森田 鉄也
(更新)
2016年5月からTOEICは新形式へと移行しました。また8月からは名称もTOEIC TESTからTOEIC Listening and Readingへと変わりました。
そんな中、まだ新形式を受けておられない方やこれから対策を始めようとしている方は、「新形式でどう変わったの?」「どんな風に勉強すればいいの?」と気になるところではないでしょうか?
そこで今回は、TOEICを知り尽くす筆者が、旧形式と新形式の違いをわかりやすくまとめ、今後どのような対策をしていけばよいのかを紹介します。
旧形式のTOEICからなくなった形式はありません。ですから、既存の対策本がまったく役立たなくなるというわけではありません。また2017年の4月までは団体受験〔IPテスト〕では旧形式のままです。総問題数(リスニング100問、リーディング100問)も変わりません。
では、どのように変更がなされたのか見ていきましょう。
聞いたり読んだりする量が少なく、簡単と言われていたパートの問題数が減りました。リスニングセクションでは、Part 1(写真描写問題)が10問から6問に、Part 2(応答問題)が30問から25問に減り、リーディングパートではPart 5(単文穴埋め問題)が40問から30問に減りました。
全体の問題数は同じですから、短く簡単な問題が減ったということは、長く難しいパートの問題が増えたということになります。
Part 4(説明文問題)は変わらず30問(1つのトークに設問3問×10セット)ですが、Part 3(会話問題)が30問から39問(1つの会話に設問3問×13セット)に、Part 6(長文穴埋め問題)が12問から16問に、Part 7(長文読解問題)が48問から54問に増加しました。英文を聞く量と読む量が増えるので旧形式よりも大変になったわけです。
では追加される形式を見てみましょう。まずはリスニングセクションです。
Part 3は、旧形式ではすべてのセットが2人の会話で構成されていましたが、新形式では3人の会話が加わりました。また、表や地図といった視覚情報がついており、その視覚情報と音声の情報と両方を利用して答えを出す形式の問題も追加されます。この視覚情報が出てくる形式はPart 4にも加わりました。
さらに会話やトーク中に出てくるフレーズや文の意味や、それらを発話した人の意図を、文脈から判断する問題も出題されます。
次にリーディングセクションです。
Part 6は、空欄が3つある文書が4セット出題されていましたが、新形式では空欄が4つある文書が4セット出題されるようになります。しかもただ設問数が増えただけではありません。
従来は語句を入れる問題だけでしたが、各セットの4問目の問題は文を入れる問題になりました。つまり、選択肢だけでも読む量が増えたことになります。
Part 7では、旧形式では1つの文書のセットと2つの文書のセット(ダブルパッセージ問題)の2種類だけでしたが、新形式では文書が3つあるセット(トリプルパッセージ問題)が加わりました。また、4セット出題されていた、ダブルパッセージ問題が2セットになり、トリプルパッセージ問題が3セット出題されます。
複数パッセージの問題のそれぞれのセットには5問の設問が付いているので、複数パッセージの問題数が20問(ダブルパッセージ×2)から25問(ダブルパッセージ×2+トリプルパッセージ×3)に増加したわけです。
パッセージが1つの問題は、設問2問付が4セット、3問付が3セット、4問付が3セットの合計29問出題されます。また、ある文が文章中のどこに入るかという文挿入問題も出題されるようになります。
さらに Part 7には、チャットや携帯メッセージのやりとりも出題されるようになりました。これら2つには、リスニング問題と同じように文脈からフレーズや文の意味、書いた人の意図を答える問題も出題されます。
新しく変わったTOEICを受けてみて自分も含め多くの人は難しくなったという感想をもちました。ではどう対策して行けばいいのでしょうか?
結論から言えば、長い英語の音声を聞く力、そして長い文章を読む力を延ばす必要があります。特にリーディングは語数も増えていますから、長い文章を速くかつ正確に読める力が不可欠になります。
そういった力をつけるために「通勤通学時間にTOEICのリスニング問題や英語のポッドキャストを聞く。毎日寝る前にはTOEICの長文や英語の記事を読むなど毎日英語に触れる」といった習慣をつけておくことをお勧めします。リスニングや読解力は短期間で劇的に上がるものではありません。
一歩一歩着実にレベルアップしていきましょう!