DMM英会話ブログ編集部
(更新)
こんにちは。イギリス在住ライター、ボッティング大田朋子です。
高校時代に習った「仮定法過去完了」。
現実とは違うことを話すのが「仮定法」、過去の話を仮定して使うときの形が「仮定法過去完了」でしたよね。そこで出てきた「Would've / Could've / Should've+過去分詞」を必死に覚えた人も多いのではないでしょうか。
「仮定法過去完了」なんて言い方からして難しく、試験のためだけの英語だろうなと私は思っていましたが、実際は日常生活で本当によく使われる表現なんです。
そこで今日はWould've / Could've / Should'veの使い方を一緒にマスターしていきましょう!
「仮定法」は事実ではないことを仮定するときに使います(仮定している事実は現在にあります)。そして「仮定法過去完了」は、過去の事実と反対のことを述べる表現です(過去にある事実を仮定して述べます)。
「仮定法過去完了」の基本のかたちは
意味は「もし~だったら、~しただろう、~できたのに、~すべきだったのに」となります。
「形は過去完了形」ながら、語っているのは【過去のこと】です。仮定法を理解する初歩としては、何が事実で、何を仮定しているのかをおさえることが大切です。
If節ではないほうの文に入る助動詞(would, could, should)によって、言いたいことのニュアンスが変わります。基本の意味として
を使います。
詳しく見ていきましょう。
【参考】
意味「(もしあの時~だったら)~したであろう」
「街にいたなら、あなたの誕生日パーティーにいったのに…」
「街にいなかったから、誕生日パーティーに行かなかった」
Bは【事実】を述べている文章です。Aはその【過去の事実】に対して「もし街にいたならパーティーに行ったのに」という過去の事実とは反対のことを仮定して述べています。願望が入っていますね。
「もっと一生懸命勉強したなら、彼は試験に合格していただろうに…」
「彼は一生懸命勉強しなかったから、試験に合格しなかった」
Bは(事実)を述べ、Aは勉強しなかった【過去の事実】を振り返って「もっと勉強していたら~」と過去の事実とは反対のことを仮定して語っています。後悔の気持ちが見え隠れしますね。
「彼らがベジタリアンだって知っていたなら、サラダを作ったのに」
「実際は彼らがベジタリアンだと知らなかった。だからサラダを作らなかった」
Bは(事実)、Aは「ベジタリアンだとは知らなかった」という【過去の事実】に対して「もし知っていたら~」と過去の事実と反対のことを仮定して語っています。
今度は【過去の事実】を踏まえて仮定法過去完了を作ってみましょう!
過去の事実は…
それでは、仮定法過去完了を使って過去の事実とは反対のことを述べたいときには?
↓↓
「教えてくれていたら、そうしたのに」
だんだんつかんできましたね。
意味「~すべきだった/~すればよかったのに(実際はしなかった)」
過去を振り返って「~すればよかったけれど(実際はしなかった)」と自戒・反省したり、自分の経験をもとに誰かに助言をするときなどに使われます。
ダイエットなんて考えずにもっとチョコレートを買っておけばよかった! なんてときにはこう言いたいかもしれません。
「チョコレートをもっと買っておくべきだったわ」
一方であまりにも美味しくて食べ過ぎてしまったときは、こう言いたくなるかもしれません。
「あんなにも食べるべきじゃなかったわ」
今日雨が降るわよと母親が言ってくれていたのを無視し、傘を持っていなかったためにずぶ濡れになった。そんなときは、こんな風に後悔してしまいますよね。
「母親の忠告を聞いておくべきだったよ」
過去への後悔を表す「should have+ 動詞の過去分詞」は、別れた恋人の話をするときにも大活躍します。例えば、男性が友達に元カノの話をしています。もっと気持ちを打ち明けるべきだったのに、あの晩彼女に会いにいくべきだったのに…なんて自戒を込めて振り返っている場面がこちらです。
