英語にサイレントレターはなぜある?主な例をまとめてみた
英語を書いていて、スペルのなかに発音しない音が含まれているのに気付いたことはありませんか?
例えば friend に含まれる I や、receipt に含まれる P の文字。これらの文字は発音しませんね。
文字で書かれているのに発音しない文字をサイレントレター(silent letter)と呼びます。
実は、英語にはサイレントレターを含む単語がたくさんあります。ちょっと考えてみたら、きっといくつもの例が頭に浮かんでくるでしょう。
そこで今回は、英語の「サイレントレター」がなぜ存在するのか、そしてよくある文字の並びと発音規則について見ていきます!
サイレントレターとは?
英語を覚えたてのころ英単語のスペルを覚えるのに、発音しないアルファベットが混じっていて、てこずった思い出がある人は多いのでは?
Wednesday(水曜日)や scissors(ハサミ)を覚えるのに苦労したりしませんでしたか?
英語には発音しないアルファベットが混じった単語が多くあり、初級レベルの単語にもたくさん出てきます。例えば、次のような単語を読むときは、太字になっているアルファベットは発音しません。
- answer(アンサー)
- design(デザイン)
- salmon(サーモン)
- raspberry(ラズベリー)
このようなものがサイレントレター/silent letter ですが、日本語に直訳すると「静かな、無音の文字」です。日本語では「黙字(もくじ)」と言います。
上記の例はどれも子音ですが、サイレントレターになるのは子音だけではありません。母音のサイレントレターもあります。
- juice(ジュース)
- bread(ブレッド)
- Europe(ヨーロッパ)
- guitar(ギター)
さまざまなアルファベットがサイレントレターになるのですが、唯一、サイレントレターになることがないアルファベットが V です。
サイレントレターはなぜある?
なぜ読まない文字が含まれるなんてことが起きたのでしょうか? 理由として以下のようなケースがあります。
- ラテン語、ギリシャ語など、語源となる言語の表記が残っている。
- autumn(秋)
- psychedelic(サイケデリック)
- 元々は発音されたが、時間の経過とともに発音されなくなっていった。
- lamb(ラム、子羊)
- knife(ナイフ)
- 語源の表記に近づけるために、後からサイレントレターを追加した。
- foreign(外国の)
- subtle(かすかな)
- フランス語、イタリア語など、H の発音をしない言語から来た言葉である。
- honest(正直な)
- spaghetti(スパゲッティ)
- フランス語など、語尾の子音を発音しない言語が語源の言葉である。
- debris(デブリ、破片)
- corps(軍団、~隊)
サイレントレターがあると、意味が違うのに発音が同じ単語(同音異義語)の区別がつきやすくなるという作用もありますよ。
- knew(know の過去形)― new(新しい)
- aisle(通路、通路側座席)― isle(島)
- hour(時間)― our(私たちの)
よくある文字の並びと発音規則
文字の並びによってサイレントレターが生じるパターンが明らかなものもありますので、例を挙げてみましょう。たくさんありますが、これらは英語の読み書きに慣れていくうちに自然と身についていきますよ。
単語の最後にある E
- debate(ディベート)
- desire(欲望)
- home(ホーム)
- love(愛)
- name(名前)
- table(テーブル)
ただし、子音しかない次のような単語は母音を発音しないと音にならないので E を発音します。
- he / she(彼/彼女)
- me / we(私/私たち)
- be(ある、いる)
規則動詞の過去形 -ed の E
- booked(予約した)
- cooked(料理した)
- kicked(蹴った)
- played(プレイした)
kn- から始まる単語の K
- knit(ニット)
- kneel(ひざまずく)
- knife(ナイフ)
- knock(ノックする)
- know(知る)
pn- または ps- から始まる単語の P
- pneumonia(肺炎)
- pseudo(擬似)
- psychiatry(精神医学)
- psychology(心理学)
wr- から始まる単語の W
- wreath(リース、花輪)
- write(書く)
- wrist(手首)
- wrinkle(しわ)
- wrong(間違った)
st- の並びがある単語の T
- castle(城)
- fasten(締める)
- glisten(輝く)
- listen(聞く)
-ck- の並びがある単語の C
- black(黒)
- chuckle(含み笑い)
- crack(割れる・割れ目)
- lucky(ラッキー)
- shock(ショック)
-dj- の並びがある単語の D
- adjective(形容詞)
- adjourn(休止する)
- adjust(調整する)
-dg- の並びがある単語の D
- bridge(橋)
- edge(角)
- judge(ジャッジ)
- porridge(ポリッジ、おかゆ)
- pledge(誓約)
- sledge(そり)
-ght- の並びがある単語の GH
- fight(ファイト)
- light(ライト)
- might(〜かもしれない)
- tight(きつい)
- weight(ウェイト、重量)
-mn- の並びがある単語の N
- autumn(秋)
- column(コラム)
- condemn(非難する)
- hymn(讃美歌)
-sc- の並びがある単語の C
- crescent(三日月形)
- descend(降りる)
- muscle(マッスル、筋肉)
- science(サイエンス)
- scene(シーン)
-ld- または -lk- の並びがある単語の L
- could(can の過去形)
- folk(フォーク)
- would(will の過去形)
- yolk(卵の黄身)
語尾が -gn で終わる単語の G
- assign(割り当てる)
- design(デザイン)
- foreign(外国の)
- resign(辞める)
- sign(サイン)
語尾が -que または -gue で終わる単語の UE
- clique(派閥)
- colleague(コリーグ、同僚)
- opaque(不透明)
- unique(ユニークな)
- vague(曖昧)
- vogue(ヴォーグ)
語尾が -mb または -bt で終わる単語の B
- bomb(爆弾)
- comb(コーム)
- debt(借金)
- doubt(疑う)
- lamb(子羊)
- numb(麻痺・無感覚)
- thumb(親指)
語尾が -ically で終わる単語の A
- automatically(自動的に)
- physically(物理的に)
- specifically(具体的に)
こちらは、省略されがちな音ですが、実際に少し発音しても問題ありません。サイレントというよりかは、「柔らかい発音」の方が正しいです。
語尾が -fully で終わる単語の U
- awfully(ひどく)
- carefully(注意深く)
- truthfully(正直に)
上記と同様、これらの単語に出てくる U は省略されがちな音ですが、少し発音をしても間違いではありません。
サイレントレターの不思議を楽しんでみよう!
いかがでしたか?
当記事では、英語に慣れてくるとあまり意識もしなくなるサイレントレターについて、あらためてまとめてみました。
また、豆知識として、スペイン語、フランス語、イタリア語などの「ロマンス語」では、どんな場合も H の発音はしません。
それらの言語話者に hotel という単語を読んでもらうと「オテル」と発音されますし、hana (花、鼻)というローマ字を読んでもらうと「アナ」になりますよ。
英語の学び始めに単語を覚えるときは、サイレントレターに苦労しますが、英語を使っているうちにいつしか自然とルールが身についていきます。
書かれるのに読まれないサイレントレターの不思議を楽しんでみましょう!