アポストロフィと「of」、どう使い分ける?所有格の使い方
今回は、英語で「~の」(所有格)を表現する方法について見ていきます。
所有格 my(私の)、yours(あなたの)、his/hers(彼/彼女の)、ours(私たちの)、yours(あなた方の)、theirs(彼らの)が使える場合は悩むまでもありませんが、その他の場合はどうしますか?
基本的なことなのに意外と考えさせられる「~の」という表現の作り方をおさらいしてみましょう!
英語で「~の」を表す方法
英語で「~の」を表すとき、上記で挙げたような所有格が使えるケースなら簡単です。
- 私の仕事 → my job
- あなたの靴 → your shoes
- 彼/彼女の旧友 → his / her old friend
- 私たちのプラン → our plan
- あなた方の先生 → your teacher
- 彼らの考え → their idea
単に単語を2つ繋げて表現することもできます。
- kitchen window(キッチンの窓)
- school teacher(学校の先生)
- coconut tree(ココナッツの木)
- birthday present(誕生日のプレゼント)
それ以外に「アポストロフィ+s」つまり「’s」を使う方法と、of を使う方法もありますね。
でも、「’s」と of の使い分けはどうなっているのでしょうか。
アポストロフィ+s と of の使い分け基本ルール
使い分けには基本的なルールがあります。
「’s」は人や動物に対して使われます。例えば…
- neighbor’s garden(隣人の庭)
- uncle’s album(伯父のアルバム)
- cat’s name(猫の名前)
そして of はモノに対して使われます。例えば…
- member of the club(クラブのメンバー)
- file of documents(書類のファイル)
- the security of the account(アカウントのセキュリティ)
いつもルール通りとは限らない
しかし、常にルール通りとは限りません。ご存じの通り、言葉には例外がつきものです。必ずしも「人・動物=’s」、「モノ=of」とは限りません。「’s」の代わりに of を使うこともできます。
- my uncle’s house → the house of my uncle(私の伯父の家)
- his dog's name → the name of his dog(彼の犬の名前)
この場合、両者の違いはニュアンスの差です。「's」を使った表現はカジュアルで自然な印象を与えます。そして後者は「's」で済むところをわざわざ of を使っているだけに、あらたまった印象をあえて出そうとしている印象を与えるでしょう。
反対に of を「‘s」を使って言い換えるのは不自然な場合が多いです。
- member of the club → × club’s member(クラブのメンバー)
- file of documents → × document’s file(書類のファイル)
しかし、2つの名詞を単に続けて表現することなら可能です。この場合も of を使った表現の方がフォーマルな響きを持ちます。
- member of the club → 〇 club member(クラブのメンバー)
- file of documents → 〇 document file(書類のファイル)
国や組織に対しても「’s」を使うことができますよ。たとえば、「日本の首相」というときは以下のような表現が可能です。どれも意味は同じですが Japan's とすると「〇〇という国の」という意味がより強調されます。
- Japan’s prime minister(日本の首相)
- the prime minister of Japan(同上)
- Japanese prime minister(同上)
もう少し例を挙げましょう。
- China's consumption(中国の消費)
- America’s legal system(アメリカの法制度)
- the White House's statement(ホワイトハウスの声明)
- the EU's member states(EUの加盟国)
「~の」の表現方法には、さまざまなパターンが存在します。普段から注意してみてください。
- today’s first speaker(今日の最初の演説者)
- this month's report(今月のレポート)
- table of contents(目次)
- New Year's Eve(ニューイヤーズイブ/大晦日)
アポストロフィの使い方ルール
あわせて「アポストロフィ+s」の使い方もおさらいしておきましょう。
① 言葉の後ろに「’s」を付けるだけで「~の」の意味になります。
- Alice's adventure(アリスの冒険)
- president’s term(大統領の任期)
② 語尾のスペルが s で終わっている場合は「’s」でも「’」だけでもどちらでもよいとされています。
- Chris's car(クリスの車)
- Chris’ car(同上)
③ 複数形の s が付いている単語の場合は「’」だけを最後に付けます。
- teachers’ opinion and students’ opinion(先生方の意見と生徒たちの意見)
- doctors’ duty(医者の義務)
④「AとBの~」のように共同の所有を表す場合は A and B’s のようにします。
- Tom and Yvette’s vacation(トムとイヴェットの休暇)
- mother and father's request(父母のリクエスト)
⑤「Aの~とBの~」のように各自の所有を表すときはそれぞれに対して「’s」を付けます。
- Tom’s bag and Yvette’s bag(トムのバッグとイヴェットのバッグ)
- Mother's Day and Father's Day(母の日と父の日)
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適切な使い分けで所有格をマスターしよう!
英語で「~の」を表すにはアポストロフィ+s か of を使っておけば通じるだろうと思いきや、突き詰めてみると、なかなか奥が深いものがありますね。
しかし、同時に、実際に英語を書いたり話したりするとき「アポストロフィ+s にすべきか of にすべきか」で悩んだこともあまりないのではないでしょうか?
少し英語に慣れた人なら、特に意識することなく使い分けているのがほとんどでしょう。音やリズムで何となく使い分けのパターンを感じ取っているからかもしれません。
ご紹介した通り、基本的なルールがある一方で、それとは異なるパターンもよく出てきます。「~の」という表現、これから少し意識してみてくださいね!