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レゲエの世界で英語はどのように使われている?歴史と専門用語を解説

レゲエの世界で英語はどのように使われている?歴史と専門用語を解説

レゲエはお好きですか?

ジャマイカ発祥のレゲエは、アフリカ、カリブ、アメリカの音楽スタイルから影響を受けており、その文化的な意義は計り知れません。

そんなレゲエ文化には、たくさんの専門用語があります。今回は、レゲエ関連の英語表現を見ていきます!

Roots|ルーツ

レゲエの起源

レゲエは、1960年代初頭にジャマイカで生まれた音楽ジャンルです。このジャンルは、アフリカ、カリブ、アメリカの音楽要素が融合して形成されました。特に、スカやロックステディといったジャマイカの先行する音楽スタイルから発展しました。

レゲエは、社会的なメッセージや感情豊かな歌詞、特徴的なリズム、重低音のベースラインなどが特徴で、社会的抑圧や不平等に対する批判的なアプローチを取っていることが多いです。

この音楽は、ラスタファリアン・カルチャーやジャマイカの歴史的背景から影響を受けていて、その特徴的な響きと意義深い歌詞で世界中の人々を魅了しています。

ラスタファリアン・カルチャー

ラスタファリ運動 (Rastafari) またはラスタファリアニズム (Rastafarianism) は、ジャマイカ発祥の宗教的および社会的な運動です。この運動は、1930年代にジャマイカのマーカス・ガーヴィー(ガーベイ)の教えに基づいて成立しました。これを実践する人々をラスタファリアン (Rastafarian) と呼びます。

ラスタファリアンは、アフリカ系の人々のアイデンティティと誇りを強調し、アフリカ起源の文化や歴史への回帰を促進します。ドレッドロックス (dreadlocks) は彼らの象徴的な外見であり、神聖な存在であるエチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世を信仰しています。

ラスタファリアンの哲学は、レゲエ音楽やその歌詞にも影響を与え、平和、平等、社会的正義への呼びかけが特徴とされています。

Irie|アイリー

Irie words(アイリー・ワーズ)は、レゲエ音楽とカリブ海域の文化における重要な用語の一つです。このフレーズはポジティブな感情や幸福、調和を表すために使用されます。

Irie はジャマイカ・クレオール言語*で、「良い」「平和な」「心地よい」といった意味を持ちます。レゲエの歌詞や会話のなかで、アーティストやファンがこの言葉を使用して、良い状態や気分、良いエネルギーを表現することが一般的です。

*クレオール言語は、複数の言語要素が融合して形成された、通常母語話者の共通言語である混成言語を指します。

この言葉は、レゲエ音楽のメッセージの一部として、ポジティブで楽観的なアプローチを強調するために広く使われています。

以下は、アイリーな雰囲気やポジティブな感情を表現するために使用されるレゲエ特有の言葉の一部です。

One Love|ワン・ラブ

One Love は、レゲエ音楽でよく使われるフレーズで、統一、平和、調和を意味します。この言葉は、人々が争いや差別を超えて一つの愛と団結を持つことを強調するメッセージとして、レゲエの歌詞や文化で頻繁に見られます。

Positive Vibes|ポジティブ・バイブス

Positive Vibes は、ポジティブなエネルギーや雰囲気を指す言葉です。レゲエ音楽や文化では、このフレーズは良い気分や希望、楽観主義を表現するために用いられます。

Jah Bless|ジャー・ブレス

Jah Bless は、レゲエの歌詞や会話でよく見られる表現で、神からの祝福を意味します。Jah はラスタファリアンの信仰する神を指し、このフレーズは神聖な存在からの祝福を願う言葉として使われます。

Dreadlocks|ドレッドロックス

ドレッド

ドレッドロックスは、アフリカ系の文化と宗教的信念を象徴する髪型で、レゲエ音楽とも深い関わりがあります。この髪型は、ラスタファリアン運動の一環として1930年代にジャマイカで発展しました。

この髪型は、ラスタファリアンの信仰やアイデンティティを強調する象徴として、社会的な表現手段として広く受け入れられました。

また、「Natty」といえば、レゲエ文化において自然な髪型(ドレッドロックス)を持つ人を指す俗語で、肯定的な意味で使われることが多いです。Natty は「natural(自然な)」の短縮形であり、髪型だけでなく、ラスタファリアンのライフスタイルやアイデンティティを表現する言葉としても使われます。

