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英文でよく見かけるイタリック体とは?主な用法を解説

英文でよく見かけるイタリック体とは?主な用法を解説

イタリック体という書体を知っていますか? 

斜めに傾いていて、筆記体に似せたように見えるアルファベットの書体のことです。英文の中にときどき、一部の言葉だけがわざわざイタリック体にされて混じっていることがあります。

これは、ちゃんとそうする意味があってのことです。

今回は、「イタリック体という書体にはどんな意味があり、どのようなときに使われるのか?」についてご案内していきます!

イタリック体とは?

レトロな万年筆の画像

イタリック(italic)という書体は、イタリア(Italy)に由来しています。筆記体に似せて右斜めに傾いたこのフォントが15世紀のイタリアで最初に考案されたためです。

パソコンや携帯電話のキーボードでイタリック体を入力したいときは、フォントメニューで「I」のボタンを選択すると文字がイタリック体に変換されます。

あるいは、「Ctrlボタン+キーボードのI」のショートカットを使うこともできます。ボタンの「I」とは Italic の頭文字であり、日本語では「斜体」と表示されています。

斜体とイタリック体

では、斜体とイタリック体は同じものなのでしょうか? 

確かに、パソコン・携帯電話などのキーボードでは「イタリック体=斜体」になっています。しかし厳密には、本来のイタリック体は単に文字を斜めにしただけのフォントではありません。

実際、多くの印刷物に見られるイタリック体は、斜体かつ筆記体に似せたデザインが施されています。

ちなみに、「フォント」のボタンには I(イタリック体)に並んで B と U がありますが、これらはそれぞれ Bold(太字)、Underline(アンダーライン)を意味する頭文字から来ています。

イタリック体にする意味

さて、文章の一部をわざわざイタリック体に変えるその目的は「強調」です。日本語だと強調するときは太字にしたり、傍点が打たれたりすることがありますね。英文では、イタリック体が使われます。

アルファベットの文章がぎっしりと並ぶなかにあっても、そこにイタリック体が混じっていると思いのほか目立つものです。強調したい部分だけを抜き出してイタリック体にします。単語一つだけのこともあれば、文が丸ごとイタリック体になる場合もあります。

ところで、文字を強調したいときはイタリック体に限らず、アンダーラインや太字という方法もありますよね。タイプライターのように一部の文字だけをイタリック体にするということができなかったり、手書きするときのようにイタリック(斜体)にしても見分けが付きにくいときはアンダーラインなどが利用されました。

作成する文章のタイプにもよるものの、イタリック体が選べるときはイタリック体を使うことが推奨されます。

英語には、「イタリック体にする」を一言で表す italicize という動詞もありますよ。

This word should be italicized.
「この言葉はイタリック体にした方がよいね」

イタリック体の使い方

さまざまな本

それでは、どんな場面でイタリック体が使われるのかを見てみましょう。

作品のタイトル

本、映画、番組、作品などのタイトル、新聞社名などはイタリック体で書きます。

  • Top Gun: Maverick(トップガン マーヴェリック)
  • Black Panther: Wakanda Forever(ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー)
  • The Ellen DeGeneres Show(エレンの部屋)
  • The Fifty-Three Stations of the Tōkaidō(東海道五十三次)

文章の中では、その部分だけをイタリック体で表記します。

Pride and Prejudice is a novel by Jane Austen.
「『高慢と偏見』はジェーン・オースティンの小説です」
The Yellow Handkerchief is a remake of a Japanese movie. 
「『イエロー・ハンカチーフ』は、日本の映画のリメイク版です」
He is an editor at The New York Times.
「彼は『ニューヨークタイムズ』で編集者として働いています」

英文のなかに外国語を交える場合

英文のなかに外国語を挿入する場合もイタリックで表記します。

ただし、もはやとりたてて説明するまでもないくらい海外でも広く知られているような外国語なら、わざわざイタリックにはしません。まだあまり認知されておらず、引っ掛かりを感じる読者が多そうな外国語を使うようなときにイタリック体が使われます。

In the room stood a byōbu folding screen.
「部屋には屏風が立っていた」
It was a grammatical cul de sac.
「それは文法的な行き詰まりだった」
※これはフランス語で「行き止まり」を意味する単語です。

乗り物の名前

乗り物の名前はイタリック体で書きます。

  • the Mary Ann(マリーアン号)
  • the crew of the Sea Unicorn(シー・ユニコーン号の乗組員)

書き手が強調したい箇所

書き手が伝えたい意図を明確にするためにもイタリックが使われます。強調したい部分は文章中の単語一つだけの場合もあれば、セリフ全体を強調する必要がある場合もあるでしょう。強調したいところだけをイタリックにします。

Do you want it?
あなたが(これを)欲しいの?」
If she is recovered.
「もし、彼女が回復しているならばね」
I didn’t think he was the one.
「私は、それが彼だとは思わなかったのだ」
But why now?
「でも、なぜなの?」
Don’t you ever do that again, Johnny!
「もう決してそんなことはしないでちょうだい、ジョニー!」

さらに、セリフや文章全体がイタリック体で、そのなかで強調したい単語がある場合、その箇所は通常の文字に戻ります。

But no one understood. She was the one they were looking for.
「しかし、誰も理解してくれなかった。彼らが探していたのは彼女だったのに」

まとめ

文章を書くときは、読み手に意図を伝えやすくするための様々なテクニックがあります。

今回ご紹介したイタリック体の使用も、そんな手段の一つです。

普段使いの日本語では、斜体/イタリック体はあまり使うことがありませんね。でも、英語の印刷物を注意深く見るようにすると、ときどき使われていることに気付くと思いますよ。

ぜひイタリック体をご自身の文章にも取り入れてみてくださいね。