西東 たまき
(更新)
「英語が必要な仕事」と聞くだけで、自分には難しそうだと諦めてしまう人は少なくないかもしれませんね。
しかし、英語が必要な仕事=バイリンガル並みである必要はまったくありません!
仕事で求められる英語にも「レベル」があります。初級レベルの英語でもできる仕事があるということです。英語が必要な仕事を選択肢に入れることができれば求める仕事の幅は広がりますし、何より、英語が必要な仕事は概して報酬も高いということもご存じでしょう。
今回は、どの程度の英語力でどんな仕事ができるのかについて、ご案内していきます!
ところで2022年、日本人の英語力は英語を母国語としない111か国・地域のうち第80位のランキング結果となったことをご存じですか?
国際教育事業の会社「EFエデュケーション・ファースト」による「EF EPI(English Proficiency Index)英語能力指数」調査の結果です。
日本では英語学習熱は昔から高いにもかかわらず、実際は世界のなかで英語能力が「低い(Low Proficiency)」グループのなかのさらに下部の方にいるのが現実となっています。
調査への参加国数が年々増えていることも一因とはいえ、初回調査の2011年以来、ランクは明確に下がる一方となっているのもショックな結果ですね。
しかしそれは、日本では英語が「少し話せる」だけでどれほど高い価値が付くかを示しているとも言えます。
実は、英語が必要な仕事といっても求められる英語のレベルはさまざまです。必ずしも「ペラペラ」である必要はなく、「ちょっとした会話ができる」程度の初級レベルでも活躍できる職場は存在します。足掛かりに簡単なものから始め、経験を積みながらステップアップして夢を叶えていくことは現実的なコースです。
では、どんなレベルの英語で、どんな仕事ができるのか。レベル別の仕事のイメージを見てみましょう!
初級レベルの英語力では、主に観光業、レストランやホテル勤務、貿易関連の事務、製造業・ものづくりなどの職業に就くことができます。
仕事例:
英語を使うといってもパターン通りの業務が多いのであれば、それを覚えてしまえば仕事をこなすことができます。
基本的な対応手順が決まっていたり、とっさの対応でもマニュアルが存在するような業務は初級レベルの英語でも対応可能です。また、コミュニケーションのレベルも「失礼がなく、通じればよい」程度の業務もたくさんあります。
文章によるやりとりが必要な仕事でもテンプレートを使った対応で済むもの、人への対応でも資料を用いた定型のフレーズで成り立つ業務があります。
パターン化されていたりテンプレートを応用するだけの仕事でも、続けるうちに英語スキルは身についていきます。それらを活かして中級レベルの仕事に繋げることが可能です。
中級レベルの英語ができると、海外営業、外資系企業、国際協力分野、IT分野、バイヤーなどの職業に就きやすくなります。
仕事例:
文章を自分で作成でき文章を読み解く能力もあって、意思の疎通が自力で行える中級レベル以上の英語力があると、主体的なやりとりが必要な職業に就くことができます。そのため、中級レベルでは仕事の選択肢はグンと広がります。
しかし、それでもまだバイリンガルレベルの英語力である必要はありません。日本では、英語の読み書きはできても「聞く・話す」ことが苦手という人が多いですが、「聞く・話す」は「読む・書く」ほど重視されない職場は多いです。
どんな仕事でもその分野ならではの語彙というのがあります。これは日本語で仕事をするときも同じ。その仕事に就いて初めて身についていくものですね。
専門的な仕事を英語で行うのは難しそうに思うかもしれません。でも実はこういった専門用語や英語以前の専門知識が共通するので思いのほか理解が容易だったり、専門用語さえ覚えてしまえば使われる英語自体は案外シンプルなんて実際もあります。
また、契約書などの難しそうな文書でもパターンが決まっているものは多く、いずれポイントがわかってきます。
一見難しそうな仕事も「慣れれば大丈夫」という点が結構あるため、「やってみた者勝ち」は事実です。
さすがに通訳や翻訳の仕事を専門にするには、ネイティブに匹敵するくらいのレベルで英語を使えることが期待されます。
しかしそれでも、通訳であればリスニング・スピーキングに重点が置かれますし、翻訳であればリーディング・ライティングがより重要となるなど、「読み・書き・話す・聞く」の能力がすべて同等である必要はありません。得意分野を生かして仕事をすることができます。
また、通訳・翻訳にはさまざまな分野があるため、これもまた専門用語や専門知識でカバーできる範囲は少なくありません。
一方、「読み・書き・話す・聞く」のすべての能力において長けている必要があるのが外交官や入国審査官などの専門職です。さまざまな国籍の人が使う英語を正確に理解しなければなりませんし、自分が使う英語表現に対しても大きな責任が発生します。
読み書きの文書は定型表現も少なくないものの、格調ある文章に馴染める必要があるなど、他の職種に比べ難易度は高くなります。
文頭で触れた国別英語力調査結果を見るまでもなく、日本では英語を理解する人がまだまだ少ないうえ、そのレベルも決して高いとは言えません。そのため、ほんの少しの英語力が非常に重宝される有利な環境と言えます。
「英語を使って仕事をする」というと尻込みしてしまう人も多いかもしれませんが、実際は、本文でお伝えしたように幅広いレベルの英語でできる仕事が存在します。
英語を使った仕事を一度やってみることで、その経験をもとにステップアップを目指せます。
まずは、「ちょっとの努力から始められる英語の仕事」に挑戦してみませんか?