Dread talk|ドレッドトーク

「ドレッドトーク」とは、レゲエ音楽やラスタファリアン文化に関連する特有の表現や用語のことを指します。Iyaric (アイヤリック)とも呼ばれます。これらの言葉やフレーズは、しばしば通常の英語とは異なる意味やニュアンスを持ち、特定の文化やコミュニティ内で理解されるものです。

I and I|アイ・アンド・アイ

通常の「us(私たち)」という表現の代わりに、「I and I」というフレーズが使用されます。これはラスタファリアンの哲学に基づく、すべての人々がつながっているという考えを示すもので、個々のアイデンティティと共通の存在を強調しています。

Babylon|バビロン

レゲエの歌詞や会話でよく見られる「Babylon」は、抑圧的な政府、社会制度、権威を指す用語です。これはラスタファリアンの視点から、社会的な不正義や圧迫を象徴する言葉として使われます。

Jah Rastafari|ジャー・ラスタファリ

「Jah Rastafari」は、ラスタファリ運動の中心的な神聖な存在であるハイレ・セラシエ1世を指します。ドレッドトークで使用されるこの言葉は、信仰と尊敬を示すために使われます。

Zion|ザイオン

「Zion」は、ラスタファリ運動において聖地や理想的な場所を指す言葉で、多くのラスタファリアンにとってアフリカ全体を象徴します。彼らはアフリカを神聖な故郷と考え、「Zion」は帰還の象徴として用いられ、社会的な不平等や抑圧からの解放を表現する重要な概念です。

音楽のメロディー

Dub|ダブ

レゲエ音楽における「ダブ」とは、元々はレコードのB面に追加されるバージョンやリミックスを指していましたが、後に音楽制作プロセスやスタイル全般を表す言葉として広まりました。

ダブは、音楽トラックの要素を切り貼りし、エフェクトをかけてリミックスすることで、オリジナルの楽曲に対する新たな解釈や展開を生み出すプロセスを指します。

ダブの特徴は、エコーやリバーブの多用、音の断片やエフェクトを強調することで、サイケデリックな雰囲気を醸し出します。ダブはレゲエの重要な派生ジャンルであり、そのクリエイティブなアプローチは音楽プロデューサーやアーティストによって広く採用されています。

Skank|スカンク

「Skank」は、レゲエ音楽における特有のダンススタイルと同時に、ギターやキーボードなどの楽器の演奏においても重要なリズムパターンを指します。

この用語は、リズミカルなアクセントとダウンビート(小節の最初の1拍)の刻みを特徴とし、レゲエの楽曲に特有のグルーヴとエネルギーをもたらします。

ダンススタイルの「skank」は、軽快なステップや腰の動きを含む特徴的な動きで、レゲエのライブやイベントで観客が楽しむために用いられます。同時に、楽器演奏における「skank」は、レゲエのサウンドを形成し、その特有のリズム感を作り上げます。

社会と政治的なメッセージ

Revolution|革命

多くのレゲエの歌詞やメッセージは、不平等や抑圧的なシステムに対する抵抗としての「革命」を掲げています。これは、平和的な手段や声を上げることを通じて、社会の変革や向上を目指す姿勢を反映しています。

レゲエアーティストは、「革命」を通じて人々に希望を与え、社会的な意識を高める役割を果たし、そのメッセージは世界中で多くの支持を受けています。

Exodus|エクソダス

「Exodus」は、レゲエ音楽の歌詞やテーマによく登場する言葉で、解放や出発を象徴します。この用語は、旧約聖書に登場する「出エジプト記(Exodus)」に由来していて、イスラエル人がエジプトから解放されて自由を手に入れる物語を指しています。

レゲエの歌詞やメッセージでは、この「exodus」が社会的抑圧や不平等からの解放、または良い未来への移行を象徴する重要なテーマとして用いられます。

レゲエとマリファナの関連性

レゲエ音楽と大麻(マリファナ/marijuana)の関連性は、レゲエ文化の社会的なメッセージの一部として注目されてきました。これは複数の要因によるものです。

1. 宗教的背景:レゲエ音楽は、ラスタファリ運動と深く関連しており、ラスタファリアンの信仰において大麻は神聖な植物とされています。彼らは大麻を「ハーブ」として扱い、精神的な経験や精神的な洞察を得るために使用します。

2.社会的メッセージ:大麻の使用は、レゲエ音楽の歌詞やメッセージの一部として社会的なテーマや政治的な抵抗に結びつけられることがあります。多くのアーティストは、大麻の合法化や個人の自由を訴えるために歌詞に取り入れています。

