「マトリックス」の実際の意味は?映画タイトルに使われている英単語を解説
映画やドラマのタイトルとして覚えている「英単語」ってありませんか?
タイトルとしては知っているけれど、タイトルとしての認識しかなく、言葉の実際の意味を知らないというケースは意外と多いかと思います。
今回は、「マトリックス」をはじめ、「インセプション」や「マレフィセント」など、映画やTVシリーズのタイトルに使われている英単語の意味を解説していきます!
映画編
The Matrix|マトリックス
キアヌ・リーヴス主演の「マトリックス」を知らない人はいないでしょう!
マトリックスという言葉には「母体・基盤」という意味があります。詳しく説明すると、何かが成長または発展するためのシステムを提供する一連の条件です。
そして実は、matrix という単語は「子宮」を意味するラテン語に由来します。Mother(母)を意味する単語とも深い関わりがあるそう。
Matrix や mother を含め、この語源を持つ単語は複数ありますが、すべて何かを「包むもの、起源を与えるもの」という概念からきているようです。
代数学の分野では、マトリックスとは「行列」を意味します。特定の数学的問題を解くために使用できる長方形に配置された数字や他の記号のグループのことです。
ここで一つ注意点があり、カタカナでは「マトリックス」と発音しますが、英語読みにすると「メイトリックス」になります。外国の人と話す際は発音にも気をつけましょう!
【予告編】
Parasite|パラサイト
続きまして、2019年に大ヒットした韓国映画「パラサイト」。
邦題は「パラサイト 半地下の家族」ですが、これはパラサイトという言葉の実際の意味へのヒントにはなっていませんね。この単語は、「寄生虫」を意味します!
そして「寄生虫」とは一体なんでしょう? 寄生虫は他の動物や植物の上や中に住み、その動物や植物から食物を得る小さな動物や植物のことです。
そして英語では、軽蔑的な表現として、「人」に対して用いることもできます。意味は実際の寄生虫の行動を連想させていて、「いつも人に頼ったり恩恵を受けたりして、何も返さない人」を指すのです。
映画を観た方であれば、なぜパラサイトというタイトルなのかがこれでわかりますね。
【予告編】
Interstellar|インターステラー
次は、2014年に公開されたクリストファー・ノーラン監督のSF映画です。
舞台は、居住不可能な状態になりつつある地球。そんななか、NASAの優秀な物理学者であるブランド教授は、地球の人口を新しい故郷に移動させ、人類を救う計画を進めています。
しかし、その前にブランドは、元NASAのパイロットであるクーパーと研究者チームを宇宙に送り込み、銀河系を横断して、3つの惑星のうちどれが人類の新しい故郷となりうるかを探さなければならないのです。
映画のほとんどが宇宙のなかという設定ですが、「インターステラー」はそんな設定に最適なタイトル!
この単語は、星と星の間、または星の間に位置することを意味する言葉。要するに「星間」や「星の中」です! Inter- という接頭辞は「間」という意味で、stella はラテン語で「星」という意味を持ちます。
【予告編】
Inception|インセプション
2010年に公開されたアクション・SF映画「インセプション」。またもやクリストファー・ノーラン監督の作品です。
内容が難しく、何度も見返した人もいるのではないでしょうか。「内容が難しい」というのは世界中でネタになっているほど。
例えばアメリカの人気アニメ「Rick and Morty」でも、モーティーが「インセプションの内容・物語、理解できたよ」と言うとリックが「理解できたフリはしなくていいよ」とからかいます。
そんな難易度が高い映画ですが、「インセプション」という言葉の意味を考えたことはありますか?
この単語は、「始まり」や「起端」という意味です! Inception は名詞ですが、incept となると「始める」という意味の動詞になります。
【予告編】
Maleficent|マレフィセント
「Sleeping Beauty(眠れる森の美女)」の悪役・マレフィセント。アンジェリーナ・ジョリーが演じる悪役を主役としたディズニー映画が大ヒットしましたね!
言葉の響きからしてなにか「悪いこと」や「悪(あく)」を表している感じがしますが、一体どんな意味なのでしょう?
マレフィセントとは、害を与えたり生み出すこと、または悪意を持って行動することを指す言葉です。
Mal- という接頭辞は「悪い」という意味。そして -ficent は「作る」ことや「(何かを)する」ことを示すため、maleficent は「悪い(何かを)作り出す」という意味になります!
この接頭辞は他にも、malady(病気)や malnutrition(栄養失調)、malice(悪意)などの単語にも使われていますね。
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Malignant|マリグナント
Mal-関連で、次は「マリグナント 狂暴な悪夢」という映画タイトルを見てみましょう。
これは「SAW」や「Insidious」、「The Conjuring」などのホラー映画を手掛けたジェームズ・ワン監督の作品で、2021年に公開されました。
若い女性マディソンは、見知らぬ人たちが殺害される幻影を何度も見始め、のちに被害者を探し出し、救うことを決意するという物語です。
そしてこの映画のタイトルに使われている単語 malignant は、「悪性」という意味。重い病気とあわせて用いることが多く、例えば malignant malaria(悪性マラリア)や malignant tumor(悪性腫瘍)などのように見かけることが多いです。
一方で、人や人の行動に対して使うこともできます。A malignant influence といえば、「悪意のある影響」を指し、a malignant force といえば「悪意のある力」という意味になります。
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Dune|デューン
2021年にリリースされた「デューン 砂の惑星」は、1965年に発表されたフランク・ハーバートの小説を2部構成で映画化したもので、主に前半部分を収録しています。家族と民族の未来を守るために宇宙でもっとも危険な惑星に旅立つ青年の物語です。
そして映画を観た方からすると、このネーミングも最適だということがわかるでしょう。
デューンというのは、海辺や砂漠で、風によって積み上げられた緩い砂の山、尾根、丘のことです。日本語では「砂丘」と訳します。
【予告編】
Tenet|テネット
またもやクリストファー・ノーラン監督のヒット映画。
第3次世界大戦の勃発を阻止するため、たったひとつの言葉「テネット」を武器に送り込まれたCIAエージェントが、任務を成功させるために時間を飛び越え、自然の法則を曲げなければならないという語です。
そして映画のなかでも登場するテネットという単語は、「原則」や「信念」、「信条」などを意味します。特に宗教や哲学の主要な原則の1つを表すことが多いです。
さらに、tenet という単語は「palindrome(パリンドローム)」という、上から読んでも下から読んでも同じになる言葉の一種です。日本語ではこれを「回文」と言います。このコンセプトは映画の重要ポイントでもあるのです!
