
「それはアメリカ経済のためにならないでしょう」
「それはアメリカの経済のためにならないでしょう」
ピリオドの有無
“USA” も “US” も、省略語であることを示すピリオド(.)は「入っていても入っていなくても構わない」とされています。
“America”ってどこ?

『God Bless America(ゴッド・ブレス・アメリカ)』は、アメリカのスポーツイベントなどで歌われる愛国歌です。
また、ドナルド・トランプ大統領の2016年における選挙スローガンは『Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国に)』というフレーズでした。トランプ支持者たちが被っていた赤いベースボールキャップに書かれた “MAGA” のロゴは、そのフレーズの頭文字です。
このように、“America” は確かに「アメリカ合衆国」を指しますが、実のところ、普段の英会話では「アメリカ」を “America” と呼ぶことはあまりありません。
“America” という呼び名は、「アメリカ大陸(American continents)」の意味で捉えられることが多いからです。アメリカ大陸の国々をまとめ、“the Americas” と複数形表記されることもあります。
北米・南米・中米
“North America” といえば「北アメリカ/北米」という意味になります。すなわち、カナダとアメリカです。“South America” なら「南アメリカ/南米」の意味になります。
南米にはたくさんの国がありますね。そのほとんどの国は英語圏ではなく、スペイン語やポルトガル語を公用語としている国々です。スペイン語、ポルトガル語といったラテン語に近い言語を使っているアメリカ諸国を “Latin America(ラテンアメリカ)” とも呼びます。
なお、「中央アメリカ/中米」は “Central America” です。「中南米」なら “Central and South America” になります。
「アメリカ人」は何ていう?

英語で「アメリカ」と言う際に、“America” とはあまり言わないと上述しましたが、反面、「アメリカ人」と言いたいときはもっぱら、“American” が使われます。
「私はアメリカ人ではありませんよ」
「パリに住むアメリカ人」
さて、ひと言で「アメリカ人」といっても人種も文化も多様なのはご存知の通りです。
日本語で「○○系アメリカ人」というように、背景まで表現しようとする場合は形容詞を組み合わせます。
- 【例】
- ・African American
「アフリカ系アメリカ人」・Chinese / Korean American
「中国/韓国系アメリカ人」・Irish American
「アイルランド系アメリカ人」・Italian American
「イタリア系アメリカ人」・Native American
「アメリカ先住民」・Scandinavian American
「北欧系アメリカ人」
同様に、「日系人」なら “Japanese American” になります。では、「日系二世、三世」はどのように表現されると思いますか?
実は、英語でもそのまま “nisei(二世)”、 “sansei(三世)” と呼ばれます。日本から移民した世代(一世)は “issei” です。
また、「家系」を意味する “descent” を使って “German descent(ドイツ人の家系=ドイツ系)” のような表現もよく使われますし、中南米にルーツを持つアメリカ人は “Latino” とも呼ばれます。スペイン語の文法ルールに従い、男性なら “Latino”、女性なら “Latina” と区別があります。
まとめ
英語で「アメリカ」を表すには、いろいろな表記方法と注意事項がありましたね。
これからは、文脈によって「アメリカ」がどのような言葉で表現されているかに注意してみるとよいでしょう。
「アメリカ」が必ずしも “America” ではなかったように、英語で表記するとなると、思いがけない呼び方や表記になる国や地名は非常に多くあります。現に、私たちの国は「日本」とは全く異なる “Japan” という名前で呼ばれていますよね。
このように、世界の国や地名の英語表記をチェックしてみると大変面白い発見があると思いますよ!