「思っていたことを彼女に伝えるべきだったのに…」
「あんなこと彼女に言うべきでなかったのに…」
「あの夜話し合いのために彼女に会いに行くべきだったのに…」
極めつけに、ビートルズの曲には、こんなタイトルのものもあります。
「わかっていたはずなのに!」
このように友達から元カノへの思いを聞かされたら、次のように声をかけてあげましょう。
「今言っていることを全部、してあげるべきだったのに…!」
というわけで、過去の振り返りには「should have+ 動詞の過去分詞」が大活躍です。
一方で、should には「すべき(義務)」の他に「~のはずだ」という推量の意味もあります。推量の意味で「should have+ 動詞の過去分詞」を使うときには、「~したはずだ」と動作や行為が完了していることを推測します。
「彼女はもう日本に到着しているはずだ」
意味「一定の条件が整えば~できたのに(実際はしなかった)」
「一定の条件が整えば~でありえたのに(実際はそうではなかった)」
過去の時点でその可能性や能力はあったからやろうと思えばできたけど、そうしなかったことを語るときに使われます。
「もっと早くから勉強していれば、試験でもっといい点が取れたのに」
【過去の事実】と、【何を仮定しているか】をしっかりおさえましょう。【過去の事実】は「早くから勉強しなかった。だから試験でいい点が取れなかった」ことですね。
<例文>
「アメリカに住んでいたときに英語を学べたのに(実際はアメリカに住んでいたにも関わらず英語を学ばなかった)」
「話してくれればよかったのに(実際は話をしなかった)」
「私は泣きたかった/泣きだしそうだった(が実際は泣かなかった)」
Canには「推測」の意味もありましたよね。Canが【能力や可能性】か【推測】かは、どのように見分ければいいのでしょうか。
これは「彼は寝過ごすこともできたのに(そうしなかった)」とも「彼は寝過ごしてしまったに違いない」とも訳せます。どちらで訳すべきか迷いますが、実際は前後の文脈で簡単に判断できます。 具体的に見ていきましょう。
【可能性】
「彼は今朝は寝過ごすこともできたのに、仕事を終わらせたかったから寝過ごさなかった」
【推測】
「ジェームスはどうしたんだ? 彼はまだ到着していないのか? 寝過ごしてしまったに違いない」
仮定法過去完了は、「実際にはしなかった」過去の事実を語っている点をおさえておきましょう。実地でよく使う表現はパターンが決まっているので、たくさんの例文に触れてある程度暗記するのがよさそうです。
ネイティブは短縮して使うことが多いです。確かにそのほうが使いやすいのですが、発音が難しいですよね。
「君が昨日パーティーに来ていなくて残念だったよ。君がいたならもっと楽しかったのに」
「ほんとうに!わたしも行きたかった。週末にあったなら参加することができたんだけど…。平日だと夜に外出するのが難しいのよね」
「でも、わたしの妹とは会ったかしら? 彼女も参加していたのよ」
「本当に? 君の妹も来ていたの? 教えてくれていたらよかったのに」
「君の妹がそこにいたって知っていたのなら彼女と話をしたのに…。君の妹と会ったら素晴らしかっただろうなあ」
「仮定法過去完了」なんていうとややこしく感じますが、たくさんの例文に触れてニュアンスをつかめば自然と口から出てきそうです。マスターすれば気持ちを表現できる幅がぐっと広がりますよね。
could've/should’ve /would’veといった短縮形がよく使われるので、短縮形の発音もしっかりマスターしたいところです。
わたしが仮定法過去完了をモノにできたと思った瞬間は、イギリス人の友達に向かって “I couldn’t have said it better myself.” と言ったときでした。「まったくその通り!/うまい言い方ですね」といった意味ですが、今にして思うと、ネイティブに向かってそんなことを言うなんて、度胸があったなあと思います(笑)。
【難しい英文法もおまかせ!】