トキ
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こんにちは。
TOEIC満点講師の常田です。
TOEICで出題される文法項目を丁寧に解説していく連載【TOEIC頻出の文法を徹底解説】の第2弾、今回は「品詞」についてお話させていただきます。
「品詞」と聞いてすぐに頭に浮かぶのは Part5 と Part6 かと思いますが、実は、品詞を理解することで語彙を効率良く増やせるのを知っていましたか?
単語を覚えることは、TOEICでも非常に重要なことであり、同時に困難なことでもあります。今回の記事を最後まで読んで頂くことで、品詞を理解できるだけでなく、語彙問題もスムーズに解けるようになりますので、是非ご覧ください!
まずは、品詞の基礎から簡単に説明していきます。
品詞で、最初に覚えてほしいのは、名詞、動詞、形容詞、副詞の4つです。
すべての物の名前の事を「名詞」と呼びます。
→ 主語、目的語、補語になれる。
【例】Toki(人の名前)、TOEIC(試験の名前)、cat「猫」、furniture「家具」など
人や物の動作や状態を表現するものを「動詞」と呼びます。
【例】study「勉強する」、eat「食べる」、check「確認する」など
物や人の様子を表現する言葉のことを「形容詞」と呼びます。
→ 名詞を修飾、または補語になれる。
【例】beautiful「美しい」、great「素晴らしい」、good「良い」、impressive「印象的な」など
形容詞と同じように、様子を表す言葉の事を「副詞」と言い、形容詞と違い名詞以外を修飾することができます。日本語の「ときどき」のように主に動詞を修飾する役割があり、文全体を修飾することもできます。
【例】finally「ついに」、approximately「およそ」、only「~だけ」など
ここでは、英語の「品詞」を見分けるコツを紹介します。
品詞を見分けるコツ、ズバリそれは接頭辞と接尾辞です。
簡単に説明すると、単語の頭にあるアルファベットの事を「接頭辞」と言い、単語の後ろにあるアルファベットの事を「接尾辞」と言います。下記に、リストを記載してありますので、そちらを参考にして頂くと、イメージが付きやすいかと思います。
~or、~er、~ee、~ist、~ianなど
【例】actor「俳優」、teacher「先生」、employee「従業員」、specialist「専門家」、vegetarian「ベジタリアン」など
~ment、~cy、~tion、~sion、~ty、~ism、~ance、~enceなど
【例】improvement「改善」、 efficacy「効き目」、 situation「状況」、 vision「視界」、 security「安全」、mechanism「(機械の)構造」、 importance「重要性」、 influence「影響」など
en~、dis~、un~など
【例】enlarge「広げる」、disappear「消える」、unload「荷物を降ろす」など
~en、~fy、~ize/iseなど
【例】weaken「弱くなる」、satisfy「満足する」、socialize(社交的にする)など
~ful、~ant、~ive、~ous、~ishなど
【例】beautiful「美しい」、important「重要な」、impressive「印象的な」、obvious「明確な」、childish「子供っぽい」など
~ly
【例】apparently「明らかに」、exactly「正確に」、positively「積極的に」など>
※friendly や costly など、接尾辞が ~ly となっていても「形容詞」になる場合があります。
さて、答えはわかりましたか?
正解は(C)のbeautifulになります。
解き方は簡単で、まず( )の前後を見ます。今回の問題だと、( )の後にteacher「先生」がありますね。先生は「名詞」になるので、あとは、選択肢から形容詞を選ぶだけです。
この時、どの選択肢(単語)がどの品詞になるのかにも意識を向けてみてください。先ほどの「品詞の基礎」を確認してもらいながら問題を解いてもらうと、定着も早くなると思うのでよかったら参考にしてくださいね。
先程の問題より少しだけ難易度が高くなっていますが、いかがでしょうか?
こちらも品詞の問題なので、まずは( )の前後から確認します。the と about があり the の前には from という前置詞があるので、( )には「名詞」が入ることがわかります。
今回の問題では、上に記載してある「品詞の基礎(見分け方編)」を参考にすると、(A)が「supervise(動詞)」で、(D)には ~ing があることから「supervising(形容詞)」になるということがわかります。よって、この二つをまずは除外し、後は文章を読み、(B)が「物」なのか「人」なのかを考えると、「物」である supervision で考えると筋が通らないので、答えが(C)だとわかると思います。
こちらの問題はどうでしょうか?