3.カウンターカルチャー:レゲエ音楽は、一部のカウンターカルチャーや反文化運動の一環としても捉えられてきました。大麻はこれらの運動と関連しており、レゲエと大麻の結びつきは、そのカウンターカルチャーの一環として理解されることもあります。

このような要因から、レゲエ音楽と大麻の関連性は、宗教的、社会的、文化的な要素によって形成されているとわかります。レゲエの歌詞やアーティストが大麻を肯定的な要素として取り上げているのは、そのためでしょう。ただし、大麻の法的状況は国や地域によって異なるため、解釈には注意が必要です。当然ですが日本では完全に違法となりますので、誤解のないようにしてください。

ちなみに、ラスタファリアンが使う大麻の呼称の例は以下の通りです:

  1. Herb - ハーブ
  2. Holy Herb - ホーリー・ハーブ
  3. Herb of Life - ハーブ・オブ・ライフ
  4. Ganja - ガンジャ
  5. Mary Jane - メアリー・ジェーン(Marijuanaの「M」と「J」からくる)
  6. Wisdom Weed - ウィズダム・ウィード
  7. Righteous Bush - ライチャス・ブッシュ
  8. Sinsemilla - シンセミア

レゲエ音楽の曲中で耳にすることがあるかもしれませんね。

I-tal|アイタル

「I-tal(アイタル)」は、レゲエ音楽とラスタファリ運動において重要な概念で、栄養価の高い、自然で健康的な食事スタイルを指します。

この言葉は「vital(生命の)」を元にした造語で、ラスタファリアンの宗教的な信念や健康観に基づく食事法です。I-tal食は、非加工、植物ベース、自然な食材を用い、動物性の食品や添加物を避けることを特徴としています。

レゲエ文化の一環として、アーティストや支持者たちはI-talの価値を尊重し、体と精神の健康に配慮する重要性を認識しています。

有名なレゲエアーティスト5選

Bob Marley

レゲエ音楽のアイコンであり、ラスタファリアンの宗教的メッセージを広めたボブ・マーリーは、その歌声と楽曲で世界的に名高い存在です。代表曲に「No Woman, No Cry」や「One Love」などがあります。

Peter Tosh

マーリーと共に「The Wailers」を結成し、後にソロキャリアを築いたピーター・トッシュは、政治的メッセージを込めた歌詞や力強い声で知られています。代表曲に「Legalize It」や「Equal Rights」などがあります。

Jimmy Cliff

ジャマイカ出身のジミー・クリフは、レゲエ音楽の先駆者の一人とされ、映画『ハード・デイズ・ナイト』のサウンドトラックに収められた「Many Rivers to Cross」などの楽曲があります。

Toots and the Maytals

レゲエ音楽のパイオニアとされるバンドで、彼らの「Pressure Drop」や「54-46 Was My Number」などはレゲエの代表曲として知られています。

Gregory Isaacs

「Cool Ruler(クール・ルーラー)」の愛称で知られ、スムーズなヴォーカルと恋愛テーマの楽曲で広く認知されているアーティストです。

レゲエの女性アーティストはいる?

歴史的には、レゲエ業界は男性中心でしたが、女性アーティストも重要な役割を果たしてきました。

1960年代から1970年代にかけて、アーティストとして知られる女性たちが台頭し始めました。Marcia Griffiths(マーシャ・グリフィス)は、その一例で、バックグラウンドシンガーとして「Bob Marley & The Wailers」に参加し、ソロキャリアでも成功を収めました。

1980年代には、女性アーティストが増え、彼女たちは自分の声で社会的なメッセージや恋愛テーマを歌いました。Sister Carol(シスター・キャロル)やSister Nancy(シスター・ナンシー)などがその代表的な例です。

1990年代以降、女性アーティストはますます多様なスタイルとジャンルを取り入れています。Diana KingやCynthia Schlossから現代のJah9やLila Ikéなど、多様な音楽性を持つアーティストが登場しています。

レゲエの女性アーティストは、社会的な問題や愛、自己表現について歌うことが多く、その音楽で幅広い観客に訴えかけています。

レゲエで英語を楽しもう!

レゲエの世界でも英語は多く使われています。もちろん、ラスタファリ語では英語は独自のひねりが加えられていますが、そのつながりは間違いなくわかります。

今度レゲエの曲を聴くときは、ぜひ歌詞に注目してみてください!

今回紹介した用語がたくさん使われていることに気づくでしょう。

いろいろなレゲエに関する表現を知って、さらに音楽を楽しんでくださいね!