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Twilight|トワイライト
2008年に初公開された「トワイライト」はアメリカで大ヒットしました。
父親と暮らすために、薄暗い町・ワシントン州フォークスに引っ越してきたベラ・スワンは、エドワード・カレンという不思議な少年に出会います。のちに彼女は、彼が実はヴァンパイア(吸血鬼)であることを知るのです。
5つの映画を通してベラとエドワードの複雑な関係を描いた作品。そんな題名に使われている単語「トワイライト」の実際の意味はなんでしょう?
Twilight には「夕暮れ」や「黄昏(たそがれ)」、「薄明(はくめい)」などの意味合いがあります。この題名は、昼でも夜でもない時間帯で、吸血鬼と人間の両方が暮らせる唯一の時間であることに由来しているという説がありますよ。
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TVシリーズ編
Euphoria|ユーフォリア
続きまして、TVシリーズにも「一言」のタイトルがたくさんあります。
最初にご紹介するのはゼンデイヤ主演の高校ドラマ「ユーフォリア」。ドラッグやメンタルヘルス、お金、SNSなどをテーマとした現代の問題を抱えた若者たちがそれぞれのアイデンティティーを探すという物語です。
そして euphoria とは、激しい幸福感や興奮を指す単語。「多幸感」や「幸福感」と訳すことができます。
このタイトルは、ドラマの主人公ルーがドラッグの使用によって経験する一時的な安らぎと多幸感に直接関係しています。
【予告編】
Fleabag|フリーバッグ
「Fleabag」というタイトルを聞いたことはありますか? これは2016年から放送されているイギリスのコメディードラマで、ロンドンに暮らす若い女性主人公「フリーバッグ」の生活を描いています。
そんなフリーバッグは性に奔放で、皮肉屋で下品で、そのうえ盗み癖があります。家族とは関係が悪く、経営しているカフェもうまくいかず、銀行からの融資も断られます。そんな彼女の人生や問題アリな行動を描いた作品です。
そこで気になるのが、彼女のあだ名にもなっている Fleabag という言葉の意味。これはイギリスのスラングで「汚い、だらしのない、または不快な人や動物」という意味を持つ単語です! ちなみにアメリカ英語では、汚らしい古いホテルを表すこともあります。
このドラマの主人公にはぴったりなネーミングですね!
【予告編】
Heartstopper|ハートストッパー
次は世界で話題中の「ハートストッパー」! 原作はコミックで、2022年にNetflixでシリーズ化された作品です。
このシリーズでは、イギリスの高校に通うチャーリーとニックの恋愛物語が描かれています。コミックタッチの入ったビジュアルが可愛く、内容も展開も演技も明るく、心温まるシリーズです。
そして題名の heartstopper とは、基本的には「衝撃的でスリリングな出来事」を意味する言葉。「心臓が止まってしまうほど衝撃的」というニュアンスを持ち、恋愛をしているときの「胸のときめき」を表したネーミングになっています。
オリジナルの音楽(BGM)にも鼓動のような音が含まれていて、ドキドキ感を増すような効果音が使われています!
【予告編】
Daredevil|デアデビル
「デアデビル」は、マーベルの大ヒットコミックを原作とするNetflixのシリーズ。2015年に始まり、3シーズンにわたって放送されました。
幼くして視力を失ったマット・マードック。昼は弁護士、夜はスーパーヒーロー「デアデビル」として、ニューヨークの一角で悪との孤独な戦いを続けるという物語です。
そしてこのタイトルに使われている単語 daredevil とは、無謀にも大胆に行動する人のことで、何も恐れず何にでも挑戦する人のこと。「命知らず」ともいえます。
Dare は「挑戦」や「挑む」という意味合いを持った言葉です。例えば、Truth or Dare というフレーズを聞いたことはありますか? これは「真実か挑戦か」という意味で、「真実(Truth)」を話すか、「挑戦(Dare)」することを選ぶかという、英語圏で人気のあるパーティーゲームです。
【予告編】
まとめ
いかがでしたか?
「タイトルとしては知っていたけれど、言葉の意味は知らなかった!」というものもあったかと思います。
ほとんどの場合、タイトルの裏には、その映画やシリーズに当てはまる要素がありますので、このように題名の意味と内容をつなげていくのは面白いですし、いろいろな発見もあるでしょう。
ぜひ他に気になるタイトルがあれば、単語の意味を調べてみてくださいね!