まず、( )の前後を見ます。後ろには、number という「名詞」があり、前には冠詞の the があります。よって、( )には、「number(名詞)」を修飾できる品詞が答えになると分かります。
すると(A)の「confirm(動詞)」が消え、これまでの流れだと、(B)「confirming(形容詞/現在分詞)」か(C)の「confirmative(形容詞)」のどちらかかなと判断してしまいそうになりますね
しかしこの問題は、実は「複合名詞」になっていて、「名詞が名詞を修飾する」という少しイレギュラーなパターンになっています。
結果、答えは(D)「confirmation(名詞)」になるのですが、このような問題はあらかじめ知らないと解けません。
下記に簡単なリストを記載しておきます。試験本番での時間短縮、スコアUPにもつながりますので、ぜひ覚えておいてください。
★複合名詞のリスト
・confirmation number「確認番号」
・identification card「身分証明書」
・instruction manual「使用説明書」
・safety standards「安全基準」
・retirement celebration「退職祝い」
・application form「申込用紙」
それ以外のTOEICに出やすい複合名詞については、柴山かつの先生の『短期集中講座!TOEICTEST英文法』に詳しく記載されていますので、参考にしてみてください。
まずこれまでと同様、( )の前後を見ます。今回は、can と speak に挟まれているので、「動詞」の speak を修飾できる「副詞」が答えになることがわかりますね。
そのため、(C)の「easy(形容詞)」が選択肢から外れます。品詞問題には素直に解ける問題も多いですが、この問題のように紛らわしい単語もあり、そのひとつの例が hard と hardly です。
hardly には ly がついているので、こっちが副詞で、hard が形容詞と考える方が多いのですが、実はこれはどちらも副詞。TOEICでは、違う意味の副詞としてよく出題されます。
Toki studied hard to pass the test yesterday.
「トキはテストに合格するために昨日一生懸命勉強した。」
Toki can hardly speak Spanish.
「トキはほとんどスペイン語を話すことができない。」
したがって、文脈的に意味が通るのは (B)hardly で、これが正解となります。このように同じ副詞でも意味が逆転してしまうものもあるので注意が必要です。
hard / hardly 以外の意味が変わる副詞の代表例としては、late(遅い)/ lately(最近)、high(高く)/ highly(極めて)、most(最も)/ mostly(大抵)などがあります。
これまで紹介した問題にもありましたが、品詞を覚えることで、覚えた1単語をきっかけに2単語、3単語とボキャブラリーを増やしていくことができます。
例えば、「形容詞」である beautiful(美しい)は皆さんご存知の単語だと思いますが、beautify はどうでしょう?
もし、beautify が beautiful の品詞を変えただけのものだとわかっていたら、辞書で調べなくても意味の予想がしやすいのはないでしょうか。
正解は「beautify(美しくする)」。このように1つの単語を覚えて、その単語の別の「品詞」を探していくと、単語の定着も早くなります。
最後に、単語が分からない時の、品詞を使った応用テクニックをご紹介します。
私たちが見たことがない漢字に出会っても、漢字の形から意味を予測できるのと同様に、英語も接頭辞と接尾辞などから意味を推測することができます。実際に問題を例に見てみましょう。
・contradict = contra「反して」+ dict「言う」
→「否定する」「意義を唱える」「矛盾する」
・edict = e「外へ」+ dict「言う」
→「勅令」「布告」
・maintain = main「手で」+ tain「保つ」
→「主張する」「保持する」「維持する」
・detain = de「下へ」+ tain「保つ」
→「引き留める」
文にすべての単語を当てはめると、(D)の detain「引き留める」が正解になるのが分かると思います。
接頭辞と接尾辞を覚えておくと、知らない単語でも予測して理解することができます。そしてこの勉強方法は、Part5&6 にのみ役立つのではなく、Part7 の長文読解でも威力を発揮します。
また、知らない単語をこのように予測することで、誤訳の予防にもつながります。接頭辞・接尾辞を細かく知りたい方は、酒井玲子先生の『接頭辞・接尾辞大全』がお勧めですので、ご参照頂ければと思います。
いかがだったでしょうか?
TOEICの基礎ともいわれる「品詞」を今回の記事では中心的にご説明させて頂きましたが、「品詞」をしっかり覚えると、単語の予想ができるようになり、文法だけでなく、リーディングにも力を発揮できるようになります。
私も単語を覚えるのは決して得意なほうではありませんでしたが、この品詞との出会いが、単語力を飛躍的に伸ばすきっかけとなりました。
本記事が、TOEIC の Part5&6 や単語暗記に悩んでらっしゃる方のお役に立てれば幸いです。