Mizuho
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突然ですが、Karen さんという名前を聞いたら、どんなイメージを持ちますか?
日本では、「おしん」などドラマのキャラクターを用いて例えに使ったりすることがありますよね。実は英語では特定の名前に、一定のイメージを持つことがあるんです!
Karen もその一例ですが、どんな人を表すのでしょうか?
今回は、英語圏の名前が持つイメージに関するイディオムやスラングをご紹介します!
Karen という名前についているイメージは、「怒りっぽい中年白人女性」。さらには、「人種差別的で、白人は特権階級であると考えているような人」というイメージも含まれることがあります。
主なイメージは上記の通りですが、もちろんどの性別、人種、年齢でも、権利意識が強かったり、怒りっぽい人であれば Karen と呼ぶことができます。
DMM英会話のオリジナル教材「デイリーニュース」によると、2020年にはネットスラング meme(ミーム)のもっとも人気なものの1つに選ばれたそう。
例えばなにかお店で不満があるときに、「店長を呼んで!」とすぐ怒ってしまうような人が Karen と呼ばれます。
一説には、世界的に起こっている「人種差別はやめよう」というメッセージのもと、この meme が流行ったようです。ただ、Karen という名前を持った人がみなイメージの通りであるわけではないので、なんだかかわいそうな気もしてしまいますね。
オーストラリアには、Karen をテーマにした「Karen’s Diner」というダイナーもオープンしたそう。失礼な接客を、エンターテインメントとして捉えて訪れている人が多いようですよ。
Alec(またはAleck)さんという名前はあまり見かけることがないかもしれないですね。実はこの Alec(k) というのは、実在した人物。1840年代に、ニューヨークで泥棒をしていたAlec Hoagという人が元になっているそう。
このイディオムは、誰かが実際よりも賢く見せようとしたり、他の人をバカにしたような人のことを指します。また、なにかしらの質問におもしろおかしく答えることで周りの人をイラつかせるような人のことも Smart alec(k) といいます。
Aleck の部分が名前ですが、多くの場合は小文字で表記されるので注意しましょう。
Johnny on the spot は「すぐに対応できる人」とか「ちょうどいいところにいてくれる」ような人を指します。
例えば重い荷物を駅から家まで運んでいたとしましょう。「もう無理!」と思ったところに、力持ちの友人が現れたら、「ちょうどいいところに!」となりますよね。
こういったときに、Johnny on the spot は使うのです。
On the spot のみで「直ちに」や「すぐその場で」という意味があり、Johnny は不特定の「人」を表しています。
このイディオムは1896年に発行されたNew York Sunという新聞紙ですでに使われていたそうですよ。
Jack-of-all-trades は、なんでもできる「なんでも屋さん」のことを指します。
なぜ Jack なのかというと、英語圏でとてもよく目にする名前のため。日本でいうところの「太郎さん」のような感覚ですね。Jack で人を総称する方法は、14世紀の文献ですでに見られるそうですよ。
もともとのことわざは「a jack of all trades is a master of none, but oftentimes better than a master of one.(何でもこなす人は達人にはなれないが、多くの場合、1つの分野の達人より良い)」というものです。
全文を見ると、少し蔑称のような意味合いが含まれることに気付くかと思います。
「専門的ではなく広く浅い知識を持っている」からこそなんでもできるわけで、「器用貧乏」とも言い換えることが可能なのです。Master of none(なにも習得していない人)というフレーズからも、少しネガティブな印象を受けますよね。
つまり、ポジティブな意味合いで「なんでも屋さん」と言いたい場合は Jack-of-all-trades のみを使い、少しネガティブな意味合いで言いたいのであれば master of none の部分も含めた全文を言うと良いでしょう。
ここでも Jack が登場しましたね。Jack the Lad は、「自信満々で、少し生意気な男性」のこと。人によりますが、女性にモテやすいタイプという認識が英語圏ではあるようです。
もともとイギリスが起源のことわざで、諸説あるものの昔名を馳せていたJack Sheppardという泥棒がモデルになっているそうですよ。
直訳すると「ボブはあなたのおじさん」となってしまうこちらのイディオムは、「問題ない!」、「大丈夫!」や「出来上がり!」といった意味を持ち、イギリス英語でよく使われます。
このイディオムは、イギリスの第20代首相であるRobert Arthur Talbot Gascoyne-Cecil(ロバート・アーサー・タルボット・ガスコインーセシル)氏に由来するそう。彼が甥のArthur Balfour(アーサー・バルフォア)に政治的要人の座を譲ったエピソードがもとになっています。
その後Balfour氏は首相に選ばれますが、政界に入ったときには政治に興味を示さなかったため、政治家としては成功を収められるわけがないと思われていました。このことから、「叔父の力ありき」と、Bob’s your uncle が「問題なし!」のような意味を持つようになったのです。
さて、ここで由来となっている人物がRobertさんなのに、「ボブおじさん」がイディオムの中で登場するのは不思議ですよね。実はこの2人、同一人物。BobはRobertという名前の人によくつけられるあだ名なのです。
例えば大物俳優のRobert De Niro(ロバート・デ・ニーロ)氏。こちらの動画でも、Call me Bob と言っていますね。Robert = Bob以外にも、元アメリカ大統領のBill Clinton氏の本名はWilliamだったりと、英語ではある特定のあだ名がつけられることがあるのです。
こちらも「おじさん」が登場するイディオム。直訳すると「サムおじさん」ですが、アメリカ合衆国の政府や人々のことを指します。
アメリカ合衆国の政府や人々のことを Uncle Sam と呼ぶようになったのは、1813年9月7日のこと。米英戦争でアメリカ軍に牛肉を供給していたSamuel Wilson氏に由来するそうです。
Wilson氏は、牛肉を樽に詰めて納品していました。そこに、アメリカ軍のものだとわかるように、「U.S.」とマークをつけていたそう。しかしアメリカ軍の間でそれが「Uncle Sam のもの(サムおじさんが持ってきてくれる肉)」という捉えられ方をするようになります。
この話題を聞きつけた新聞社が記事にしたことで、Uncle Sam はアメリカ合衆国のニックネームとして広く使われるようになったのです。
実はこの有名な軍人募集のポスターに描かれている男性も、Uncle Sam と呼ばれているんですよ! 名前がついていることを知らない人も多いのではないでしょうか?
「何ということだ!」という意味のイディオムです。ここで登場するPeteは、For Christ’s sake と神様(イエスキリスト)を言及する代わりに使われたそう。
神様を折り合いに出すより、Peteという名前を使ったほうが、失礼にあたらないですからね。
直訳すると「家族のベンジャミン」となってしまいますが、こちらのイディオムは家族で一番若い人のことを指します。
このイディオムの元になったベンジャミンは旧約聖書に登場するヤコブという男性の一番下の子どものこと。ヘブライ語でベンジャミンは「右腕の息子」という意味があり、このことからヤコブのお気に入りの子どもだったのではないかとも言われています。
英語圏での名前に、ある特定のイメージがつけられているなんて、面白いですよね!
今回ご紹介したものの多くはイディオムですが、スラングとなると今まではそんなことがなかった名前も、特定のイメージがつくようになることもあります。
最初に登場した Karen の場合も、「まさか自分の名前がこのように使われるようになるなんて!」と驚いた Karen さんがいるかもしれません。
言語はいつでも流動的に変化していきますから、このように特定の言葉のイメージが変わるのも、特徴の1つかもしれません。
DMM英会話ブログでは、ほかにもスラングをたくさんご紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね!