西東 たまき
(更新)
「世界中が涙した名作」「首がちぎれるくらいうなずく」などなど、冷静に考えるとありえない表現ってありますよね。大げさな言い方をすることで強い印象を与える表現技法です。
日本語では「誇張法」、英語では hyperbole(ハイパーボリ)といいます。
Hyperboleをうまく取り入れると単に意味を強調させるだけでなく、ユーモアを感じさせ、生き生きとした表現効果も生み出すことができます。
今回は英語のhyperboleの効果や使い方のポイントなどについてご案内していきます。英語ならではのhyperboleの例もたくさん挙げていきますよ!
Hyperboleとは先に述べた通り、日本語では「誇張法」と呼ばれているものです。大げさな言い方(exaggeration)をすることで相手に強く印象付ける表現テクニックです。
例えば、「You're killing me」という英語フレーズを文字通りに解釈すれば「あなたは私を殺す」になりますね。でも、普段の会話で使われるときの意味は「もう無理、耐えられない、いい加減にして」といった感じです。
「殺す」というのはあくまで比喩的な表現であって、文字通りの意味で使っているのではありません。単なる言い回しに過ぎないことは相手にも伝わっています。
次のような例も同様です。本当に「光の速度」だったり、本気で死を考えて言っているわけではありません。
ちなみに、hyperboleの形容詞形で hyperbolic という言葉もあります。「誇張した、誇張法を使った」という意味です。
「何回も聞いたよ」と言いたいとき、文字通り英語にすれば「I've heard it so many times」になるでしょう。でも、次のようにhyperboleを使った表現にするとニュアンスが強まりますよね。
Hyperboleは大げさな言い方で意味を強調するのが目的です。けれども、実際に有り得るような程度の誇張ではhyperboleの効果は出ません。
明らかに誇張であると分かるくらい大胆な例えでなければならず、単なる exaggeration(誇張)と hyperbole(誇張法)の違いはこの「程度」の違いにあります。
例えば下記の例を見てみましょう。
同じ映画を20回観るくらいの映画好きな人は実際にいる可能性があります。これでは効果的にhyperboleが使えているとは言えません。
また、hyperboleを使う状況についても考える必要があります。正確性や真面目さが求められる場面では不正確で不真面目な誇張表現は場違いになることがあります。
Hyperboleの効果をちゃんと発揮させるには、使う状況やタイミングを見極めることがポイントです。
ここからは、英語でよく使われるhyperboleのパターンを見てみましょう。「100万年に1人の逸材(You are one in a million)」など、誇張の仕方が日本語とよく似ている
ので、納得のいく例ばかりだと思いますよ。
●never(決して〜ない)や 最上級の形容詞など、極まった表現を使うのはよくあるパターンです。
●death(死)や forever(永遠)などの究極的な言葉もよく使われます。
●イメージを喚起する典型的な比喩を使った表現もよく出て来ます。
物ごとを誇張して表現するテクニックhyperboleの使い方のコツや使う楽しさが伝わったでしょうか?
Hyperboleを取り入れた会話や文章はユーモラスなイメージが膨らむので、聞く方も言う方も楽しくなる表現です。
普段、英語を使うときは基本に沿った表現をしがちだと思いますが、ときにはこんなテクニックも取り入れて楽しんでみてはいかがでしょう。
英語での誇張表現は日本語の表現と共通するものが多かった点も面白く思いませんでしたか?