鈴木 瑛子
(更新)
海外留学に必須のTOEFLテストには、アカデミックな単語やトピックが出題され、リーディングやリスニングでも高度な英語力が必要とされています。
なかでも、マイク付きヘッドセットを装着しパソコンに向かって話す形式のスピーキングセクションは、多くの日本人受験生が苦手だと感じているようです。私はこれまで、大学や専門学校でTOEFL講座を担当し、また、MBAなど大学院留学を目指す社会人の方をサポートしてきました。
ここでは、TOEFLスピーキングの概要やポイントとともに、1日30分、自宅でできる3つのトレーニング方法をお伝えします。毎日の積み重ねで、スピーキングに必要な英語力と反射神経をつけていきましょう!
TOEFLスピーキングセクションは大きく分けて2種類、インディペンデントタスク(独立課題)とインテグレイテッドタスク(統合課題)に分かれています。
インディペンデントタスクは受験生の経験や日常生活の中での好みや考えを問うもの、インテグレイテッドタスクはリーディングやリスニングを通し与えられた情報をまとめ、概要を口頭で説明するものです。
まとめる情報はアカデミックなトピックと、キャンパス内での普段の会話や記事の2パターンあり、それぞれの問題で、準備時間が15秒から30秒与えられています。
TOEFLスピーキングの特徴は回答時間が厳格に決められていること。出題される6問のうちインディペンデントタイプの2問は45秒、残り4問のインテグレイテッドタイプは1分が回答録音時間です。
制限時間を超えると自動的に録音が終わり、次の問題にうつるように設計されています。
限られた時間で、実力を発揮するためには、まず回答時間を意識した練習が必要です。毎日のトレーニングを通し、回答時間の感覚を養っていきましょう。
TOEFLスピーキングの評価項目は3つに分けられています。
イントネーション、発音、自然なスピードによる『話し方』、正確な情報を簡潔に伝えるために効果的な構文やボキャブラリーの使用をはかる『言語使用』、発言の一貫性を問う『話の展開』です。さきほどの制限時間内で録音された音声は、この3つの観点で判断され、スコアが算出されます。
このようなテスト形式で高得点を目指すためには、テスト内での音声指示”Begin speaking after the beep.”(合図音の後に話し始めなさい。)に続く、「ピー」の電子音と同時に、フルスロットルで、高いレベルの構文やボキャブラリーを使い、自分の考えや情報を伝えていく技術が必要となります。
続いてご紹介する3つのトレーニング方法で、言いたいことを短くまとめて伝える技術を養っていきましょう。
それぞれのトレーニングが各評価項目に対応するようになっていますので、どの力を伸ばすために声に出しているのかという目的意識を持ち、音読、スピーキング練習に取り組むようにしましょう。
ウォーミングアップとして、リスニング教材を使った発声の練習から始めましょう。評価項目の『話し方』の分野を伸ばすことを目的としています。
まず、音声を聞きながら、単語の発音やアクセントを確認します。間違えそうな箇所は、スクリプトにカタカナやストレスマークを書き込み、自分専用の音読用の台本を作っていきます。
台本が完成したら、それを見ながらリピーティング(リスニング用音声を小刻みに止めながら、区切ったかたまりごとに音読すること)、シャドウィング(リスニング用音声にワンテンポ遅れて発音や抑揚を真似しながら音読すること)、などの音読方法で、TOEFL素材を体に染み込ませていきましょう。
TOEFLリスニングには『会話タイプ』と『講義タイプ』2種類あります。『会話タイプ』では起こった出来事に対するコメント、『講義タイプ』では少し高度な概念の紹介の仕方など、それぞれ目的を持ち、音読に取り組んでください。
続いて、とにかく英語でしゃべってみる練習方法です。
例えば、その日の自分の行動を思い出しながら英語で言ってみましょう。
まず日本語で「朝7時ごろ起きました。お母さんが朝ごはんを作っていました。」のように1分間喋ります。次の1分で先ほどの日本語の内容を英語で言います。
と大体言えるようであれば、また1分使い、その後の行動を日本語で振り返り、続いて同じ情報を英語にする、というように「日本語」→「英語」→「日本語」→「英語」と交互にこなしていきます。
そこで日常の行動を表す言葉、特に動詞の過去形が即座に出てくるか、などを自分で確認し、『言葉の使い方』の項目での得点を上げていきましょう。
一人では取り組みづらいと感じるようであれば、DMM英会話などのサービスを利用するのがおすすめ。会話というよりは一定時間聞いてもらい、その後に文法やボキャブラリーに関するアドバイスをもらうようにしましょう。
そうすることで自分の弱点を客観的に知ることができ、それらを集中的にブラッシュアップすることができます。
1分間日本語と英語で1日の振り返りができるようになったら、次のステップへ進みましょう。
1日の出来事の中から印象に残っていることを1つ決め、そのことについて、1分間英語で話す練習です。
起こった出来事について『概要』→『詳細』→『自分の反応』の3つのポイントを入れることを意識して練習してみてください。
またTOEFLのスピーキング練習の際には、必ずストップウォッチや秒針のついた時計を見ながら、1分あるいは45秒でまとまった話をすることを意識しましょう。これは、TOEFLの回答制限時間である1分間、または45秒間で自分が詰め込める情報量の感覚を養っていくためです。
反対に、その時間を超えてしまうような複雑な情報はTOEFLスピーキングには適さないと捨てる覚悟が必要です。制限時間内に自分の伝えたいことをまとめて言えるようになるまで、何度か続けて練習し、『話の展開』の項目での高評価を狙いましょう。
TOEFLスピーキングの点を伸ばすには、評価項目を知り、そこで評価される英語スピーチを即座に作り出せる技術が必要です。
まずは「リスニング教材の音読」、「1日の振り返り」、「印象深い出来事」のように日常で無理なくこなせるところから声出しを始めてみてください。
1日30分、これらの練習を毎日続けることで、TOEFLスピーキング特有の1分間の英語スピーチに体も頭も慣れさせるようにしましょう!