渡邉 淳 (porpor)
(更新)
ぼくは専門学校や大学で TOEIC の講師をしています。すると、決まって受ける質問があります。
「どれくらいの時間、勉強をしたらいいですか?」
これは学生の方だけでなく、社会人の方々も同じ。ブログや Twitter などに寄せられるご質問としても非常に多いのです。学生を含め、学習者の方々は「勉強時間」が気になっているんですね。
そのお気持ちはよーくわかります。勉強時間の目安がわかれば、「そこまでやればいい」という基準ができますから。ですが、先に申し上げておきます。
勉強時間という一つのモノサシで測ることはできない。
同じ1時間と言っても、人によって集中力ややり方が異なりますよね。すなわち同じ時間でも、学習の「質」が異なってくるというわけです。ということで、今回は、TOEIC学習の「質」を上げるために、自身の勉強時間を見直すポイントをお伝えしましょう。
以下の5つの質問をご自身に投げかけてみてください。学習の効率を上げてくれる学習に出会えるはずですよ!
※本記事で「TOEIC」と表記する場合、「TOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)」のことを指します。
まずは、学習を始める前の自己分析の時間だと言えます。
ご自身の目標を明確化しましょう。明確にすることによって、学習という行動に移りやすくなるからです。この手のお話をすると、決まって返ってくる言葉があります。
「目標スコアは決まっているよ」
確かに、TOEIC を始めた方であれば、ほとんどの方が目標スコアを設定しているはずです。であれば、次のご質問はいかがでしょうか?
「目標スコアをいつ獲得したいですか?」
この質問をぶつけると、これまたよく返ってくる答えがありますね。
「できるだけ早く」
それは当たり前ですよね。早く取れるに越したことはありません。ですが、この答えでは自分の目標がぼんやりとしたものになってしまうのです。
これを機会に目標をはっきりと、具体的なものにしていきましょう。この記事を読むのを一旦ストップして、目標スコアを獲得したい時期を明確にしてください。
例えば、「2017年1月の公開テストで◯点を取得する」というように、です。そうすることによって、自身の目標がはっきりとし、学習という行動に移りやすくなるでしょう。
ぼく自身、「できるだけ早く990点満点が取りたい」と思っていた時期は取れませんでした。そこから、目標の曖昧さに気づき、「2012年の…」と定めたところ、バッチリと取れた経験があります。おそらく目標がはっきりとしたことで、学習内容もはっきりしたのだと思います。
これは、実際に勉強を始めてからの質問です。
「勉強をしている」と一言に言っても、その「質」はさまざまだと冒頭でお伝えしました。
ぼーっとする時間を含めて、「勉強時間」としていませんか?
本とにらめっこをするばかりで、何を得たかわからない時間になっていませんか?
勉強に集中するために聞いた音楽に気を取られていませんか?
「質」の高い勉強をしたいと目指すのであれば、自身の学習を徹底的に監視すべきです。お尻を叩いてくれる人がそばにいればいいのですが、そんな都合のいい話はありませんね。であれば、自分で自分を監視するしかありません。
自分も気づけば「勉強時間」と言えない時間を作り出すことがあります。そんなときはタイムプレッシャーが有効ですね。
「30分だけやる」
「ストップウォッチで時間を測ってみる」
時間は有限であることを常に意識しながら学習することで、日々の学習に緊張感が出ます。
ぼくが10年以上 TOEIC 対策をしてきて感じたことの一つがこれです。
「TOEIC のスコアアップのためには、TOEIC 教材が一番効く」
TOEIC に頻出の単語が集まった単語集。
TOEIC で問われる文法項目が詰まった文法問題集。
TOEIC でよくあるシチュエーションが収録された長文問題集。
今、世の中に出回っている多くの書籍が TOEIC を熟知した方によるものです。最初に設定していただいた目標を達成するためには、できる限りショートカットはしたいですよね。であれば、そういった教材を使わない手はありません。
ですから、自分の学習がスコアアップに直結しているかを確かめましょう。もしご自身で判断するのが難しいようであれば、別の人に尋ねてみてもいいです。
(ぼくでよろしければ、ブログや Twitter でお気軽にご相談くださいね!)
とにかくスコアアップにこだわっていく姿勢が大事だと思っています。
TOEIC はリスニング45分間、リーディング75分間の試験。つまり、それだけの時間は英語に触れ続けていなくてはなりません。
そこで大事になってくるのが、普段、英語に触れる時間です。本番の試験に耐えうるだけの量に触れられているでしょうか。
練習でやっていないことを本番でだけやろうとするのは非常に難しいです。ですから、普段から長時間、英語に触れる習慣を作りましょう。いきなり「リスニングを45分間やろう」というのは大変ですから、まずは「10分間」など短縮した時間から始めてみるのがいいと思います。
TOEIC の問題であれば「Part 1,2 だけ」とか「Part 3 だけ」とか、始め方はいくらでもあります。
ご自身の学習スタイルに合わせて、なるべく長い時間、英語に触れることを心がけましょう。
ぼくは今、「20分」を一つの目安としてリスニングをしています。リーディングは Part 5, 6 であれば「10分」、Part 7 であれば「20分」が一つの単位ですね。問題数や触れたい量を考えながら、適宜調整するようにしています。
最後は TOEIC スコアが行き詰まりがちな方にぜひ問いかけてもらいたい質問です。
TOEIC の対策の中心は問題集になっていくと思うのですが、学習の流れは次のようになるのではないでしょうか。
①問題を解く
②正解か不正解かを確認する
③解説を読んで理解する
④日本語訳を確認する
だいたいこのような内容は一通り行うと思います。もちろん、これらは大事な時間なのですが、これで終わってしまってはもったいないんです。というか、これだけでは英語力の伸び、つまり、スコアアップにつながりにくいのです。
というもの、問題を解いて解説を理解するのは、あくまで確認作業でしかないからです。そこで得たものを自分の知識にしてこそ、スコアにつながっていくわけですから。したがって、問題として扱われた英文を素材として使った次のようなトレーニングを行ないましょう。
これらはあくまで一例です。問題演習以外の時間が力を伸ばしてくれますから、解き終わった後からが勝負だとおさえておきましょう。
冒頭で申し上げた通り、具体的な「勉強時間」を申し上げることは難しいです。
すべては学習内容とその質に左右されるからですね。同じ問題集や参考書を使っても、効果が分かれてしまう原因はここにあります。
普段から5つの質問を自分に投げかけながら、ご自身の学習の「質」を向上させていきましょう!
そして、せっかくやるならば最高の「質」で、最高の「勉強時間」を作り出しましょう!